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スペイン原子力ビジネス交流調査団 実施結果(概要)

2015年5月19日

(一社)日本原子力産業協会

(1)趣旨
スペインでは、現在、地球温暖化対策として再生可能エネルギーの開発に積極的に取り組む一方、原子力については40年運転制限を修正し、10年毎に運転期間の延長を許可する方針に転換しました。そして、出力増強を積極的に行うなど、既存プラントの有効活用に努めています。同国には現在解体中の原子力発電所もあり、使用済燃料の運搬・貯蔵に関しても経験を積むほか、国内の原子力開発自体は停滞するなか、産業界はバリューチェーンを確立しエネルギー・原子力事業をグローバルに展開しています。特にインフラ整備に関するエンジニアリング事業では世界での存在感を高めています。
当協会は一昨年以来、駐日スペイン大使館と連携し、スペイン原子力セミナー開催への協力支援、それを受けてのスペイン企業と当協会会員企業とのビジネス交流会合開催などの活動を進めています。
そのような状況の中、今回はスペインに産業界ミッションを派遣し、関係機関への視察訪問を通じて同国の現状や産業界の取組等を学び、わが国の原子力産業界の今後を考えるヒントを得つつ、両国の原子力ビジネス連携につながる機会を探ることとしました。

(2)実施日程:2015年5月6日(水)~8日(金)

(3)参加機関: NPO法人あすかエネルギーフォーラム、スペイン三菱商事会社、
株式会社IHI、鹿島建設株式会社、株式会社三菱東京UFJ銀行、株式会社東芝、欧州三菱重工業株式会社、日本原子力研究開発機構、株式会社アトックス、中部電力株式会社

(4)訪問先等: スペイン貿易・投資庁(ICEX)、スペイン産業・エネルギー・観光省(MINETUR)、スペイン原子力産業協会(Foro Nuclear)、スペイン原子力安全委員会(CSN)、放射性廃棄物管理公社(ENRESA)エル・ カブリル処分センター、ホセ・カブレラ原子力発電所

(5)訪問先での説明概要
各訪問機関においては、概要説明が行われ、活発な質疑が行なわれました。

スペイン貿易投資庁(ICEX)

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スペイン企業による輸出力の強化(質・量)と安定化、スペイン企業の国際化支援機関です。輸出・対外投資のサポート及びスペインへの投資誘致を行っており、活動は日本のJETROと同様のものです。輸出先はEUがメインですが分散化に努めているところで、海外展開において日本は重要な市場です。日本への輸出は昨年20%増加しており、アジア向け輸出の20%を占めています。
スペインでは、原子力は必要不可欠なエネルギー源であり、発電設備容量の約7%で発電電力量の20%を供給しています。また、原子力産業は海外展開の優先事項として取り上げられています。

スペイン産業・エネルギー・観光省(MINETUR)

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スペインのエネルギー政策は明確であり、バランスの取れたエネルギーミックスを維持し、全ての電力技術を活用することが必要と考えています。電源の多様化及び温室効果ガスの削減に向けて動いています。原子力の位置づけとしては、エネルギー安定供給の点からも廃止することは不可能と判断し、原子力安全委員会が定める基準を満たせば稼働を延長することが可能としています。
昨年のスペインの総発電量のうち原子力は20.43%を供給し、発電源として第一位です。設備利用率が88%となっておりOECD諸国の平均値よりも高いものです。

放射性廃棄物管理公社(ENRESA)
エル・カブリル 中・低レベル放射性廃棄物処分センター

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ENRESAはスペインにおける核燃料のバックエンドの管理を行なうための公社として、廃棄物の最終処分段階の事業を扱っています。ENRESAは、国全体の廃棄物の管理・処分計画を業務とし、政府に対し申請、認可を受けるなど、すべての廃炉を請け負っています。 
1992年からエル・カブリル処分場の稼働を開始しました。同施設は、原子炉の廃炉からの廃棄物を含め国内で発生する中・低レベル放射性廃棄物の処分を実施しています。ENRESAは1998年にはバンデリョス発電所の廃炉を開始、2003年にはトリージョ原子力発電所に隣接して使用済み燃料の保管施設の建設を行ないました。

ホセ・カブレラ原子力発電所

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ENRESAが責任機関となり、同発電所でスペイン初となる完全な廃炉事業を実施中です。2006年に稼働停止、2010年に廃炉作業を開始し、2018年までの廃炉を目標としています。現在では一次系の撤去が完成しています。
なお、ENRESAは研究機関CIEMATの施設である試験炉の廃炉と処理設備の撤去も実施しているほかバンデリョス発電所などの廃炉でも経験を有し、これらを基盤としてホセ・カブレラ発電所の廃炉を行なっています。

(6)ビジネス交流イベント

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スペイン原産(Foro Nuclear)のアレンジにより、調査団に参加した日本企業各社とスペイン関係企業29社との懇談及びビジネスマッチングが行なわれました。
Foro Nuclearのアントニオ・コルナド理事長、日本側団長の原産協会服部理事長からのプレゼンテーションに続き、スペイン原子力安全委員会のエンリケ・ガルシア氏より、委員会組織や規制機能などについて概要説明が行なわれました。日本・スペイン企業間の交流イベントでは、まず、日本企業各参加者による挨拶と自社業務の紹介があり、ラウンジスペースに於いてカクテルパーティを兼ねた懇談が行なわれました。その後、日本側とスペイン企業との個別面談を実施しました。スペイン側から多数の企業が参加していたため、大変熱気のあるビジネス交流の場となりました。

以上

お問い合わせ先:国際部 TEL:03-6256-9313(直通)

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