lights on with nuclear

 [JAIF]原産協会メールマガジン

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原産協会メールマガジン12月号
2009年12月25日発行

Index

■原子力政策推進活動

 □東京と大阪で1,116名参加、学生向け「原子力産業セミナー2011」
 □高レベル廃棄物処分で、新潟県柏崎市の女性グループと6回目の対話集会を開催
 □JAIFネットワークが「科学技術カフェ2009」へブース展示
  

■国際協力活動

 □当協会と中国原子力産業協会が協力協定に署名
 □在日外国大使館・代表部招待レセプションを開催
 □カマール・ヨルダン原子力委員会副委員長インタビュー
 □中国核工業集団公司(CNNC)李広長燃料局長との懇談
 □台湾の原子力発電所の高稼働率について(第24回日台セミナーから)

■ホームページ・動画の最新情報

 □原産協会HP(一般向け)の更新情報
 □動画配信
 □会員向けHPの更新情報
 □英文HPの更新情報
 

■原産協会役員の最近の主な活動など
■原産協会入会のお知らせ
■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【10】
■げんさんな人達(原産協会役・職員によるショートエッセイ)

本文

■原子力政策推進活動

□東京と大阪で1,116名参加、学生向け「原子力産業セミナー2011」

 当協会は12月12日(土)に東京で、19日(日)に大阪で、合同企業説明会形式のイベント「原子力産業セミナー2011」を開催しました。本セミナーは、学生と企業の就職・採用活動の支援、原子力産業への理解促進を目的に開催しており、4回目の今回は、従来の東京会場に加え、大阪会場でも開催。東京・大阪を合わせ、延べ60の企業・機関が出展、理工系の大学院生・大学生を中心に1,116名の学生が参加しました。
 
 両会場とも開場前から学生たちの列ができ、セミナーへの関心の高さが伺えました。開場時刻になると、早速学生たちは各ブースへと向かい、各企業もパワーポイントでのプレゼンテーションやブースに設置した模型を使っての説明を行うなど、出展者側も来場者側も熱心に話したり聞いたりしていました。コミュニケーションエリアでは、訪れた企業のメモを確認しながら同じ研究室の仲間たちと情報交換する学生の姿も見られたほか、日本に留学中の外国人学生の姿もありました。

 学生たちからは、「環境問題について学ぶうちに原子力エネルギーの持つ可能性に興味を持った」、「留学先で学んだ外国語を活かして国際的な仕事がしたい」、「原子力業界・電力会社に絞って話を聞きにきた」、「まだ進路に悩んでいて手始めにいろいろな業界のセミナーを回っている」、「地元で就職したいから電力会社を希望する」など、セミナーに参加した目的について話を聞きました。

 原子力業界に対しては、世界をフィールドに今後ますます伸びていく分野だとして期待を抱く声が多く聞かれました。また、有名なメーカーが原子力に力を入れていることを知り驚いたという意見や、これまで名前を知らなかった企業が熱心に原子力分野に取り組んでいることを知り興味を持ったという意見を述べる学生もいました。

 出展者からは、専門的な内容についても学生から質問が出ることがあり、手応えを感じたとの声がありました。一方で、一般的な知名度が低いので、まずはこの場をきっかけに事業内容などを知ってもらったことに意義があったとする企業もありました。また、「全体的に学生たちの原子力分野への関心が高まっており、期待以上の人数の学生に会えた」、「昨年は学生たちもまだリーマンショックの影響が見えてこなかったが、今年になって深刻さを実感していることが感じられ、就職活動に対する姿勢も力が入っている」という意見も聞かれました。
 来場者も出展者も多くの有意義な出会いがあり、実り多いイベントとなりました。

 なお、本セミナーはウェブ上の学生向け就職情報サイトである「マイナビ2011」にて、原子力産業特集を掲載中。
(マイナビ2011原子力産業特集ページ)
http://job.mynavi.jp/conts/2011/tok/genshi/

東京会場の様子(新宿エルタワー30階サンスカイルーム)
受付
ブースエリア
展示スペース

休憩スペース(コミュニケーションエリア)

大阪会場の様子(新梅田研修センター2階G・Lホール)
受付
ブースエリア
展示スペース
休憩スペース(コミュニケーションエリア)


□高レベル廃棄物処分で、新潟県柏崎市の女性グループと6回目の対話集会を開催

 当協会は12月17日、生活者の目線でエネルギー問題に取り組む新潟県柏崎市の「くらしをみつめる・・・柏桃の輪」15名に対して、高レベル廃棄物処分(地層処分)の対話集会を実施しました。

