lights on with nuclear

 [JAIF]原産協会メールマガジン

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原産協会メールマガジン3月号
2013年3月25日発行

Index

■原子力政策推進活動

 □3件の理事長メッセージおよびコメントを発表
 □原子力安全シンポジウムを開催 
 

■国際協力活動

 □世界のアイソトープを巡る動向に関する講演会の開催

■会員との連携活動

 □第7回原産会員フォーラムを開催 

■情報発信・出版物・会合のご案内

 □第46回原産年次大会、参加申込み受け中 

■ホームページの最新情報
■原産協会役員の最近の主な活動など
■原産協会入会のお知らせ
■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【47】
■げんさんな人達(原産協会役・職員によるショートエッセイ)

本文

■原子力政策推進活動

□3件の理事長メッセージおよびコメントを発表

  当協会は7日から11日にかけ、下記3件の理事長メッセージおよびコメントを
発表しました。

・『「3月11日」から2年を迎えて』
http://www.jaif.or.jp/ja/news/2013/president_column13%28130311%29.pdf

・「原子力安全の信頼回復のために新安全基準(案)へのコメント」
http://www.jaif.or.jp/ja/news/2013/president_column12%28130308%29.pdf

・「福島第一原子力発電所廃炉の研究開発の国際事業化について」
http://www.jaif.or.jp/ja/news/2013/president_column11%28130307%29.pdf


□原子力安全シンポジウムを開催

 当協会は、2月26日、東京都千代田区の一橋講堂において、原子力安全シンポジウムを開催しました。本シンポジウムでは、「東京電力福島第一原子力発電所事故後の原子力安全への取組み」を基調テーマに、当協会の第三者的立場から、規制当局、事業者、原子力専門家、メディアが一堂に会して、福島第一原子力発電所事故後の原子力安全確保に向けた対話の場が実現しました。これに加え、強みである海外との関係を活かし、欧州規制、米国産業界関係者を招き、グローバルな視点からの知見を引き出すことができました。

 開会挨拶を、今井敬・当協会会長(=写真右下)が行い、東京電力福島第一原子力発電所事故の発生以降、「福島の復興なくして日本の原子力の将来は無い」との強い決意のもとに、原子力関係者が国と協調・連携しながら取り組んできたと述べました。

 また、同会長は、「事故を踏まえた海外における安全性向上の取組みを紹介してもらい、グローバルな視点にたった意見交換を行うことは、世界最高水準の安全性の達成を目指す我が国の原子力関係者にとっても有益な場となる」ことを本シンポジウムに期待しました。
 さらに、本シンポジウムを通じて、「事業者の原子力安全への取組み状況について、理解が進むとともに、新基準の策定など当面の規制課題について、規制側と事業者が対等の立場でオープンに対話することによって認識を共有し、実効的規制の実現を望む」ことを訴えました。
 最後に、本シンポジウムが、「国民の皆様の原子力に対する信頼の回復に、少しでもつながることを期待する」と述べました。


 基調講演では、吉川弘之氏(科学技術振興機構 研究開発戦略センター長、東京大学 元総長、日本学術会議 元会長)(=写真右)が行い、「技術者の社会的責任」と題して、「福島での事故から学び、将来に生かしていかないといけない。それが技術者の責任である。」と述べました。

 さらに、福島の教訓として、「科学者はそれぞれの専門分野の知識を持ち寄り、対応への助言をまとめて行うことができていなかった。これを社会の教訓として学び、社会を変えていかないといけない。個人の記憶、組織の記憶が大事である。」と訴えました。


 もう一つの基調講演では、J. ラークソネン氏(フィンランド放射線・原子力安全庁(STUK) 元長官、西欧原子力規制者協会(WENRA) 前会長)(=写真左)が行い、「原子力リスク低減に繋げる社会的・制度的マネジメント」と題して、「最適な意思決定を行うには、意思決定者が、タイムリーに行動することが重要である。また、プラントの安全について理解した人に権限が与えられるべきである。さらに、地域防災については、権限を持った公的機関のトップが行う必要がある。」と訴えました。


