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新年号特集から その1「楢葉遠隔技術開発センター」の役割など、原子力機構の河村氏に聞く

2015年1月8日

 福島第一原子力発電所事故から間もなく4年。応急的対応から、30~40年間を見据えた中長期的対応の段階に入りつつある。事故炉の廃止措置完遂には、これまでに前例のない課題解決のための研究が必要だ。日本原子力研究開発機構では、最先端の設備を備えた遠隔操作機器・装置の開発実証施設「楢葉遠隔技術開発センター」を整備しており、今後、廃止措置を加速させる技術基盤確立に向けた研究開発拠点として、また、幅広い活用方策を通じ福島復興にも寄与することが期待されている。(石川公一記者)  
  

 河村さん原子力機構・福島廃炉技術安全研究所所長の河村弘氏(=写真左)に、「楢葉遠隔技術開発センター」の使命、今後の期待について話を聞いた。
 福島第一原子力発電所の建屋内は、高放射線量のため、人が作業現場に近づくことが困難なことから、遠隔操作技術が必要不可欠となっていることはいうまでもない。同センターは、これに対応すべくメーカーや大学により開発されたロボットが性能試験を実施した後、現場を模擬した環境で、「実証試験を継続的に続けていける施設」として、海外からも注目されていると河村氏は述べ、さらに、ロボットの実証試験だけではなく、操縦者の訓練にも供する役目を強調する。また、もう一つの使命として、福島第一から20km圏内にできる初めての本格的な廃炉研究拠点であることからも、「われわれは福島に対し『しっかり取り組んでいく』というメッセージを送らなければならない」と述べた上で、ロボット開発を通じ、地元の経済活性化に貢献していくことも同センターにとって重要だとしている。
 ロボットが立ち入る現場は、あらかじめ状況がわからないこともある。試験棟の遠隔操作機器実証試験エリアには、それを想定し、水槽、障壁、スロープ、がれき、モックアップ階段など、ロボットの性能確認を行う装備が設置される。特に、狭あい箇所での作業に備え、ロボットの微細な動きを確認することができる「モーションキャプチャ」について、河村氏は「日本でここにしかないのでは」という。
 実寸大のPCV下部を八等分して切り出した形を模した「1/8セクター試験体」は、試験棟内で組み立てられた後、実証試験では、実際に水を回して漏れている状況を模擬し、セメントを流し込んで水を止める実験を行う。これに関し、河村氏は、「燃料デブリ取り出しの準備として『水を止める』ということが最優先課題」と、その重要性を繰り返し強調する。今後は、まず、2号機について、2015年10月頃から組立に入り、2016年2月頃から試験が開始される見込みだ。
 また、センターで培われた技術の他分野への応用の可能性について、河村氏は、林業を例にあげ、ヘリコプターによる遠隔技術など、福島を拠点として全国展開することで、大きな産業創成も期待できるとしており、「先端技術を産業に落とし込んでいくこともわれわれの仕事の一つ」と意気込む。
 廃炉の人材育成に関して尋ねると、河村氏は、「後片付けのためではなく次に進むためのステップと考えるべき」と断言し、若者に関心を持ってもらう必要とともに、大学で「原子力人材育成」を掲げるプログラムを修めた学生全員が原子力関連に就職しているわけではないことをあげながら、「人材育成」に留まらず、「人材育成・確保」でなければならないと述べ、国内外から、チャレンジングな研究・技術者たちをセンターに集め、育て上げていくことにも意欲を見せた。
 浜通り地域の再生を目指す「イノベーション・コースト構想」にもたびたび触れた河村氏だが、一方で、「センターを中心として、大学も中小企業も寄り集まって色々な議論ができる共用の場が是非必要」などと指摘した上で、それがあってこそ「遠隔技術開発が推進され福島第一原子力発電所の廃止措置が進捗すると思う」とも述べる。
 「地域の誇り」、「キャリア教育の場」、「修学旅行の見学先」等々、幾つかの側面を思い浮かべながら、河村氏は、「みんなが来たいと思うセンターにしていきたい」、さらには、「『ロボット研究開発の楢葉』といわれるように頑張りたい」などと期待をかけた。
(1月7日付け号掲載記事より抜粋)

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