 6回目の開催となる今回は、「海外における高レベル廃棄物処分の取り組み」をテーマに、フィンランドやスウェーデンの事例を紹介したビデオを見た後、意見交換を行いました。このグループの皆さんは、問題意識が高く、毎回活発な意見や質問が出ますが、今回も2時間にわたって意見交換がなされました。
 
 出された意見では、「ビデオのなかで“処分問題は、技術だけでなく信頼が大事”と言っていたが、どう思うか?日本ではその信頼の部分が欠如しているから、事業が進まないのではないか」、「スウェーデンでは地域住民の80%が処分場建設を支持したそうだが、日本でも住民から前向きな機運が盛り上がってくることが理想的」、「“国レベルの仕事を手伝えることが嬉しい”とインタビューで答えていたが、住民にそのような気持ちを持ってもらうようになることが大切」――など、処分問題を進めるうえでは、技術的側面だけではなく、社会的側面の重要性が多くの方から指摘されました。

 また広報の在り方についても意見が出され、「最近CMを見るようになったが、処分場の必要性を訴える前に、“なぜ必要か”などの前段が必要」、「公共放送等を利用するなど、全国民に対し処分問題を周知する方法を考えるべき」、「柏崎市でも、処分問題について知る機会をもっと作ってほしい」――との意見も出されました。


□JAIFネットワークが「科学技術カフェ2009」へブース展示

 当協会の「JAIF地域ネットワーク」は12月6日(日)、千葉市「きぼーる」(千葉市科学館) で開催された、(独)放射線医学総合研究所(放医研)、内藤泰春科学技術振興財団の共催による「科学技術カフェ2009」にブース出展しました。

 「科学技術カフェ2009」は、放医研の中村秀仁博士(基盤技術センター研究基盤技術部)が、「内藤泰春記念賞」 を最年少で受賞したのがきっかけで企画され、放射線計測分野で常にユニークな研究をしている新進気鋭の中村氏が中心となり、「若い世代に向けた正しい放射線の知識の啓蒙」を目的に開催されたものです。

 中村氏の受賞テーマは、「放射線源から放出される粒子を用いた高信頼度での放射線計測方法の確立」で、放射線源から放出される放射線のエネルギーや放射線量を厳密に計測する方法を開発し、従来のものと比べ非常に精密な放射線計測器の校正を可能にしました。

会場の様子 当協会のブース

 
 イベント当日は天候にも恵まれ、長浜博行・厚生労働副大臣や熊谷俊人・千葉市市長(=写真下)を来賓として迎えたほか、家族連れや小学生のグループなど約350名の来場者があり、“市民と科学者がコーヒーやスープを片手に語りあう場”として大盛会でした。また、スタンプラリーを通じて、放射線に関わる科学技術の面白さを市民に体験していただきました。

 長浜厚生・労働副大臣は、「わが国において、より高度な医療を実現するためには、科学技術の進歩が極めて重要」、また熊谷千葉市長は、「千葉市を科学技術の都にしたい。いろいろなところで千葉市民が研究者とふれあい、模擬実験が行われるようなイベントをやってみたい」と述べ、来場者からは大きな拍手がわき上がりました。

 当協会の「JAIF地域ネットワーク」ブースでは、来場者への食品や医療、工業分野での放射線利用についての説明のほか、メンバーが作成したオリジナル放射線測定器の紹介とわが国で唯一食品照射が認められている「芽止めジャガイモ」を配布しました。同イベントについては熊谷市長のブログや千葉テレビでも大きく取り上げられました。

・内藤泰春科学技術振興財団  http://www.naito-zaidan.or.jp/
・内藤泰春記念賞  http://www.naito-zaidan.or.jp/pdf/news_01.pdf
・熊谷市長 blog   http://kumagai-chiba.seesaa.net/archives/20091206-1.html
・「科学技術カフェ2009」関連映像(千葉テレビ ニュース映像),
http://www.jaif.or.jp/ja/news/2009/sciencecafe2009news.mpeg


■国際協力活動

□当協会と中国原子力産業協会が協力協定に署名

 当協会は、11月26日に中国浙江省海塩県のホテルにおいて、中国原子力産業協会(CNEA)との「原子力平和利用分野における協力協定」に署名しました。併せて行われたシンポジウムでは、日中双方の原子力協会と日本原子力技術協会の活動の紹介、また、中国における原子力発電所の運転レビューと経験交流などについての紹介が行われました。