 パネルディスカッションでは、田中伸男氏(日本エネルギー経済研究所 特別顧問、国際エネルギー機関(IEA)元事務局長)(=写真右下)が議長を務め、J. ラークソネン、A. ピエトランジェロ氏(米国原子力エネルギー協会(NEI)上級副理事長兼原子力責任者)、山本哲也氏(原子力規制庁 審議官)、岡本孝司氏(東京大学大学院 教授)、滝順一氏(日本経済新聞 論説委員)、富岡義博氏(電気事業連合会 原子力部長)、計7名で行いました。

 J. ラークソネン氏からは、欧州での取り組みについて「福島での事故が起こる前から規制の強化に取り組んできた。特に冗長性や多様性を重視して、最後の取り組みについては事業者が責任を持って取り組む。」と述べ、さらにシビアアクシデント対策では、「恒設の設備では、全て使えなくなることもある。だからこそ、可搬も必要である。」と訴えました。

 A. ピエトランジェロ氏からは、米国での取り組みについて「規制当局と産業界とが、公衆の健康と安全を守ることに、一緒に取り組むことが重要である。」と述べ、コミュニケーションの重要性を訴えました。また、シビアアクシデント対策では、「米国では、可搬式ではあるが、恒設でも良いと考える。特に恒久的な対策では、プラントの影響を良く考えるべきである。」と述べました。

 山本哲也氏からは、現在の新安全基準の取組み状況を説明した上で、シビアアクシデント対策では、「まずは米国のように可搬設備で対応し、将来的には欧州のように恒設設備で対応することを考えている。」と述べました。

 富岡義博氏からは、事業者の取組み状況を説明した上で、シビアアクシデント対策では、「安全性の想定に対し、可搬式と恒設式について最適な組み合わせを事業者が考えることがよいのではないか。組み合わせには、事業者の創意工夫や柔軟性があるべきだ。」と強調しました。

 岡本孝司氏からは、シビアアクシデント対策では、「恒設設備をつけると必ず安全性が向上するとは限らない。新たなリスクを生むこともある。」と述べました。さらに、規制に関して、福島での事故の教訓としては、「緊急時マネジメントの失敗」と、「原子力安全規制の失敗」とがある。」と指摘し、「特に、法律遵守ばかり見て原子力安全を目標としていなかった。」と述べました。また重要なのは「厳しい規制」ではなく「高いレベルの規制」ではないかと指摘した上で、「原子力安全という同じ目標に向かって、事業者と規制側とは良く議論すべきだ。」と訴えました。

 滝順一氏からは、メディアの視点で、「コミュニケーションは不足している。規制委員会の方も言葉づかいについては気を付けるべきだ。このような公開のシンポも少ない。立地地域へ規制側が出向いて説明していない。」と述べました。

 最後に議長総括として、田中伸男氏からは、「できるだけパフォーマンスベースに取り組むこと」、「最大のコンセンサスは、コミュニケーションの重要性である。委員、スタッフのレベルで必要」、「このまま、発電所を止めておいて良いのかという議論は、政治が責任を取らないといけない」、「規制側も事業者側も安全について、真摯に取り組むことが必要」、「リスクをマネジメントしていくこと、(国民へ)正確に伝えていくことが、(原子力の)信頼回復に向けて大切」、「グローバルスタンダードを目指して、原子力の安全についても議論していけると良い」と訴えました。



パネルディスカッションの様子



■国際協力活動

□世界のアイソトープを巡る動向に関する講演会の開催

 当協会は3月6日、世界のアイソトープ(RI)を巡る動向に関する講演会を開催しました。当協会の会員企業等からおよそ40名が参加しました。今回、放射性医薬品を含め、幅広く、アイソトープ供給をとりまく最新の状況・課題等について、日本アイソトープ協会の医薬品・RI部医薬品・試薬課長の中村伸貴氏、ならびにロシア・アイソトープ社海外貿易部長のボリス コズロフ氏よりご講演いただきました。

