医療用ラジオアイソトープの供給危機 -政治的行動が必要:欧州原子力学会(ENS)がコメント

2009年9月30日

 カナダの原子炉故障に端を発する医用アイソト?プ(RI)Mo-99/Tc-99mの供給危機に関連して、欧州原子力学会(ENS)の上級科学評議会は、RIの供給だけでなく、公平な配分のためにも「政治的な行動が必要とされている」とするポジション・ペーパーを発表しました。

 以下は、同ペーパーから、序論と結論の部分を、当協会で翻訳したものです。

 フルペーパーは、以下のリンクからご覧になれます

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医用アイソトープの危機

 

序論(イントロダクション):


 昨年、我々は、放射性医薬品の利用、特に、核医学診断で使われているMo99/Tc-99mジェネレータの供給に関連して、大きな世界的危機に遭遇した。したがって、とり急ぎMo-99の供給不足の実態を解明し、将来の危機を避けるために必要な長期的方策について見解を述べる。

 

 高濃縮ウラン・ターゲットが、高中性子束炉において照射されると、多くの核分裂生成物が造られ、その中の半減期66時間のMo-99の自然崩壊によって、半減期6時間のTc-99m(単一のγ線放射体、140keV)が生成される。そのウラン・ターゲットからMo-99を分離することにより、Mo-99/Tc-99mジェネレータが製造され、世界中の病院に出荷されていた。その他にもいくつかのMo-99製造法があるが、それらの生産量は、非常に低く、また、その生成放射能量はあまりにも小さいので世界市場にとって重要ではない。

 

 Tc-99mは、全ての核医学診断イメージング法の約80%を占めており、世界中で年間約3000万件、ヨーロッパのみでも数百万件の検査に使用されている。

 

結論:


 短期的にも、また、将来的にみても、ヨーロッパにおけるRIの生産拠点が、数箇所の施設のみに集中していること、施設の不備に関連したリスク等により、脆弱さは続くであろう。その脆弱さは、経済的な面が原因でもある。なぜなら、RIの製造は、一般的にその施設を有している限られた数の国の公的資金に頼っているからである。


 この状況は、RIの安定供給の確保、施設の運転や維持管理、放射性廃棄物の処理、デコミッション等に関連するリスクや労力を総合的に算出するためのみならず、健全で平等な経済的基盤の上にたったRIの流通システムを構築するためにも、政治的な行動を必要としている。


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