詳しくはこちらをご覧ください。
http://www.jaif.or.jp/ja/news/2009/jaif-cnea_agreement091126.html
    

□在日外国大使館・代表部招待レセプションを開催

 当協会は、原子力開発に関する情報交換と理解を深めるため、12月3日に、在日外国大使館・代表部の大使、外交官らを招き、レセプションを開催しました。

 在日外国大使館・代表部等からは、大使7名をはじめ24カ国の公使・参事官・書記官ら36名が参加し(下記に参加国リスト)、日本の原子力関係者、政府、原子力産業関係機関の約60名と、積極的に情報交換をする光景がみられました。
 





懇談風景

 今井会長(=写真右)は、歓迎の挨拶の中で、最新の情報によると現在50以上の国が原子力発電に関心を示し、その内10以上の国が新設計画に積極的に取り組んでいることに触れ、「原子力発電は地球温暖化の切り札として、重要な役割を果たすことが期待されており、世界的な原子力ルネッサンスの流れが止まることはないだろう。原子力の平和利用にあたっては、『核不拡散』、『原子力安全』、『核セキュリティ』の確保が大前提である」と述べました。
 
 さらに、本年3月に当協会が、関係機関の支援を得て、設立した「原子力国際協力センター(JICC)」(JAIF International Cooperation Center)では主に、人材育成、知識の普及、法制度整備などに関する協力を行っていることを紹介。 
 「このレセプションで有益な情報交換、意見交換を交わし、親交を深めて欲しい」と述べました。

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在日外国大使館・代表部の参加者:36名
【大使参加国】ブルガリア ヨルダン マレーシア マーシャル諸島 パラオ フィリピン スロベニア
【外交官等の参加国】アルゼンチン ブラジル ブルガリア カナダ チリ 中国 チェコ フィンランド フランス イラン イタリア マーシャル諸島 モンゴル ミャンマー オランダ パキスタン パラオ ポーランド ロシア スイス タイ 英国 米国 ベトナム


□カマール・ヨルダン原子力委員会副委員長インタビュー

 原子力発電の導入に向け動きが活発化するヨルダン。11月には原子力発電所の建設前コンサルティングで、豪ウォーリー・パーソンズ(Worley Parsons)社と契約を締結しています。原子力産業新聞はディマイ・ハダッド駐日大使の支援を得て、核セキュリティ・サミット準備会合(外務省主催)への参加のため来日した、カマール・アーラジュ・ヨルダン原子力委員会(JAEC)副委員長(=写真下)に独占インタビューしました。

――初号機運開はいつ頃を目指しているか?

カマール副委員長 当初は2015年の運開を計画していたが、コンサルティング契約締結の遅れなどから、現在では2019年をターゲットに定めている。建設候補サイトはアカバ近郊25km地点(アカバ湾から11km内陸)の1か所のみを考えている。同サイトの適合性についてのフィージビリティ・スタディをベルギーのトラクテベル・エンジニアリング社(GDFスエズ社の傘下)が本年10月に開始、2010年末に完了する。その後、入札方式ではなくコンサルタントの推薦を受けて原子炉供給者と協議を開始し、選定後2013年に着工、2018年には初臨界を達成し、2019年の運開に持ち込みたい。

――原子力発電所の認可は米国の建設・運転一括認可方式(COL)のような方式にするのか?

副委員長 建設前と運転前の2段階に分けて認可する。
――ウォーリー・パーソンズとコンサルティング契約に至った経緯は?
副委員長 16社に声を掛けたが、受注申請を出してきたのは10社だった。バーンズ&ロー社やベクテル社も申請してこなかった。3社に絞った後、最終的にウォーリー・パーソンズに決定した。同社は原子力発電分野では、ブルガリアのベレネ原子力発電所建設プロジェクトや、エジプト、アルメニアでの新規建設プロジェクトなどの案件で実績がある。ちなみに日本企業からの申請はなかった。

――採用候補炉型は?

副委員長 ヨルダンに大型炉は要らない。出力70万~100万kW程度で、安全実績を考え第三世代炉を採用したい。現時点では、①ATMEA-1(アレバ/三菱重工:110万kW)②OPR(韓国:100万kW);APR(韓国:100万~140万kW)③VVER-1000/1200(ロシア:100万kW);VVER-1500(ロシア);VVER-640(ロシア)④CANDU-6(カナダ:70万kW);ACR(カナダ:100万kW)――に絞られている。ウォーリー・パーソンズの評価や各供給者との協議を経て決定する。AP1000も候補になると思っていたが、米国との原子力協力協定の問題もあってか、ウェスチングハウス社はアプローチしてこなかった。

――すでにアレバへの発注を決めたとの報道もあるが?