 アイソトープの利用の分野は、医療、工業、農業等、多岐多様にわたっていますが、わが国は、RI製品、その原料の多くを海外からの輸入に頼っている現状です。最近、核医学に多用されるテクネチウム(Tc-99)製剤の原料であるモリブデン-99(Mo-99)について、供給源の研究炉の高経年化のみならず、供給ルートにも大きな制約を受け、国際的な供給に大きな問題が生じました。

 日本アイソトープ協会の中村氏からは、日本におけるRIの流通状況と題し、日本の主なRI・放射性医薬品の流通経路、各種用途別のRIの流通核種とその供給量の年推移、輸入の現状、輸送経路等について、詳細なデータに基づきご説明いただきました。

日本アイソトープ協会 中村氏講演

講演の後、アイソトープ協会の役割、今後のRI供給展望等について、ロシア側から質問攻め。


 中村氏の講演に続き、ロシア・アイソトープ社のコズロフ氏に講演いただきました。ロシアは、医療をはじめする高度な放射線利用の促進を目指していますが、国営原子力企業ロスアトムの傘下にある同社の役割(国内外へのロシア製製品の販売)とロシアのRIの生産能力、海外市場参画の展望等についての説明がありました。海外とのビジネスでは、輸出だけでなく、ロシア国内需要の高まりを受け、放射線利用の高度医療機器の輸入にも大きな関心があるとのことでした。また、今後の協力として、輸出入だけでなく、共同研究や合弁企業の設立等においても両国間で協力の可能性があるとし、従来の発電や燃料分野にとどまらず、放射線利用という新たな分野での交流の拡大に大きな期待が示されました。

ロシア アイソトープ社

商業本部長 バクレンコ氏(右)
講演者のコズロフ氏(左)


コズロフ氏 講演風景

日本の参加者からは、アイソトープ社の役割、RI生産工場等について、質問が相次ぎました。



■会員との連携活動

□第7回原産会員フォーラムを開催

 当協会は3月8日、原産会員フォーラムを東京・霞ヶ関ビル・東海大学校友会館で開催しました。

 フォーラムでは原子力産業の海外展開を進めるうえで重要な「諸外国の原子力損害賠償制度と国際条約」について、当協会 政策推進部の大西一之調査役と冨野克彦主任より講演を行いました。

 講演では、
(1)原子力損害賠償制度(原賠制度)に関する基本的事項
(2)海外展開における原賠制度上の留意点
(3)諸外国の原賠制度の比較
(4)越境損害の原子力損害賠償
についてスライドと共に、各国際条約の比較表、条約加盟国一覧表の資料を使用して説明を行い、①海外展開の際には当該国の原賠制度を確認することが重要であること、②事故発生国の事業者と、他国の被害者との間には原賠制度が適用されないことなど、海外展開の際の賠償リスクを考えるためのポイントを指摘しました。
(講演資料は、原産協会の会員向けウェブサイトに掲載されています。)

 本フォーラムには会員約80名が参加し、会員からは、ドイツの原賠制度に関する詳細、出資者の賠償リスク、福島原発事故が免責と判断されなかった背景、などについて質疑が行われました。

会場風景


■情報発信・出版物・会合のご案内

□第46回原産年次大会、参加申込み受け中

 当協会は4月23日から25日、「原子力ゼロ?-世界がつきつける日本の責務」を基調テーマに、第46回原産年次大会を東京都港区虎ノ門の ニッショーホール(日本消防会館) で開催いたします。
 お早めに参加申込み戴きますようご案内いたします。
 
 大会の詳細は、こちらをご覧ください。 http://www.jaif.or.jp/ja/annual/46th/46th-annual_top.html


■ホームページの最新情報

□原産協会HP(一般向け)の更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/ )

*国内、海外ニュースは毎週および随時更新しております。

・2/26「原子力安全シンポジウム」開催概要 (3/15)
・理事長メッセージ『「3月11日」から2年を迎えて』(3/11)
・理事長コメント「原子力安全の信頼回復のために新安全基準(案)へのコメン
ト」(3/8)
・「福島第一原子力発電所廃炉の研究開発の国際事業化について」(3/7)
・福島第一原子力発電所1~4号機の廃止措置等の状況 (随時)
・福島原子力発電所に関する環境影響・放射線被ばく情報 (随時)
・福島地域・支援情報ページ (随時)
 地元自治体の動きやニュース、地元物産・製品等の情報を掲載中
・「日本の原子力発電所(福島事故前後の運転状況)」を掲載 (随時)

