lights on with nuclear

 [JAIF]原産協会メールマガジン

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原産協会メールマガジン9月号
2009年9月30日発行

Index

■原子力政策推進活動

 □JAIF地域ネットワークが福井県高浜町を訪問
 □シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」の小冊子を配布します― 

■国際協力活動

 □第53回IAEA総会が開催
 □IAEA総会併設展示会に出展
 □海外向けDVD映像の制作
 □国際社会の洗礼――ウィーンにて(エッセイ)
 □IAEA、原子力発電導入に向けた人材育成で国際会議
 □ロシアへフロント・エンド調査団を派遣
 □ハノイで「日越原子力協力セミナー」を開催
 □ECD/NEAのダン・リー統括次長、原産協会を訪問
 □第10回PIFディーゼル・メンテナンス研修プログラムが開催

 
■情報発信・出版物・会合のご案内

 □会員向けメールマガジン「原産会員エクスプレス」創刊
 □日韓セミナー参加者を募集 都内で10月26、27日開催
 □原産協会の会員専用ホームページ、英語版ホームページを9月24日、刷新

 

■ホームページ・動画の最新情報

 □原産協会HP(一般向け)の更新情報
 □動画配信
 □会員向けHPの更新情報
 □英文HPの更新情報
 

■原産協会役員の最近の主な活動など
■原産協会入会のお知らせ
■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【7】
■げんさんな人達(原産協会役・職員によるショートエッセイ)

本文

■原子力政策推進活動

□JAIF地域ネットワークが福井県高浜町を訪問

 当協会が主催する「JAIF地域ネットワーク」事務局は8月に、同メンバーが暮らす福井県高浜町を訪問し、野瀬豊・高浜町長(=写真下)から、「原子力発電所を抱える町」としての町づくりの取り組みや、「全国初―地域医療に関する寄付講座※の開設」、「高浜白宣言」について、お話を伺いました。

 「地域医療に関する寄付講座の開設」について町長は、「10年ほど前から全国の『社会保険病院』の廃止については、さまざまな問題とともに検討されてきましたが、町内にある『高浜病院』についても同様で、病院の存続=医療現場の確保が危ぶまれてきました。病院に買い手がつかなければ、医師がいなくなり、医療崩壊につながります。問題解決に向け動き出し、医師たちが“あそこに行ったらおもしろい”と思える魅力ある病院づくりを考えました。
 今までとは違う逆転の発想です。お金を出して医師にきてもらうのではなく、医師自らが“行きたい”と思う、特に若い研修医が求める『学び』の仕組みを考えました。『医療、福祉、保険』が同時に学べる場として大変好評を博しています。」と話されました。

 同講座は、全国初の試みということで医療関係、医療現場からの問い合わせ、取材が多く、注目を集めています。

 青く輝く遠浅の海、白く広い砂浜の美しさが魅力の福井県高浜町は、総人口 約11,500人、世帯数 約4,200世帯(平成21年8月)。昭和35年、奈良の平城宮跡から出土した荷札木簡に「若狭國遠敷郡青里御贄多比鮓壹かく」と記されたものがあることから「すし発祥の地」とも言われています。
 内浦半島に位置する高浜原子力発電所は、昭和49年11月に1号機が営業運転を開始、現在では4基の原子炉を持ち、関西電力で発電する電力の約20%を作っています。

 また、売れっ子コピーライターが作成した「高浜白宣言」(平成21年7月開始)の宣言文は新しい高浜をイメージして作られたスローガンで、“高浜はまっ白です・・・・・から始まり、日本のエネルギーを支える原子力発電所があること、高浜は美しいエコロジーな町へ” という一文もあります。(詳細URL参照) http://www.shiro-club.jp/

 このスローガンは、具体的な事業計画ではなく、今後、進めていく新たな計画を考えていく上での「心のありよう」「物事の捉え方」という位置づけです。

 宣伝広報には全国で活躍する若手気鋭の建築家、アートディレクターが参画し、高浜の綺麗な海を強調してイメージアップを図っています。

※寄附講座とは
 高浜町からの寄付金により、福井大学医学部は町内にある「社会保険 高浜病院」などに研究拠点を設置し、「地域プライマリケア」に関する寄附講座を開設。(設置期間:平成21年3月21日~24年3月31日)



□シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」の小冊子を配布します―

 今年3月号から、「原産協会メールマガジン」で連載してきました、シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」の8月号までの掲載内容を小冊子にまとめ、無料配布いたします。