副委員長
 そのような事実はない(笑)。きちんと評価手続きに従って炉型評価を進めている。

――規制体制構築の進捗具合は?

副委員長 旧ヨルダン原子力委員会(JNEC)は2007年に、JAECとヨルダン原子力規制委員会(JNRC)に分離された。両委員会とも首相直轄である。国王は原子力発電導入計画に非常に熱心で、我々は2か月毎に国王に進捗を報告している。安全基準等は当初、米原子力規制委員会(NRC)が採用しているものをモデルにしようと考えたが、あまりにも複雑なため断念した(笑)。現在は欧州型のやり方をもっと取り入れて、国際原子力機関(IAEA)の指針をベースにさらにシンプルな体系を目指している。

――人材育成は?

副委員長 原子力工学や医学・放射線防護関連の学科をヨルダン大学に設置している。また日本をはじめ、米国、カナダ、フランス、EU、韓国の規制当局にも協力を求めている。チェコにも研修員を受け入れてもらっている。運転員については選定された原子炉供給者が、運転員の訓練を担当することになる。
――原子炉供給者の選定に際しては、訓練プログラムも加味されるということか?
副委員長 その通りだ。原子炉供給者には最初の10年間の運転員をどのように確保するか検討してもらう。

――原子力発電の実施主体はどこになるのか?

副委員長 原子力発電所を所有・運転する原子力発電会社を設立する。同社は官民共同の形態をとり、ヨルダン政府だけでなく海外企業からの出資を想定している。ロシアが海外企業と設立する合弁企業(ロシア51%:海外企業49%)のようなモデルだ。同社の設立にあたっては、ウォーリー・パーソンズがアレンジすることになっている。

――原子力発電所建設の資金手当ては?

副委員長 ファイナンスは非常に重要な問題だ。BOOであれBOTであれ、あらゆる形式のファイナンスを検討している。原子力発電会社がヨルダン電力公社(NEPCO)と締結する電力調達契約から得た資金を、支払いに回すことになるだろう。

――日本に何を望むか?

副委員長 九州電力が実施する、PWRの一部出力を用いた海水脱塩プラントを見学したが、大変参考になった。また三菱重工業の品質管理には感銘を受けている。もちろん三菱重工業だけでなく東芝や日立の参画が望ましいと考えている。これまで東芝・日立からのアプローチはない。日本から原子力関連でヨルダンへアプローチしてきたのは、2年前の三井物産が初めてだった。同社は当時ヨルダンのウラン資源に関心が高かったようだが、現在は関心がなくなったようだ。

◇              ◇
 ヨルダンではエネルギー需要の95%を輸入に依存しており、エネルギー問題が最重要課題となっている。また国土の砂漠化も深刻で、年間5億立方メートルの水資源が失われていると言われてる。
 そのためヨルダン議会は2007年4月、発電と海水淡水化を目的とした原子力利用を認める法律を制定。同8月には国王アブドッラーⅡ世が、原子力発電の導入計画を早期に策定するよう政府に指示し、以来ヨルダンでは原子力導入に向けた動きが活発化していた。

 ヨルダンをはじめアラブ首長国連邦など、中東諸国の原子力発電導入に向けた動きの迅速さは、驚きをもって受け止められている。今後これら国々での原子力発電所が順調に稼動するようになると、これをモデルケースに他の国々へも波及していくことだろう。
(中杉秀夫 石井敬之)


□中国核工業集団公司(CNNC)李広長燃料局長との懇談

 中国核工業集団公司(CNNC)の李広長燃料局長ら一行が、日本の原子力関係者との会合や関連施設の視察のために来日したのを機に、11月27日、当協会の石塚常務理事と懇談しました。

懇談の様子

写真左が李広長燃料局長


 中国は原子力発電所の建設計画を意欲的に拡大していますが、わが国と同様、閉じた燃料サイクル確立を目指しています。1990年代に再処理パイロット・プラントを建設し、研究開発を進めていますが、発電コストに占める再処理コストの低減化が今後の課題となっています。

 李局長一行は、再処理コストを合理的に抑えるためには、安定して信頼性の高い商業再処理プラントを建設・運転することが必要だとして、世界最新鋭の六ヶ所再処理施設を建設した日本の技術を学び、そのためにも、日本の原子力産業界とビジネス協力を深めたいとの意欲を示しました。