□動画配信 ( http://www.jaif.or.jp/ja/jaiftv/ )

・「フィンランド放射線・原子力安全庁 元長官 J・ラークソネン氏インタ
ビュー」(2/28公開)
http://www.jaif.or.jp/ja/jaiftv/index.html

□会員向けHPの更新情報( https://www.jaif.or.jp/member/

・「第7回原産会員フォーラム(テーマ別会合)」配布資料を掲載 (3/12)
・【日本の原子力発電所の運転実績】2012年2月分データを掲載(3/11)


□英文HPの更新情報( http://www.jaif.or.jp/english/

・Atoms in Japan:英文原子力ニュース(AIJ) (随時)
・Fukushima & Nuclear News (毎日更新)
・Status of the efforts towards the Decommissioning of Fukushima Daiichi
 Unit 1-4 (随時)
・Environmental effect caused by the nuclear power accident at Fukushima
 Daiichi nuclear power station (随時)

[Information]
* Updated Graphs! Public Opinion Survey as of March 4, 2013 (3/19)
* JAIF President's Comment on Two Years since the 3/11 (3/12)
* JAIF President's Comment on International Project on Decommissioning
R&D (3/11)
* JAIF President's Comment on New Safety Standards (3/7)
* Stress Test and Restart Status (随時)
* Current Status before and after the earthquake (随時)
* Operating Records of Nuclear Power Plants (随時)
* Developments in Energy and Nuclear Policies after Fukushima Accident
 in Japan (随時)
* Trend of Public Opinions on Nuclear Energy after Fukushima Accident  
in Japan (随時)



[福島事故情報専用ページ] 「Information on Fukushima Nuclear
Accident」 (随時)


■原産協会役員の最近の主な活動など

[服部理事長]
・3/14-20 原子力国際安全シンポジウム(スロバキア)およびJapanese Day(ベルギー)での講演に伴う海外出張。

[佐藤常務理事]
・3/26-27 若狭湾エネルギー研究センターアジア原子力人材育成会議出席に伴う出張


■原産協会入会のお知らせ

・(株)日本総合研究所
・新日本非破壊検査(株)
・日本マタイ(株)



■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【47】

諸外国の原賠制度の特徴(3)
 諸外国の原賠制度の特徴についてQ&A方式でお話します。

Q1.(原子力事業者の責任制限)
諸外国においても我が国と同様に、原子力事業者は無限に原子力損害の賠償責任を負うのでしょうか?

A1.
・ 全ての国の原賠制度が無限責任を採用しているわけではありません。
・ 無限責任制を採用する国の例として、我が国の他にドイツやスイスが挙げられます。
・ しかし、他の多くの国の原賠制度では原子力事業者の賠償責任に一定の限度を設けており、世界的に見れば、むしろ責任制限は原賠制度の基本的な原則の一つとなっています。
・ なお、原子力損害賠償に関する国際条約には責任制限に関する一定の基準が規定されています。


【A1.の解説】
 我が国の「原子力損害の賠償に関する法律」(原賠法)では、原子力事業者の責任制限についての規定がないことから、原子力事業者は無限に責任を負うこととなりますが、このような無限責任制を採用する国は、他にドイツやスイスなど極めて少数です。我が国の場合と違いドイツやスイスにおいては、原子力事業者の責任が無限であることを法律に明記しています。

