lights on with nuclear

 [JAIF]原産協会メールマガジン

JAIFロゴ
原産協会メールマガジン10月号
2012年10月26日発行

Index

■最近思うこと (理事長コラム)  
■原子力政策推進活動

 □理事長メッセージ「『新大綱策定会議』の廃止に際して」を発表 

■国際協力活動

 □カザフスタンで日本の原子力について講演
 □日本の原子炉メーカーを紹介 IAEA展示会

■福島支援クラスターによる活動

 □住民グループの放射線勉強会を支援:広野町

■原産協会からのお知らせ

 □「東北三県(岩手・宮城・福島)2013ふるさとカレンダー」に関する協力のお願い

■ホームページの最新情報
■原産協会役員の最近の主な活動など
■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【42】
■げんさんな人達(原産協会役・職員によるショートエッセイ)

本文

 
最近思うこと (理事長コラム)
 
理事長 服部 拓也
         

・・・原子力の健全な発展にとって大切なこと・・・

 このところ国際会議での講演の機会が多い。そうした場では、世界が福島第一原子力発電所事故後の日本の原子力政策の動向を注視していることをひしひしと感じる。
その際には、「我々は宇宙船地球号の乗組員である」との思いから、日本のみならず人類の持続的発展のために、「原子力はこれからも健全に発展していくことが不可欠である」ということを常日頃肝に銘じている点を織り込んで発信していくことにしている。

「透明性」
 「透明性」の重要さについて耳にしたのは30年程前、フランス電力会社との会議の席上であった。あれから随分時間が経つが、福島での事故によって国民の信頼を根底から損なうことになった今、信頼の回復が我が国の原子力界が直面する最重要課題となっている。あらゆる場面での「透明性の確保」こそ、信頼回復の鍵である。徹底した情報の公開と説明責任、即ち、徹底した国民並びに国際社会とのコミュニケーションが求められている。

「国際化」
 IT技術の飛躍的革新により、人類は、何時でも何処でも誰とでも、コミュニケーションが出来るようになり、あらゆる分野でのグローバル化が一気に進展した。原子力という技術はもともと一国内で閉じるものではない。しかし、今回の事故で、情報が瞬時に世界を駆け巡り、国際機関や各国から支援の手が差し伸べられる一方、各国の原子力政策が揺さぶられる事態を目の当たりにして、原子力を考える際にグローバルな視点の必要性を改めて実感した。原子力技術は世界の共有財産であるとの認識に立ち、国際社会に情報発信しながら国際的な連携・協力を進めていくことが必要である。

「責任」
 9月の国際原子力機関(IAEA)総会のサイドイベントで「原子力の持続可能で責任ある開発」と題して話した。「責任ある開発」について言えば、原子力の持つ二面性(平和利用と軍事利用、利用可能性と潜在的危険性)という特徴から、その開発・利用には高い倫理観が求められる。安全確保については、当事者の第一義的責任とともに、「安全文化」の徹底が求められる。原子力利用による便益の拡大を図ると同時に、将来世代に過大な負担を強いることがないよう配慮しなければならない。更に、とりわけ立地地域との関わりがこれほど深くかつ重い技術も見当たらない。我々はこのような技術を取り扱うことの責任の重さをしっかり受け止め、これからも原子力と向き合っていく必要がある。

「持続可能性」
 原子力技術は、地球規模という空間的な拡がりの視点に加え、放射性廃棄物のことを考えると、時間的にも千年、万年を考慮する必要がある。つまり、政策の一貫性とともに、関連する組織は長期に亘り必要な資源を継続的に投入し、その技術の維持管理と向上に努め、廃棄物の最終処分に至るまで、責任を持ってやり遂げる必要がある。それを担うのは結局のところ「人」である。志のある優秀な人材の継続的な維持・確保に、国を挙げて真剣に取り組む必要がある。


■原子力政策推進活動

□理事長メッセージ「『新大綱策定会議』の廃止に際して」を発表  

 当協会は12日、 原子力委員会が「新大綱策定会議」廃止を決定したことに関する理事長メッセージ「『新大綱策定会議』の廃止に際して」を発表しました。

  全文はこちらをご覧ください。
http://www.jaif.or.jp/ja/news/2012/president_column06(121012).pdf


■国際協力活動

□カザフスタンで日本の原子力について講演

 当協会国際部の小林雅治リーダーが9月下旬、カザフスタンを訪問し、日本の最近の原子力状況について講演しました。
 これは、ロシアNIS貿易会(ROTOBO)がカザフスタンのパブロダル市と首都アスタナの2ヶ所で主催した日本セミナーに講師として参加したものです。パブロダル市は、アスタナの東北東約400Kmに位置する同国有数の化学工業都市です。