 石塚常務は、日本の再処理プラント建設の歴史を紹介するとともに、相互訪問をさらに密接にすることを通じて技術専門家同士のコミュニケーションを促進することが望ましい、当協会と中国核能行業協会(中国原子力産業協会 CNEA)との協力協定(2009年11月26日締結)を通じて協力していきたい、と述べました。


□台湾の原子力発電所の高稼働率について(第24回日台セミナーから)

 去る11月17、18日に当協会が名古屋で開催した第24回日台原子力安全セミナーで、台湾電力の専門家から台湾の原子力発電所の運転・保守に関する発表が行われました。発表では、台湾の原子力発電所が近年90%前後の良好な設備利用率を達成していることの紹介とともに、その背景・理由等についての説明がありましたので、概略を紹介します。
  *       *      *
 台湾では現在、第1原子力発電所(金山、BWR、63.6万kW×2基)、第2原子力発電所(国聖、BWR、98.5万kW×2基)、第3原子力発電所(馬鞍山、PWR、95万kW×2基)の計6基、514.4万kWが運転中です。
 台湾の原子力発電所の過去10年間の運転実績は下表の通りで、近年は90%前後を維持しています。また、燃料交換停止期間は40日前後です。
 


 高い設備利用率を維持している背景・理由として、主に、以下の4点を挙げています。
  (1)計画外停止の減少(機器信頼度の向上)
  (2)燃料交換停止期間の短縮
  (3)運転管理の向上
  (4)原子力規制・検査要求事項(18ヶ月サイクル運転、保守規則の実施等)

(注)台湾の発表内容の詳細については、当協会の会員用ホームページに紹介していますので、ご覧下さい。( https://www.jaif.or.jp/member/


■ホームページ・動画の最新情報

□原産協会HP(一般向け)の更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/ )

*国内、海外ニュースは毎週および随時更新しております。

〈原産協会からのお知らせ〉
・【アジア原子力情報】サイトに「バングラデシュの原子力開発の現状」と「パキスタンの原子力開発の現状」を追加、更新(12/18)
・「原産協会事務局年末年始休業のお知らせ」ならびに「原産新聞からのお知らせ」(12/15)
・政府の行政刷新会議における事業仕分けに関連して、経済産業省と文科省に対して、そろぞれ1件の意見を提出(12/7)
・「当協会と中国原子力産業協会が協力協定に署名」(12/3)


□動画配信 ( http://www.jaif.or.jp/ja/jaiftv/ )

・『第25回レポート 第1回 つーる de アトム in Wakasa Bay』(12/15配信)


□会員向けHPの更新情報( https://www.jaif.or.jp/member/

動画配信に、『第25回レポート 第1回 つーる de アトム in Wakasa Bay』を追加、更新(12/15)
・「台湾の原子力発電所の高稼働率について-第24回日台原子力安全セミナー発表から-」(12/11)
・【日本の原子力発電所の運転実績】11月分データを掲載 (12/7)
・当協会国際部が取りまとめた『世界の原発開発動向関係データ』を掲載 (12/4)


□英文HPの更新情報( http://www.jaif.or.jp/english/

・Atoms in Japan (AIJ) : 週刊英文ニュース( 13本 12/1-12/25)
・FOCUS:( 1本 12/1 -12/25)


■原産協会役員の最近の主な活動など

[今井会長]
・12/3(木) 在日大使館・代表部招待レセプション(於:KKRホテル東京)

[服部理事長]
・12/3(木) 在日大使館・代表部招待レセプション(於:KKRホテル東京)
・12/9(水) 地方紙連合会東京支社長クラスとの懇談会(於:共同通信ビル)
・12/15(火) 核不拡散・核軍縮に関する国際委員会 川口・エバンス両共同議長による日豪両首脳に対する報告書の提示セレモニー(於:総理官邸)
・12/22(火) 平成21年度 福島県国民保護共同訓練(於:福島県原子力災害対策センター)

[石塚常務理事]
・12/3(木) 在日大使館・代表部招待レセプション(於:KKRホテル東京)
・12/7(月)~12/8(火) 高速炉システム国際会議(FR09)出席(於:国立京都国際会館)
・12/9(水) 地方紙連合会東京支社長クラスとの懇談会(於:共同通信ビル)

[八束常務理事]
・12/3(木) 在日大使館・代表部招待レセプション(於:KKRホテル東京)
・12/9(水) 地方紙連合会東京支社長クラスとの懇談会(於:共同通信ビル)


■原産協会入会のお知らせ(2009年12月)

・日本国土開発(株)
・テュフズードジャパン(株)
・新潟綜合警備保障(株)柏崎刈羽原子力警備支社


■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【10】

原賠法・補償契約法の改正
今回は、「原子力損害の賠償に関する法律」及び「原子力損害賠償補償契約に関する法律」と関係政省令の改正についてQ&A方式でお話します。

Q1.(原賠法の主な改正点
今回の法改正では、主にどのような点が改正されるのですか?