 一方、その他多くの国においては原子力事業者の賠償責任に一定の限度を設けています。原賠制度は原子力黎明期の米国において原子力の平和利用を進める際に、巨額の賠償負担は民間企業には負いきれないと判断した民間側の強い要請により1957年に世界で初めて制度化されました。それ以来、原子力事業者の責任制限は原賠制度の基本的な原則の一つとして世界中で採用されています。
 我が国においても制度導入時に責任制限の採用が検討されたことがありましたが、原子力損害が一定額を超えた場合であっても第三者である被害者に対して国が無制限に補償するような制度を創設することは制度設計上、また財政的にも難しい反面、被害者の保護に万全を期さなければ原子力産業は安定成長できないという考えが強く指摘されたことから、責任制限の導入は見送られました。

 1つの原子力事故に対する原子力事業者の責任制限額は、最も高額な米国では125億9448万ドル(約1兆68億円)に設定されていますが、パリ条約の加盟国である原子力大国のフランスでは約9147万ユーロ(約98億円)、同じくイギリスでは1億4000万ポンド(約181億円)、ウィーン条約の加盟国であるロシアでは条約の規定額である500万米ドル(1963年4月29日の金による米ドルの価値としての500万米ドル:約204億円)と規定されており、また我が国近隣の中国では3億元(約38億円)、韓国では3億SDR(約369億円)と規定されています。

 なお、原子力損害賠償に関する国際条約には責任額に関する規定があり、その額はパリ条約では1事故あたりの最高責任額を1500万SDR(約19億円)、ウィーン条約では同じく責任額を最低500万米ドル(1963年4月29日の金による米ドルの価値としての500万米ドル:約204億円)、改正ウィーン条約及びCSCでは同じく責任額を最低3億SDR(約369億円)、改正パリ条約では同じく責任額を最低7億ユーロ(約724億円)としています。


Q2.(責任限度額を超過した場合の補償)
諸外国が設定する責任限度額を超える原子力損害が発生した場合、被害者はどのように救済されますか?
 

A2.
・ 責任限度額を超過する損害が発生した場合、国家がさまざまな方法で被害者を救済することが原賠制度の基本的な原則の一つとなっています。
・ 救済の具体的な方法としては、国家による補償、事業者等の基金による補償、国家による被害者への公平な配分など、国によって異なります。
・ 他方、無限責任を規定するドイツやスイスにおいて賠償資金を超える損害が発生した場合には国が配分方法を決定することが規定されています。


【A2.の解説】
 我が国の原賠制度は原子力事業者が無限に責任を負う仕組みになっていますが、多くの国においては原子力事業者の賠償責任を一定限度に制限しているため、大規模な原子力事故が発生すれば損害額は責任限度額を超過してしまう可能性があります。

 責任限度を超過する損害が発生した場合、国家が被害者を救済することが原賠制度の基本的な原則の一つとなっています。その救済方法は国によりさまざまであり、その例としては、国家による補償(上限のある補償、あるいは上限規定のない補償)、事業者等の基金による補償、国家による被害者への公平な配分などの方法が規定されています。

 なお、我が国には原子力事業者の責任制限が規定されていませんが、損害額が賠償措置額を超え、必要と認められる場合には国が必要な援助を行うことが規定されています。福島原発事故の賠償に際して損害額が賠償措置額を大きく超えると見込まれたため、国の援助の具体的な方法としての原子力損害賠償支援機構を通じた特別資金援助の仕組みが新たに作られました。
 一方、無限責任を規定するドイツやスイスでは、損害額が原子力事業者の用意できる賠償資金を超えてしまった場合には国が配分方法を決定することになっています。

 諸外国における責任限度を超過する損害が発生した場合の救済方法は以下の通りです。
・ 国が補償する国(上限規定なし)

ロシア、米国、マレーシア
・ 国が一定限度まで補償する国
中国(8億元:約103億円)、フランス(3億SDR:約369億円)、イギリス(3億SDR:約369億円)
・ 事業者等の資金により基金を設けて支払う国
ベトナム(上限規定なし)、ポーランド(上限規定なし)、インド(上限3億SDR:約369億円)
・ 国が配分方法を決定する国
台湾
・ 規定がない国
韓国、インドネシア


(表をクリックすると、拡大表示されます)



◇    ◇

○ 原産協会メールマガジン2009年3月号~2012年10月号に掲載されたQ&A方式による原子力損害賠償制度の解説、「シリーズ『あなたに知ってもらいたい原賠制度』」を冊子にまとめました。