 ご希望の方は①送付先住所 ②所属・役職 ③氏名 ④電話番号 ⑤必要部数 をEメールで genbai@jaif.or.jp へ、もしくはFAXで03-6812-7110へお送りください。

    

■国際協力活動

□第53回IAEA総会が開催

 国際原子力機関(IAEA)の第53回通常総会が9月14日から18日まで、オーストリアのウィーンで開かれました(=写真)。同機関の諮問的地位を有している、当協会もオブザーバーとして参加しました。

 今回の総会では、わが国からはもちろんアジアからも初めてとなる天野之弥・前ウィーン代表部大使の事務局長就任が正式に承認されるなど、歴史に残る総会となりました。天野氏は12月1日より事務局長として執務を開始します。

 今回が最後の総会となるエルバラダイ事務局長は、原子力発電、燃料供給保証、原子力セキュリティなどについて、事務局長就任の1998年以降を振り返りIAEAの取組みについて演説しました。現在9カ国が核兵器を保有し、数ヶ月で核兵器の製造を可能とする核兵器保有可能国が増大しつつあることに懸念を表明。燃料供給保証については、「必ずしも核燃料サイクル開発等の権利を否定するものではない」とした上で、原子力発電導入国が増大しつつある中、燃料供給の信頼性を保証することは喫緊の課題であると訴えました。最後に、次期事務局長となる天野氏に対する強い支持を表明し、同氏がビジョン、公平性、勇気を持ってIAEAを率いることを確信している、と述べました。

 事務局長就任の宣誓に続きスピーチした天野氏は、核拡散や核テロの世界的なリスク拡大、温室効果ガス排出の増大、エネルギー需要の急増を指摘。IAEAはこうしたグローバルな課題に対して原子力技術を利用して取り組む能力と責任を有しているとし、核不拡散と平和利用をバランスよく推進する必要があるIAEAを、加盟各国の協力のもと自ら率いていく姿勢を強調しました。

IAEAが入っているVienna International Center(VIC)

 今総会は天野新事務局長の就任を意識してか、各国代表団による演説も日本をトップにスタート。野田聖子・科学技術政策担当大臣(当時)が、「新たなウィーン・スピリットの共有」と題し、IAEAにおける日本の役割と貢献、原子力の平和利用、核不拡散体制の強化の必要性などをスピーチしました。

 大臣は、①IAEA保障措置の強化・発展②新規導入国による3S確保の推進③2010年のNPT運用会議成功に向けた支援--などを指摘しただけでなく、北朝鮮の核開発を強く非難。グローバルな課題に取り組むためには、天野新事務局長のもとIAEA加盟国間の協力風土を醸成することが不可欠だとした上で、日本は「新たなウィーン・スピリット」共有の観点から、国際社会の架け橋として先導的な役割を果たす考えであると述べました。



□IAEA総会併設展示会に出展

 IAEA総会と同時に開催された展示会には、昨年に引き続き当協会も出展。今回は、日本原子力研究開発機構(JAEA)、放射線医学総合研究所(NIRS)、当協会の3機関が合同でJAPANブースを設営しました。

 3機関は夏前より打ち合わせを重ね、統一デザインを策定し、現地のJAEAウィーン事務所さんの協力を得て、一致団結してJAPANを世界にアピール。当協会は、日本のものづくりをテーマに「MADE IN JAPAN ─ On Time, On Budget」と題してブースを展開。映像とパネルを用い、日本の原子力産業界の層の厚さを国際的にPRし、多くの来場者から高い関心を集めました。

 初日に来場した野田聖子大臣は、「日本を救うのはユニクロではなく原子力産業だ」とした上で、今後も日本の原子力産業界を積極的に世界へPRするよう要望されました。


ブースで談笑する野田聖子大臣

ブースを訪れた天野・次期事務局長

アラブ首長国連邦のアルカービ・IAEA大使 ロシア美女も来訪

日本ブース



□海外向けDVD映像の制作

 今回当協会では、IAEA総会併設展示会など海外向けにDVD映像を制作し、配布を開始しました。IAEAの展示会では、用意した300枚のDVDが初日でなくなる盛況ぶりでした。

 原子力発電所の建設プロジェクトを中心に、日本の原子力産業界の「ものづくり」を簡単に紹介した内容で、入門編という位置づけです。脚本、絵コンテから俳優の振付けにいたるまで、すべて当協会が手掛けました。

 当協会では今後、会員各社の協力を得て、分野別の詳細版も制作する予定です。

高名なアートディレクター・荒井博文氏による筆文字

ナレーション収録風景 撮影風景


□国際社会の洗礼――ウィーンにて(エッセイ)