A1.
主な改正点は次の通りです。
・ 賠償措置額が2倍に引き上げられ、600億円から1200億円になり、特例額も2倍になります。また、補償契約に係る補償料率は、制度創設以降初めて40%引き下げられます。
・ 廃止措置など、事業行為終了後の損害賠償措置には、リスク低減を合理的に反映した特例額の創設が行われます。
・ 紛争調査会の役割として、新たに賠償の参考となる指針(原子力損害の範囲の判定など)を策定することが追加されます。
・ 原子炉等規制法における罰則の厳格化を踏まえ、罰則が引き上げられます。

【A1.の解説】
 我が国の原賠制度は原子力に関わる環境変化に対処するため、概ね10年ごとに見直されてきました。今回の改正では、前回の法改正(平成11年5月)以降に発生したJCO臨界事故(平成11年9月)の教訓、我が国保険会社の引受能力の向上、欧州先進国における動向などの情勢を踏まえて、関係法令の改正事項は次の通りであり、平成22年1月1日より施行されます。

(1) 時限条項である補償契約の締結・政府の援助に関する規定の適用期限の延長(原賠法20条)
 現行法では、政府による補償契約の締結及び援助の期限が平成21年12月末日で切れてしまいますが、引き続きその必要性が認められるため、10年間延長されます。今回の法改正はこの期限切れをきっかけに制度全体の見直しを行うものです。
(2) 賠償措置額の引き上げ(原賠法7条1項、施行令2条の表)及び補償料率の引下げ(補償契約法施行令3条1項)
 保険会社の引受能力の向上や賠償措置額に関する国際動向(改正パリ条約における事業者の賠償責任額の7億ユーロへの引上げ等)を踏まえて、現行の600億円から1200億円に引き上げられます。これに合わせて加工・使用等に係る賠償措置額の特例額が現行の120億円又は20億円(種類に応じて分類)からそれぞれ240億円又は40億円に引き上げられます。
 また、補償契約に係る補償料率については、制度創設以来変わらず1万分の5(教育機関における原子炉の運転等については1万分の2.5)でしたが、最新の知見、保険市場の評価、契約実績等を踏まえて、今回初めて40%引き下げられ、1万分の3又は1万分の1.5になります。
(3) 事業行為終了後の賠償措置の合理化
 原子炉などの廃止措置に伴い、事業行為終了後にサイト内で行われる核燃料物質等の運搬等の付随行為について、付随行為の相対的リスクに照らして合理的な額の賠償措置額の特例額が創設されます。
例えば1万kWを超える原子炉の場合、運転中は1200億円(現行は600億円)、使用済み燃料を炉心から取り出した場合は240億円(現行は600億円)、使用済み燃料を事業所から搬出した場合は40億円(現行は600億円)となります。
(4) 紛争審査会による賠償の参考となる指針の策定(原賠法18条等)
JCO臨界事故の損害賠償では、膨大な数の請求、現場の混乱、当事者の心理、事案間の一定の類似性など原子力損害賠償の特殊な性質が明らかになり、科学技術庁(当時)により設置の「原子力損害調査研究会」が損害認定判断基準等の作成を行いました。
これを踏まえて、賠償に関する紛争を当事者が自主的に解決することを促進するため、紛争審査会の所掌事務として、新たに原子力損害の範囲の判定や損害額の算定方法に関する基本的な考え方など、賠償の参考となる指針を定めることが追加されます。
(5) 補償契約事務の一部を損害保険会社へ委託(補償契約法に新設)
万一政府の補償契約の対象となる事案が発生した場合に、膨大な事務の遂行を確保し、被害者の円滑な救済を図るため、補償契約に基づく政府の業務の一部について、損害保険会社への委託が可能になります。
(6) 罰則の引上げ(原賠法24条、25条)
 原賠法では、事業者又は職員に対する罰則規定が設けられています。前回の原賠法改正以降の原子炉等規制法における罰則の厳格化を踏まえ、今回の原賠法改正において、罰則が現行の20万円以下の罰金から100万円以下の罰金に引き上げられます。

より詳細な解説はこちら
http://www.jaif.or.jp/ja/seisaku/genbai/mag/shosai10.pdf

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Q2.(法改正後も引き続き検討を行う事項)
原賠制度に関して、今後はどのようなことが検討されていくのですか?