パブロダル市内のモスク パブロダル石油化学工場


 パブロダルでは、カザフスタン原子力協会と国営原子力企業カザトムプロムの共催によるイノベーション・スクール「エネルギー・水・化学」(9月25、26日開催)の1セッションとして、初日に日本セミナーが実施されました。パブロダル石油化学工場の立派な会議室を会場にして、開会式ではトゥルガノフ・パブロダル州第一副知事やカザトムプロムのルィスパノフ副社長らが挨拶しました。

 挨拶では、同州がイノベーション計画を熱心に進めていること、3年連続でウラン生産世界一を誇る同国のウラン採掘技術が化学技術を利用していること、カザトムプロム自身が太陽・風力・原子力発電開発に取り組んでいることなどが紹介されるとともに、乾燥地帯での鉱山開発における水の重要性が強調されました。

 

パブロダルでのイノベーション・スクールの風景


 同スクールは、研修的性格が強く、最新の様々なイノベーション技術の発表が行われ、共催団体の他、州・市の行政府、カザフスタン国立原子力センター(NNC)やその傘下機関、大学、企業等から約80名が参加しました。

 9月26日のアスタナでの日本セミナーは、NNCの核物理研究所アスタナ支所の講義室で行われました。同研究所はユーラシア大学と提携しており、同支所には重イオン加速器もあり、研究や教育に使用されているとのことです。従って、ここでの日本セミナーには、原子力庁、NNC関係者だけでなく学生・院生も含め約40名が出席しました。

アスタナでの日本セミナー


 いずれの日本セミナーでも、まずROTOBO制作のビデオ「福島からの教訓」を10分間上映し、その後で、小林リーダーが「東日本大震災後の日本の原子力を巡る状況」、メーカーの専門家が「日本のスマートコミュニティ技術」について講演しました。

 日本の原子力に関する講演では、福島原発事故(事故状況、収束・廃炉の取組み)、周辺地域の汚染・避難、既設原発への対応、原子力・エネルギー政策、原子力安全規制体制、原子力産業、原子力国際協力など、最近のトピックスを取り上げました。日本は現在、福島事故を契機に原子力に対する不安感や不信感が高まっており、政策的にも政治的にも流動的な状況にあると説明しつつも、エネルギー資源を持たない国として大局的・長期的視点からの取組みが必要と指摘して、原子力が一定の役割を果たしていくと考えていると強調しました。また国際協力の面では、日本は、福島事故の教訓を踏まえて、世界の原子力安全のために貢献すべきであり、原子力開発に対しても日本の優れた技術を提供していく用意があることを伝えて締め括りました。

 講演後、「使用済み燃料プールの事故後の状況について教えてほしい」、「原子力安全強化のためにメーカーがどのような技術開発を行っているのか」、「日本とカザフスタンの原子力国際協力事例について教えてほしい」などの質問が出され、丁寧に回答・説明しました。また、参加者から、「素晴しい講演だった。講演情報を社内でも活用したい」、「福島事故の原因について、日本の報告書(国会事故調)が、原子力に技術的問題があるのではなく、『人災』と明確に指摘していることについて、流石であると感じた」、「エネルギー戦略の検討において、国民的議論が非常に幅広く行われたことを知り感動した」、「わずか2日間(計2回)の講演のために、わざわざ日本から来ていただき感謝する」などの言葉が寄せられました。


□日本の原子炉メーカーを紹介 IAEA展示会

 IAEA総会開催中の9月17日から21日まで、IAEA会場内の円形広場で各国ブースによる展示会が行われました。米国、ロシア、中国、英国、フランス、ドイツ、韓国、イラン、カザフスタン、ベトナム、タイなど、様々な国が出展しました。それぞれ模型を展示したり、照射済み食品のサンプルを配布したり、民族芸能を披露したりと、工夫を凝らして集客を図っていました。

 日本からは日本原子力研究開発機構、放射線医学総合研究所、原産協会がブース出展し、各国の政府関係者をはじめとする多くの来場者で賑わいました。

 当協会のブースでは、東芝、三菱重工、日立の3大原子炉メーカーを紹介し、各国のニーズに沿った原子炉を供給できることをアピールしました。来場者も工業製品や家電などを通じて3メーカーの名前は馴染みがある様子で、日本の技術力に対する世界からの信頼感は依然として高いことが伺えました。

当協会ブース(写真右=東京新聞提供)