 毎年のことながらヒヤヒヤさせられるのは、IAEA総会への参加登録である。今回、わがJAIFからの総会参加者は私を含め3名。すべて7月にOnlineで登録を済ませた。総会期間中に開催される科学フォーラムにも、参加登録をしておいた。Online上でも、受信メールでも、参加登録完了の案内を受けており、通常ならばこれで完了だ。なにもヒヤヒヤする必要はない。

 展示ブースの準備のため、上司2名よりも先に現地入りした私は、13日(日)午後の正式登録に先立ち11日(金)の事前登録に臨んだ。部下が予め登録手順を経験しておくことにより、その後の上司の登録をスムーズに案内し、ポイントを稼ぐ。サラリーマンたるものの常道である。

 ところがさすがなんでもありの国際社会。スケールが大きい。私のように日本国内でちんまりとしている小人物では、そのスケールの大きさに圧倒されてしまう。

 まず登録受付のデスクにてパスポートを提示する。すると怖い顔をした女性2名から「あなたの名前はない」と冷たく門前払いされる。予めプリントアウトしておいた参加登録リストを振りかざし抵抗するも、「あなたの名前はない」の一点張り。よく見ると、彼女たちは彼女たちで、プリントアウトされた分厚い紙のリストを見ながら、私に対応している。ウェブ上でのOnline登録など高度にデータ化されている印象を受けていたが、現場ではマニュアル作業。これではうまく機能するはずがない。

 「登録した」「リストにない」「した」「ない」の押し問答を繰り返しているうちに、片方の女性が「あら、あったわ」と言い出し、写真撮影コーナーで登録パスを作れと案内してくれて一安心。昨年は変な表情の顔でパスを作られてしまったため、今回はキメ顔で臨んだ。が、パスに使用されたのは昨年の写真だった。変なところでデータベースが活用されている。

 それでも一仕事終わったので満足して帰ろうとしたところ、なんだかパスの色がおかしい。通常はレッドである筈なのに、鮮やかなブルーをしている。その上、「科学フォーラム」と大書きされている。受付デスクを再訪し、「これで総会に出られるの?」と尋ねると。「科学フォーラムだけよ」と即答された。「それでは困る」「だって科学フォーラムにしか登録されてないわ」「もう一度調べて」「何度見ても同じ」と、再度押し問答した挙句、徐々に語学力の限界を感じ始めた私は、IAEA勤務の日本人おねぇさまに緊急コール。受付女性2名の冷たい視線を浴びながら、おねぇさまの登場を待つことに。

 駆けつけてくれたおねぇさまは頼もしく、ニコニコしながらも強い口調で受付デスクに再確認を指示。当然のことながら、JAIFの参加者リストがきちんと総会参加者リストに登録されていて、パスを作り直し。ただ、パスの色はグレーだった。恐る恐る受け付けデスクに確認すると「あんたはグレーよ」と即答。昨年はレッドだったと主張したが、「それが間違ってんのよ。レッドは政府代表団だけ!」とのこと。もはや抵抗する気力もなく、すごすごとホテルへ引き返す私。

レッドのパスを付けたマネージャー

 土曜日に現地入りした上司たちには、登録手続きの危険性をアピールし、警鐘を鳴らした。私はもはや受付女性たちと顔を合わす気にもなれず、また上司たちは私よりもはるかに語学が堪能なので、日曜日の登録には各自で行っていただいた。

 かくして総会初日の月曜日を迎え、JAIFのブースに早朝集合した私たち3名。部長が私と同じグレーのパスをつけているのはいいとして、マネージャーはニコニコ顔でブルーの科学フォーラムのパスをつけて登場。 ウキー! だから言ったじゃないの!!

 慌ててやり直しに行ったマネージャーは、今度はレッドのパスで登場しました...
(石井敬之)

□IAEA、原子力発電導入に向けた人材育成で国際会議

 国際原子力機関(IAEA)は来年3月、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで、「原子力発電計画の導入と拡大のための人材育成に関する国際会議」をテーマに国際会議を開催します。

 IAEAは近年、50を超える加盟国から原子力発電導入の支援を要請されており、共通する課題の一つに人材育成が挙げられています。原子力発電国の多くが増設やリプレースを計画しており、それらの国々でも人材の世代交代が問題となっています。原子力を専攻する若い世代の人数の減少や、大学での原子力学科の縮小は世界的な流れであり、人材育成でのグローバルなネットワーク化が望まれています。