A2.
 今回の改正に関連して、文科省の「原子力損害賠償制度の在り方に関する検討会 第1次報告書」には、引き続き検討を行う事項に次の2つが挙げられています。
・原賠制度の運用ガイドライン(仮称)の作成:JCO臨界事故の経験を踏まえた損害賠償対応のマニュアル化を行って、制度の円滑な運用を期すことにより、万が一の際の被害者の適切、迅速、公平な保護・救済が図られることとしています。
・原子力損害賠償に関する国際条約への対応の検討:原子力損害賠償に関する国際条約や国際的な原子力利用の拡大等の近年の国際動向を踏まえると、我が国の制度を充実させるだけでなく、原子力損害賠償に関する国際秩序への我が国の関り方を検討することとしています。

【A2.の解説】
①原子力損害賠償制度の運用ガイドラインの作成
 原子力損害賠償制度の運用に関する事項について、JCO臨界事故の際の損害賠償の対応を振り返りつつ、万が一原子力損害が発生した際の関係者の行動マニュアルとなるような「運用ガイドライン(仮称)」が政府によりまとめられることになっています。
 このガイドラインにおいては、関係者が紛争解決を支援するに当たってさまざまな状況に即して期待される対応や、一般的に想定される賠償の手続き、必要となる書類、望ましい調整の在り方等、円滑な賠償の履行の確保に資する事項が包括的に整理される予定です。

②原子力損害賠償に関する国際条約への対応の検討
 原子力損害賠償に関する国際枠組みについては、現時点では我が国が直ちに参加すべき状況にはないとされていますが、将来国際条約の締結を本格的に検討していく際の選択肢としては、我が国原賠法と親和性があること、締約国カンの拠出金による賠償措置の強化が望めること、米国が批准したこと、アジア周辺諸国を含めた幅広い国の参加の可能性があること等から、CSCを念頭に置くことが適当であるとされています。
 また、以下の各課題について、我が国にとっての利益及び負担、条約締結に向けた近隣諸国等との協調の在り方などが検討される必要があります。
<政策的課題>
 アジア諸国での越境損害の対応の明確化と我が国被害者の保護、我が国原子力産業の国際展開の支援、各国の損害賠償措置を保管する国際的資金措置、原子力導入国等における原子力損害賠償制度の整備・充実等、国際条約を締結することの意義を多角的に検討する必要があります。
<制度的課題>
 我が国原賠法や民事法制との整合性を確保すべき課題として、拠出金の負担に関する国内制度の創設、少額賠償措置額に係る公的資金の確保、専属的な国際裁判管轄・準拠法の整備、責任保険の効力の継続性の確保等を慎重に検討していく必要があります。

より詳細な解説はこちら
http://www.jaif.or.jp/ja/seisaku/genbai/mag/shosai10.pdf

 シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」のコンテンツは、あなたの声を生かして作ってまいります。原子力損害の賠償についてあなたの疑問や関心をEメールで genbai@jaif.or.jp へお寄せ下さい。


 

■げんさんな人達 (原産協会役・職員によるショートエッセイ)

「希望」

  「ギュルギュルギュル…」
 乗っているバンが強引に右折した。右側を並行して電動バイクが走っているのに、構うものかとの強引さ。バイクは、右折しながら接近して来る車など「何者じゃい」という風情。
 「やった!」。
 ぜぇっったい巻き込んだと思った。バラバラになったバイクが、カラフルな色彩とともに、想像力豊かな脳裏に浮かぶ。想像しすぎ、オレ。
 そんな心象風景もどこへやら、バラバラになったはずの電動バイクは、ひょーという情けない音を立てて、何事もなかったように遠ざかって行く。

 魔都上海。ここではすべてのものが過剰だ。人も車も騒音も活力も、多分、希望も。
 裏通りを行けば、手回しの圧搾器でサトウキビを搾り、絞り汁を売る老婆。一杯1.5元(20円)。表通りは、天を突く摩天楼、5ツ星ホテル、工事現場、車の洪水、摩天楼、5ツ星ホテル、工事現場、車の洪水、の連続。「格差社会」はどこの話か、持てる者と持たぬ者とのこの過剰な格差。でもメゲている人はいなさそうだ。