 折しも14日に政府が2030年代に原子力発電率をゼロとする「革新的エネルギー・環境戦略」を打ち出した直後で、山根隆治・外務副大臣(当時)も総会でそのことを報告するスピーチを行ったことから、来場者からは「日本の原子力政策はどうなるのか」「本当に原子力発電率ゼロをめざそうとしているのか」「今後日本の産業をどう支えていくつもりなのか」などの質問が相次ぎました。原産ブースでは、日本の原子力政策は現在混沌としているものの、産業界としては原子力発電の廃止に反対を表明していることを説明しました。日本の原子力発電について解説する原産協会製作のDVD上映や3メーカーの展示パネルについては、足を止めてじっくり見入っている来場者もよく見られました。



海外企業のブース




■福島支援クラスターによる活動

□住民グループの放射線勉強会を支援:広野町

 当協会は、9月30日に広野町住民グループ「がんばっ会」が主催した「お母さんとこれからお母さんになる人たちのための放射線勉強会」の開催を支援協力しました。勉強会は、広野町役場が後援し、広野町公民館にて約20名の住民の皆さんが参加しました。

勉強会の様子

 今回は、2人のお子さんを持ち、福島の事故後、メールによるお母さん方の放射線理解促進や、福島での講演などを通じてのリスクコミュニケーション活動を継続的に行なうと共に、チェルノブイリ調査団にも参加された東京工業大学特任准教授の大場恭子氏に講演をお願いしました。

 大場氏は冒頭、震災直後から放射線に不安を持つ首都圏のお母さんに放射線の理解促進活動を始め、福島のことを思って活動することが使命であるという思いに至ったと述べました。続いて、放射線の基礎的知識から、様々なリスクについて原子力以外の事例、チェルノブイリと福島での状況の違いを紹介しつつ、お母さんの視点に立って放射線をどのように考え、どのように付き合っていくかについて説明がありました。

 また、放射線機器(=写真、食品検査機を含む)の実測体験をサイドイベントとして行ない、放射線が身近にも存在することなどについても理解頂くよう紹介しました。



■原産協会からのお知らせ

□「東北三県(岩手・宮城・福島)2013ふるさとカレンダー」に関する協力のお願い

 当協会では、昨年同様、東日本大震災を風化させないという産業界の想いを被災地にお届けすることを目的とし、一般財団法人日本原子力文化振興財団と協力して、震災復興支援カレンダープロジェクトを進めることとなりました。

 既に当協会会員窓口のご担当者様にご協力のお願い文書を送付しておりますが、重ねてご協力をお願い申し上げます。 尚、本カレンダーは、ご賛同いただいた企業・関係団体様にご購入いただくことを目的としておりますが、個人でご賛同いただける方にも1部からご購入いただけます。何卒ご検討の上ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。 本プロジェクトの概要、カレンダーの内容・ご購入(企業・関係団体様、個人様共通フォーム)の方法等詳細はこちらをご覧下さい。

http://www.jaero.or.jp/data/01jigyou/2013calendar.html



■ホームページの最新情報

□原産協会HP(一般向け)の更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/ )

*国内、海外ニュースは毎週および随時更新しております。

・第4回 テーマ別原産会員フォーラム(除染及び廃棄物の貯蔵に関する課題)開催のご案内(10/17)
・『「新大綱策定会議」の廃止に際して』を掲載(10/12)
・『原産会員フォーラム 平成24年度 開催予定』を掲載(9/28)
・福島第一原子力発電所1~4号機の廃止措置等の状況 (随時)
・福島原子力発電所に関する環境影響・放射線被ばく情報 (随時)
・福島地域・支援情報ページ (随時)
 地元自治体の動きやニュース、地元物産・製品等の情報を掲載中
・「日本の原子力発電所(福島事故前後の運転状況)」を掲載 (随時)

□会員向けHPの更新情報( https://www.jaif.or.jp/member/
・【日本の原子力発電所の運転実績】9月分および年度上半期データを掲載(10/9)
・『第3回 テーマ別原産会員フォーラム開催のご案内 日本の原子力の針路を
考える-立地地域のメディアの視点-』を掲載(9/28)
・【海外原子力情報】2012年8月分を追加、掲載(9/24)


□英文HPの更新情報( http://www.jaif.or.jp/english/

・Atoms in Japan:英文原子力ニュース(AIJ) (随時)
・Fukushima & Nuclear News (毎日更新)
・Status of the efforts towards the Decommissioning of Fukushima Daiichi
 Unit 1-4 (随時)
・Environmental effect caused by the nuclear power accident at Fukushima
 Daiichi nuclear power station (随時)