 こうした流れを受けてIAEAは、①原子力発電開発政策および戦略に関する原子力関連機関・各国政府・国際レベルでの情報交換②原子力産業界における最新知見の集積③安全で持続可能な原子力発電導入・拡大に向けた人材の維持――を目的に国際会議を開催。世界中の原子力分野の産官学が結集する場を設け、①将来の人材需要予測②革新的訓練システム③国際間のネットワーク化④原子力産業界へ若い世代を惹きつける方法――等について議論する考えです。

 詳細はIAEAのウェブサイト http://www.iaea.org/ にて。


□ロシアへフロント・エンド調査団を派遣

 当協会は9月中旬、ロシアの核燃料サイクルのフロント・エンド事情を調査するため、日本原燃の濃縮事業部部長の阪本琢哉氏を団長代行(服部理事長団長が急遽、訪ロ中止のため)とする調査団をロシアに派遣しました。

 一行は、9月16日に、モスクワ市郊外にある、燃料成型加工工場「機械建設工場」(エレマッシュ)を訪問、同工場のクリュコフ所長および同工場を傘下におくTVEL社より、プレゼンテーションを受けた後、RBMKおよびVVER用燃料の製造プロセスを視察しました。

機械建設工場での討議風景 機械建設工場における燃料加工設備視察

 
 同日、ロシア製原子力発電所の海外輸出・建設を主たる事業とするアトムストロイエクスポルトのイワノフ副社長と懇談しました。同社は、世界で現在7基の原子力発電所建設プロジェクトをかかえていますが、今後の展開において、大型コンポーネントや計測制御機器などの供給チェーンで日本との協力関係への期待が表明されました。

 9月17日には、東シベリア地域のアンガルスク市にある、ウラン濃縮工場であるアンガルスク電解化学コンビナートを訪問しました。同コンビナートのベラウソフ所長および国際ウラン濃縮センターのゴリュノワ取締役からプレゼンテーションを受けた後、中央ラボ、転換プラント、濃縮プラント、ウラン充填設備を視察しました。濃縮プラントでは、約20年間、安定的に稼動している信頼性の高い第6世代の小型の遠心分離機カスケードを間近に見ることができました。ロシアでは現在、単機能力が1.5倍以上の第7、8世代の遠心分離機が導入されていると聞き、一行は、ロシアの高度な濃縮技術に強く印象づけられることとなりました。

アンガルスク電解化学コンビナートでの討議風景 アンガルスク市内のコンビナート記念館にて
(いずれも同コンビナート提供)


 9月21日、ロスアトムのスパスキー副総裁との懇談では、各企業、工場の訪問を踏まえ、率直に意見交換をしました。スパスキー副総裁は、日露原子力協定の締結を迎え、今後、拡大が予想されるビジネスの協力を実施するにあたり、さらに深くお互いを知ることを通して、日露の原子力産業の戦略的な関係に向け、今後も交流を重ねていくことが必要である、と述べました。


□ハノイで「日越原子力協力セミナー」を開催

 9月16日、ハノイ市内にて、ベトナムにおける初めての原子力発電導入に当たっての課題や疑問点に対し、日本の知見や経験を役立ててもらうことを主眼に置いた「日越原子力協力セミナー」が、ベトナム商工省と経済産業省との共催により開催されました。

 このセミナーは、昨年5月にベトナム商工省と経済産業省間で締結した日越政府間原子力協力文書に基づいて実施したもので、ベトナム側事務局は国営ベトナム電力グループ(EVN)が務め、ベトナム原子力機構(VAEI)がこれを支援。一方、日本側事務局は原産協会が務め、原子力国際協力センター(JICC))がこれを支援しました。

 午前のセミナーにおいては、国会関係者、政府関係者、有識者を含む総勢約170名にのぼる参加を得て、ベトナム側および日本側から合計5つの講演が行わました。会場からは活発な質問も出され、新聞やテレビなど両国メディアの取材も行われました。

 午後にはセミナーにおいて会場から出された質問表に答える形のワークショップ形式で、約60名が参加して熱心な討議が行われました。

セミナーの開会式で挨拶する
坂場在ベトナム日本国特命全権大使
午後のワークショップで質問に答える日本の専門家


 ベトナムは中南部のニン・トアン省にベトナム初の原子力発電所を導入する計画を公表しています。ベトナム商工省は、同セミナーの講演において、ニン・トアン省の2地点(フック・ディンとビン・ハイ)に、それぞれ100万kW級の軽水炉4基、合計8基を建設する予定であり、さらに2030年までには他の中南部の立地点に6基、総合計で14基(1,500万kW~1,600万kW)を建設するという、予備的計画内容を紹介しました。