 日本もかつて騒音と活力、そして希望に満ちた時代があった。

 「日本はまだそんなに進んでいないからなあ。日本はまだ普請中だ」。(森鴎外
 そこまで遡らなくても、高度経済成長期には、むやみやたらな元気さで建設に取り組んだ時期があった。
 東海道新幹線は、1959年着工の1964年完成という元気さ。あの大工事を5年ですよ、旦那。しかも世界銀行から融資を受けて。首都高も中心部分は同じ時期に建設されている。「金は足らんが、体力と気合いは十分」という体育会系の気配だ。

 しかし今はどうだ。都会に住む人々は、自分も含めて、エコ好きな草食系一匹狼の群。私の主な移動手段は自転車、週末は家庭菜園で野菜を自給自足、そのわりに減らないCO2。「活力と成長」を譲り渡して「安全と安心」を得る。どこかの業界で聞いたような話ではないか。

エコなワタクシ(うふん

 しかし、自転車は健康と気分、環境にも良い。
 一応、成長を終えた身としては、これ以上、腹回りと体重を成長させないこと、できれば逆成長させることが重要課題だ。
 自転車で会社まで往復すれば34km、必要エネルギーは約1000kcal、牛丼特盛り一杯分になる(1007kcal=吉野家)。自転車に乗り始めて1年で体重は減り、人間ドックでは医者にほめられた。滅多にないことだ。
 年5000km走っていた自家用車も過去1年間は1000km以下、給油は年2回で済んでいる。年に約400リットルのガソリンを節約し、CO2放出は920kg削減した計算。ガソリン代1年分で自転車購入費を取り戻した。まことにめでたい。

愛車「ねぶた丸」(ピカピカ光りながら夜走るため命名)

 
 家庭菜園は心地よい。畑まで自転車で約1時間、今は主に収穫の季節だ。秋口に種をまき苗を植えた大根、小松菜、ホウレン草、白菜、キャベツ、ブロッコリー、ニンジンが収穫期だし、春に植えたショウガ、サトイモも収穫できる。来年初夏の収穫を目指してタマネギも成長中。雑草と戦い、そして負け、農薬を使わずに虫と作物を分け合い、割り勘負けする。プロ農家の作物には及びもつかぬ野菜だが、自分の手で作ったものは、何ものにも代えがたい安心感がある。
 
 ちなみに、私の「無農薬」は趣味だからできるのであって、農業を「業」とする農家に無農薬を求めるのは酷だ。「きれいな野菜、虫のいない野菜」を求める消費者の嗜好を受けて、農家は使いたくもない農薬(体に悪く、高い)を使っているのだ。消費者が変わらなければ、農家が無農薬へ転向するのは難しい。私は作物をベタがけ資材(不織布)やネットで覆って虫食いを減らしているが、効果のわりには手間とコストは大きい。

 話がそれまくった。何の話をしとったんだったっけ?

 そう、私たちにとって、活力、成長と希望の日々は、決して過ぎ去ったわけではない、と言いたかったのだ。個人として、組織として、また日本全体としても。

 政治の世界では、最近、小泉内閣や民主党政権などの「破壊型」政権に、国民が高い支持を与えている。国民からすれば、本当に「破壊」してくれることを望んでいるわけではなく(生活もあるしね)、閉塞感あふれる日本社会のどこかにポツンと風穴を開けてくれれば、程度の期待。いわば、パソコンやゲーム機のリセットボタンを押すくらいの気軽で手軽な「破壊」を望んでいるように思える。手間はたかだか、投票所に行くくらいだが、破壊が手軽なもので済む保証はない。

 でも、この、「ひょっとしたら自分が損をすることもあるかもしれないが、現状を壊して風穴を開けてほしい」という国民の気分は、おそらく大事だ。今後の日本の活力と成長、そして希望が開けるかどうかは、「上手な破壊」が行われるかどうかにかかっているのではないだろうか。関係当事者にとってはまことに迷惑な話ではあるけれど。

 「希望」を心に思い浮かべながら、最後にポーランドの作家スタニワフ・レムの言葉を引きたい。

「私は一体、性懲りもなく、どのような事件を、どのような嘲笑を、どのような苦悩を期待しているのだろうか?それは私にもわからない。しかし、私は、驚くべき奇蹟の時代はまだ永遠に過去のものとなってしまったわけではない、ということを固く信じていた。」(ソラリスの陽のもとに

 末筆ながら、皆様が良いクリスマスと新年を迎えられることをお祈りします。「驚くべき奇蹟の時代」が再び来たらんことを。(き)



◎「原産協会メールマガジン」2009年12月号(2009.12.25発行)
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