最新版の冊子「あなたに知ってもらいたい原賠制度2012年版(A4版324頁、2012年12月発行)」をご希望の方は、有料[当協会会員1000円、非会員2000円(消費税・送料込み)]にて頒布しておりますので、(1)必要部数、(2)送付先、(3)請求書宛名、(4)ご連絡先をEメールで genbai@jaif.or.jp へ、もしくはFAXで03-6812-7110へお送りください。

シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」のコンテンツは、あなたの声を生かして作ってまいります。原子力損害の賠償についてあなたの疑問や関心をEメールで genbai@jaif.or.jp へお寄せ下さい。


       
■げんさんな人達(原産協会役・職員によるショートエッセイ)

 夢追い求め、グランジュッテ


 小学校3年の夏、友達と3人でバレエの教室を訪れ、面白そうだからというほんの何気ないきっかけで始めた。ところが、身体が硬く、どうしても足がアン・ドゥオール(外側)の方向に開かない。

 中学生の時、二人の友達は上のクラスに上がったものの、自分だけが下のクラスに取り残されてしまった。周りではグラン・パドドゥやソロを踊り始めている人もいる中、私は高校生になってようやく、両足180度の開脚で床につけることができるようになった。普通の人が数週間から数か月、元から柔軟性のある人ならすぐにでもできるところを、実に7年もかかった。

 後ろに足が自在に上がり、背中の筋肉が使えてきたその頃、初めて出演した本格的な作品が、“ジゼル”第2幕である。この場面は、ドイツの森に出現すると言われる妖精・ウィリーの伝説に基づいており、いわゆる“白いバレエ”の代表作として知られている。私たちが演じるウィリーは人間ではなく、また、音に関して言えば、あくまでも音楽が主役なので、走るときも跳んで着地するときも足音を立てないようにと教えられた。

 高校2年の時、稽古の回数が週3回から5回に増えたところで、ジョージ・バランシン*の師事を受けた米国ニューヨーク・シティ・バレエ団出身のロイ・トバイアス氏が専属で私たちのスタジオで教えることになった。その後約5年の間に、クラシックからビートルズ、スコット・ジョプリンの曲に至るまで、斬新で洗練されたドラマチックな作品を数多く振付けてくれた。

 大学生になると、稽古場には、一緒に始めた二人の友人の姿は無く、私以外の同年代以上では、プロのバレエダンサーを志望するか既に教えている人たちだけが残っていた。それでも、第一線の振付家のエネルギッシュなレッスンを殆んど毎日受けられるのは今しかないと思い、何とか必死でついて行ったことを思い出す。

 就職後翌年から3年間は、R・A・D(ロイヤル・アカデミー・オブ・ダンシング)という英国ロイヤルバレエ団のメソッドを取り入れたアカデミーで初心者に混じって基本から比較的ゆったりとしたペースで練習を続けていた。

 20代後半になってから、大人でももっとよく見てくれる所があるということで稽古仲間に誘われ、有名なプリンシパルを何人も育ててきた日本バレエ協会の先生のスタジオに通い始めた。私たちは素人でありながら、先生の要求するレベルは高く、ここでは単に趣味として楽しもうという人には向かないようで、いつも少人数の中で熱心に指導をしてくれた。以来10年以上にわたり、体育会系とも囁かれていた稽古を積み重ねることで、爪先での立ち方も、回転も10代、20代の時より安定してきたことが何より嬉しかった。不可能が可能になって行く瞬間の一つ一つがとても有り難く感じられた。

 そして今、これまでの舞台写真を目の前に、30年以上も踊り続けることができたことが、私にとって大きな宝となっている。  (スワニルダ)

(* ジョージ・バランシン:クラシックバレエとモダンバレエの橋渡しをした20世紀を代表するロシア人振付師 1904年-1983年) 


1998年4月29日、メルパルクホールでの発表会にて
 

◎「原産協会メールマガジン」2013年3月号(2013.3.25発行)
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