 ニン・トアン省のフック・ディン地点とビン・ハイ地点への建設計画に関する投資報告書(プレFS結果報告書)については、既に政府審査に相当する国家評価委員会での審査が7月に結審し、本年10月の国会にて審議される見込みとなっています。国会を通過すれば、いよいよ具体的な建設計画に向けてFS(フィージビリティ・スタディ)がスタートすることとなります。

 フィージビリティ・スタディ実施には2年ほどを要すると予想されていますが、ベトナムが目標として掲げている初号機の運転開始2020年を達成するためには、2015年前後の着工となることが予想され、発電所の詳細設計や契約などを考慮すれば、かなりタイトなスケジュールであると言えます。

 今回のセミナーを国会での審議開始前のタイミングで実施したことに対し、ベトナムの国会・政府関係者や原子力関係者は高く評価し、メディアも、日越両国の現地紙やテレビが本セミナーの様子を報道するなど、高い関心を払っていることが伺われました。

ニン・トアン省の全体図



□OECD/NEAのダン・リー統括次長、原産協会を訪問

 経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)のダン・リー総括次長が9月2日、当協会を訪問し、服部理事長、石塚常務理事と懇談しました。東京での9月3日-4日の「第5回放射線防護システムの発展に関するアジア地域会議」に出席するため来日したもので、OECD/NEAの放射線防護・廃棄物管理部の専門家3名が同行しました。

メダルを手渡すダン・リー次長 OECD/NEA創立50周年記念のメダル


 懇談ではまず、新興国が原子力発電に積極的に参入して来ていることに関連して、どういう支援が必要で、どういうことができるかについての意見交換をしました。

 服部理事長は、世界で日本だけが40年間以上原子力発電所を継続して建設しているため、原発建設では「日本モデル」とも言うべきプロジェクト管理手法が確立しており、この経験を新興国にも役立てたいと語りました。また日本では、原子力国際協力センター(JICC)の設立等、途上国の要望に応える官民一体の国際協力体制が整ったことを紹介しました。

 ダン・リー次長は、新興国ごとの問題の違いを指摘し、その中で、アラブ首長国連邦(UAE)の国際枠組参加や、基盤整備への真剣な努力を高く評価しました。

 さらにダン・リー次長は、9月10日と11日にパリで行われるOECD/NEAが事務局を務める「多国間設計評価プログラム(MDEP)」の重要性を指摘。MEDPは規制の効率化、規制経験・審査経験の共有化を図るもので、服部理事長は、「MDEPのように産業界に密接に関わる会議には、産業界も積極的に参加すべき」との考えを表明し、ダン・リー次長も、この考えを強く支持しました。

 服部理事長から、原子力ルネッサンスに潜む5つのリスクとして、①ファイナンス、②プロジェクト管理(予算と納期・工期)、③サプライ・チェーン(必要時の必要部品の入手)、④重要技能者育成、⑤許認可発給の遅延、を指摘しました。

 また、米国で新しく採用された原子力発電所の「建設・運転一括許認可方式(COL)」の進展状況についても意見を交換しました。その中で、原子力規制委員会(NRC)は、規制の簡素化を狙ったが、どの電力もCOL方式の最初の申請者になろうとはしなかった問題が紹介され、これからの審査の進め方に関わるリスクに関する懸念も表明されました。

 服部理事長から、OECD/NEAが2008年に刊行した「原子力エネルギー・アウトルック2008」について、「原子力発電に関するすべての情報が一冊にまとめられており、使いやすい」との賛辞が表明され、ダン・リー次長は、4年ごとの改訂の意向を述べました。

 最後にダン・リー次長からOECD/NEA創立50周年記念のメダルが服部理事長に手渡されました。服部理事長からは、日本の原子力産業の「時間どおり・予算どおり」の原子力発電所建設でのプロジェクト管理手法を紹介した英文DVD「メイド・イン・ジャパン」を手渡しました。


□第10回PIFディーゼル・メンテナンス研修プログラムが開催

 2000年度より、当協会が毎年実施している「太平洋島嶼国フォーラム(PIF)ディーゼル・メンテナンス研修プログラム」が今年も8月31日~9月9日の日程で開催されました。

 初日の31日には、三菱重工業の相模クラブで歓迎レセプションが行われ(=写真右)、今回は、フィジー、サモア、ソロモン諸島、トゥヴァル、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、クック諸島などのPIF諸国・地域から15名が参加し、ディーゼルの組立やメンテナンスなどの研修後、富津火力発電所(東京電力)や発電機工場(大洋電気)を訪問し、見学・実習を通して日本の関係者と親交を深めました。

 PIF諸国・地域は、わが国の放射性物質輸送ルート沿岸国であり、わが国のエネルギー政策について理解してもらうことがとても重要です。また、これらの諸国・地域は、海面上昇による国土消滅危機との関わりもあり地球温暖化防止に高い関心を持っています。

 この研修プログラムは、これら島嶼国の主要な電源であるディーゼル発電機の技術者を対象に、主にメンテナンスに関する知識・技術を習得してもらうこと、および電力関連施設の視察により、日本のエネルギー事情の理解を深めてもらうことを目的に毎年実施しているものです。当協会では、電気事業連合会、海外再処理委員会(ORC)と協力して参加者を招聘しています。また、今年10月には「PIF中堅指導者招聘プログラム」が実施される予定で、どちらも今年度で第10回を数えています。


■情報発信・出版物・会合のご案内など

□会員向けメールマガジン「原産会員エクスプレス」創刊

 当協会は、会員の皆様の業務の一助になればと願い、協会事務局職員の入手した原子力情報を、毎月2回、会員各位へ電子メールにて情報をお送りするメールマガジン「原産会員エクスプレス」を9月1日に創刊しました。毎月1日と15日に電子メールで情報をお送りする予定です。

 このメールマガジンの主なコンテンツは、事務局職員が傍聴した政府の委員会、審議会、さらには業務上の必要性から傍聴した原子力関係の講演会、学会等の記録です(公開・無料の会議のみ)。

 職員の傍聴による聞き書きですので、不正確な点や誤解等もあるかもしれませんが、ご容赦頂ければと思います。

 配信をご希望の会員の方は、ご所属とお名前、配信先メールアドレスをお書き添えの上、melmag@jaif.or.jp までお送りください。

 なお、創刊号は会員ホームページ( https://www.jaif.or.jp/member/ )でご覧いただけます。

 

□日韓セミナー参加者を募集 都内で10月26、27日開催

当協会は、10月26、27日の両日、東京都港区のアジュール竹芝で、第30回日韓原子力産業セミナーを開催します。

 同セミナーは、1979年以来、韓国原子力産業会議との共催で、原子力開発利用に関する情報交換の場として交互に開催(第29回以降隔年開催)されており、今年は日本で開催します。

 今回のセミナーでは、「原子力発電所の運転・保守」、「使用済燃料・放射性廃棄物の管理、輸送」、「原子力発電所の設計・製造」と「将来炉技術」をテーマにし、パネルセッションでは、中国の特別参加を得て、日中韓での「人材育成」についての発表・討論も行われる予定です。

 韓国側の主な参加機関は、韓国水力・原子力発電(株)、韓国原子力研究所、韓国電力技術(株)や今年1月に発足した韓国放射性廃棄物管理公団などです。

 同協会では本セミナーへの参加者を募集していますので、参加費、プログラム等詳細については、同協会ホームページ(http://www.jaif.or.jp)をご参照ください。


□原産協会の会員専用ホームページ、英語版ホームページを9月24日、刷新

 当協会は、9月24日付で会員専用ホームページと英語版ホームページを刷新しました。両ページとも、デザインを一新するとともに、ニュースの掲載にCMSシステムを採用し、これまで以上に迅速な情報発信を目指しております。

 会員専用ホームページは、 https://www.jaif.or.jp/member/
 英語版ホームページは、 http://www.jaif.or.jp/english/

 会員専用ホームページでは、これまでの原産協会の活動の諸データを整理、充実させ、会員の皆さまの閲覧に供することを目指しています。

 また、英語版ホームページでは、海外への原子力関係ニュースの発信を最優先した構成としました。今回、初めて英語版会員名簿も掲載しました。

 今後、両ページとも掲載データを整理し、追加していくことに尽力する予定です。皆さまからのアクセスをお待ちしています。


■ホームページ・動画の最新情報

□原産協会HP(一般向け)の更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/ )

*国内、海外ニュースは毎週および随時更新しております。

〈原産協会からのお知らせ〉
・10月26、27日に都内で第30回日韓セミナーを開催のご案内。(9/14)
・会員専用の原子力情報メールマガジン「原産会員エクスプレス」創刊のお知らせ。 (9/4)

〈解説・コメント・コラム〉
・原子力発電の着実な推進を期待する ― 民主党政権への期待 ― (9/25)


□動画配信 ( http://www.jaif.or.jp/ )

・レポート 「大強度陽子加速器施設J-PARC」 (9/15配信)


□会員向けHPの更新情報( https://www.jaif.or.jp/member/

・会員専用HPと英文HP刷新のお知らせ(9/25)
・『第22回レポート 大強度陽子加速器施設J-PARC』を追加、更新。(9/15)
・『2007年度 第49回原子力産業実態調査報告』を掲載。(9/9)
・【日本の原子力発電所の運転実績】8月分データを掲載。(9/7)

   

□英文HPの更新情報( http://www.jaif.or.jp/english/

・Atoms in Japan (AIJ) : 週刊英文ニュース( 14本 9/27- 9/30)
・FOCUS:( 3本 9/1 -9/30)



■原産協会役員の最近の主な活動など

[石塚常務理事]
・9/7(月) 第14回核融合炉材料国際会議/第2回核融合・原子力国際ビジネスフォーラム 合同オープニングでの挨拶 (於:札幌)
・9/15(火) ~17日(金) ベトナム出張 日越原子力協力セミナー出席(於:ハノイ)

◇役員の雑誌等への寄稿、インタビュー掲載記事◇

[服部理事長]
  投稿記事掲載
 ・原子力Eye10月号:「原子力国際協力センター発足の背景と意義および今後の展開」 (※ 原子力国際協力センター 理事長として執筆)
 ・経済トレンド10月号:「日本の原子力産業の挑戦」

■原産協会入会のお知らせ(2009年9月)

・大阪大学 原子力ルネッサンス イニシアティブ


■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【7】

保険だけによらない賠償措置

今回は、保険だけによらない賠償措置についてQ&A方式でお話します。

Q1.(米国の賠償措置
米国は原子力事故に備えて約1兆円に及ぶ損害賠償資金を準備していると聞きましたが、それはどのような仕組みなのですか?

A1.
・ 米国の損害賠償措置の仕組みは日本と大きく違います。
・ 米国は第1次損害賠償措置として責任保険により3億ドル、第2次損害賠償措置として事業者共済である事業者間相互扶助制度により約99億ドル、合計約102億ドルを措置しています。
・ 事業者間相互扶助制度は、万一の原子力事故時に1原子炉・1原子力事故あたり最大9580万ドルの遡及保険料が全ての原子力事業者から徴収される仕組みとなっています。
・ なお、米国において、事業者の責任は措置額の約102億ドルを上限とする有限責任となっています。

【A1.の解説】
 第二次大戦後、米国において最初の原子力平和利用が行われるにあたり「巨額な賠償責任義務を負わされては、原子力事業は到底遂行できない」との民間事業者の声に応えて、1957年(昭和32年)にプライスアンダーソン法として原子力損害賠償制度が確立されました。

 この制度は当初、民間保険業界から得られる最大額である6000万ドルの保険付保を義務付けると同時に、それを越える損害は政府との補償契約により国家が5億ドルまで補償し、原子力事業者の責任を5.6億ドルに制限する、というものでした。

 しかし、この制度に対しては、原子力産業を過度に保護するものとの批判があり、1975年に1原子炉あたり最大500万ドルの事業者間相互扶助制度が導入されました。その後、1979年のTMI事故、1986年のチェルノブイリ事故を経て、1988年には責任制限額は72億ドル、事業者相互扶助は1原子炉あたり最大6300万ドルに引き上げられました。

 現在は第1次損害賠償措置として責任保険により3億ドル、第2次損害賠償措置として事業者間相互扶助制度により約99億ドル(1原子炉・1原子力事故あたり9580万ドル)、合計約102億ドルを措置しており、これが責任限度額となっています。

 なお、損害額が責任限度額を超える場合は、大統領が議会に補償計画を提出し、議会が必要な行動をとることになっています。

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Q2.(ドイツの賠償措置)
米国のように、責任保険以外の方法で賠償措置をとっている国は他にありますか?

A2.
・ ドイツにも米国と似たような損害賠償措置の仕組みがあります。
・ ドイツにおいては、第一層損害賠償措置として責任保険による約2.5億ユーロ、第二層損害賠償措置として自家保険による約22.5億ユーロ、の合計25億ユーロ(約3300億円)が措置されています。
・ 自家保険では、万一の原子力事故時に責任保険で賄えなくなる約2.5億ユーロを超える支払を、原子力事業者が負担することとなります。
・ ドイツでは、米国と異なり事業者の責任は無限責任です。措置額の25億ユーロを超える賠償も事業者の責任となっています。

【A2.の解説】
 ドイツの原子力施設に対する原子力損害賠償責任は、原子力施設の運営者にあるとされており、第一層損害賠償措置では、責任保険によって約2.5億ユーロまでが確保され、第二層損害賠償措置では、運営者の賠償支払い義務は、これらの運営会社の親会社である各電力会社の資金的保証によって、約22.5億ユーロが担保される仕組みとなっています。

 また、責任保険の免責事由に相当するなど上記の賠償措置により填補されない場合には、最大25億ユーロまで政府が補償します。政府補償の適用対象となる事故には、「戦争危険」「異常かつ巨大な自然事象」「外国の原子力事故により国内で損害が発生した場合で、海外の事業者に損害賠償請求が出来ない場合、または補償額が少ない場合」等があります。

 なお、25億ユーロを越える部分の責任は、事業者による無限責任となる点は米国の制度と大きく違う部分です。

 日本においては、賠償措置額600億円(平成22年1月1日以降は1200億円)はその全額を責任保険付保により措置されています。責任保険の免責事由に相当する場合は、国との補償契約により補償されます。原子力事業者の賠償責任には限度額が設定されていないため、事業者は賠償措置額を超える損害についても、賠償責任を負うこととなる無限責任となっています。ただし、原子力事業者が賠償責任を果たせないような場合は、国会の議決により国が援助することになっています。また、異常に巨大な天災地変、社会的動乱によって生じた損害の場合には、原子力事業者の責任範囲外となり、国が必要な措置を行うこととなります。

 シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」のコンテンツは、あなたの声を生かして作ってまいります。原子力損害の賠償についてあなたの疑問や関心をEメールで genbai@jaif.or.jp へお寄せ下さい。


 

■げんさんな人達 (原産協会役・職員によるショートエッセイ)

地元にある日本一の神社について

 私の勤め先の関係で約3年毎に転勤があり、家族共々の引越しを続けていたが、子供の教育環境も配慮し、10年前に福岡県福津市にマイホームを建てた。我が地元となった福津市にある西日本では有名な宮地嶽(みやじだけ)神社を紹介する。当然のごとく、私は我家に3年間住んで以降は単身生活を続けている。
 
 宮地嶽神社の創建は約1600年前にさかのぼり、神功皇后が三韓征伐の前にこの地に滞在し、宮地岳の頂に祭壇を設け祈願して船出したのが始まりといわれ、現在の境内はこの宮地岳の山腹に位置する。

 毎年220万人以上の参拝客が九州はもとより、東京、京阪、中国、四国などの各地から訪れ、特に正月三が日には100万人以上(当市人口の約20倍)の人々が訪れるそうで、開運商売繁昌の神社として知られている。

 宮地嶽神社には3つの日本一がある。

 一つ目は直径2.5メートル、長さ13.5メートル、重さ5トンの日本一の大注連縄(おおしめなわ)で神社のシンボルになっている。この注連縄は、3年に1度掛け替えられ約2反の御神田に、昔ながらの稲を生育させ、丹精こめたワラにてなわれるそうである。

 二つ目は直径2.2メートルの日本一の大太鼓で、今日の国産和牛では入手できないサイズの皮で調製されている。

 三つ目は重さが450キロもある銅製の日本一の大鈴である。
 遠くからもバスを連ねて来る(ご利益の高い?)有名な神社が地元にあるものの、私は信仰心が強い方ではないので、ごく当たり前に、正月の初詣だけは参拝している。自宅から神社までは約1.5キロの道のりを、連なる車列から他県ナンバーの車を横目で調べながら家族四人で歩いていく。長蛇の列が続く拝殿までの長い時間のあと、短い参拝を済ませ、恒例のおみくじを引いて今年の運勢を占う。

 ご存知と思うが、おみくじの縁起の良い順番(12段階の場合)は大吉>中吉>小吉>吉>半吉>末吉>末小吉>凶>小凶>半凶>末凶>大凶とされている。おみくじの吉凶の量の比率は神社仏閣によって様々で、近年は凶を減らすところもあると聞く。私のこれまでの運勢は、凶はないものの吉が最高で、ほとんどが末吉である。(因みに家族は大吉から末吉までまんべんなくあり、今のところ通算では、私の運勢が一番悪い)

 吉凶よりも運勢の説明で何が語られているかが大切とされ、おみくじの結果に一喜一憂することはないが、受験年だけは子供の運勢が気がかりであり、あと数年間は神頼み、おみくじの運勢が気になる年が続く。

 宮地嶽神社では秋分の頃には、秋季大祭が盛大に開かれるので、福岡に旅行の際には、是非とも足を運んでいただきたい。 (J.K)




◎「原産協会メールマガジン」2009年9月号(2009.9.30発行)
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