[Information]
* JAIF President's Comment on Abolition of the Council for a New Framework for Nuclear Energy Policy(10/17)
* Stress Test and Restart Status (随時)
* Current Status before and after the earthquake (随時)
* Operating Records of Nuclear Power Plants (随時)
* Developments in Energy and Nuclear Policies after Fukushima Accident
 in Japan (随時)
* Trend of Public Opinions on Nuclear Energy after Fukushima Accident  
in Japan (随時)

[福島事故情報専用ページ] 「Information on Fukushima Nuclear
Accident」 (随時)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◎原産協会会員で、「原産会員エクスプレス」の配信をご希望の方は、メール
アドレスを下記までご登録下さい。便利な原子力情報を毎月2回(原則1、15日)
無料でお届けします。多数のメールアドレスのご登録も歓迎します。

新規配信、配信の解除、メールアドレスの変更は下記まで。
mailto:melmag@jaif.or.jp?Subject=JAIF%20Express%20Subscription



■原産協会役員の最近の主な活動など

[服部理事長]
・10/14~10/24  IAB Meeting出席に伴うアブダビ(UAE)出張、
                Global Nuclear Energy Summit2012での講演に伴うアトランタ(米国)出張
・10/26 第3回テーマ別原産会員フォーラム
・10/30 プレスブリーフィング
     『「新大綱策定会議の廃止に際して」および最近の原子力を巡る動向について』 

[佐藤常務理事]
・10/23 業種別企画委員会(建設)
・10/24 業種別企画委員会(鉄鋼・エンジニアリイング・燃料加工)
・10/25 業種別企画委員会(重電機械)
・10/25 業種別企画委員会(商社)
・10/26 第3回テーマ別原産会員フォーラム
・10/29 業種別企画委員会(電力)


■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【42】

台湾の原子力開発事情と原賠制度
 今回は、エネルギー輸入率が99%を越える台湾の原子力開発事情と原賠制度についてQ&A方式でお話します。

Q1.(台湾の原子力開発事情)
台湾の原子力開発はどのような状況ですか?

A1.
・ 台湾は国産エネルギーに乏しく、99%以上のエネルギーを海外からの輸入に依存しています。
・ 1978年にアジアでは日本に次いで2番目に原子力発電を導入し、現在は3ヶ所の原子力発電所において6基、520万kWが運転中です。
・ 4番目となる龍門原子力発電所において2基270万kWの建設が1999年に始まっていますが、計画は大幅に遅れており現在も建設工事が続いています。


【A1.の解説】
 台湾は国産エネルギーに乏しく、エネルギー需要の増加につれて海外依存率が高まった結果、2003年以降は99%以上のエネルギーを海外に依存している状態にあります。そのため、エネルギーの輸入依存度低下やエネルギー源の多様化を目指して、再生可能エネルギー開発、新エネルギー開発、省エネルギー、エネルギー効率向上に取り組んでいます。

 台湾の電気事業は民営電力事業者にも開放されているため、国営の台湾電力公司が約67%、民営発電所が約17%、コジェネレーションが約16%の発電設備容量を所有しています。原子力発電所はすべて台湾電力公司が所有・運転しており、設備容量は全体の約1割となっています。

 台湾はアジアで日本に次いで2番目に早く原子力発電の導入を果たしており、1978年に運転開始した第一(金山)、1981年に運転開始した第二(國聖)及び1984年運転開始した第三(馬鞍山)の原子力発電所に各2基ずつの合計6基、520万kWが運転中です。この他に、第4(龍門)原子力発電所において2基270万kWの建設が1999年に始まっていますが、現在も建設工事が続いています。

 龍門発電所の建設は1981年の立法院(国会)で建設予算が承認され建設準備が開始されましたが、予算の凍結と解除が繰り返され、1999年に本格的に着工された後にも2000年の総統選挙で勝利した民進党政権が建設工事を中断するなどの紆余曲折を経て2001年に工事が再開されました。また、2008年には台風により2号機原子炉建屋が浸水して排水作業や設備取替え工事が発生するなど建設は遅れており、原子力委員会によれば、現在、運転前試験を実施中であるとされています。

 台湾電力の原子力発電所の設備利用率は2000年頃の85%前後から次第に向上して、近年は90%前後の高水準を維持しています。また、原子力発電所の運転認可期間は40年となっていますが、20年の運転期間延長を期して許認可変更申請を行い、二酸化炭素排出削減に寄与することとしています。



Q2.(台湾の原賠制度)
台湾の原賠制度はどのようになっていますか?
 

A2.
・台湾の原賠制度は1971年に制定・施行され、1977年、1997年に改正されたた「核子損害賠償法」(原子力損害賠償法)に規定されています。
・「核子損害賠償法」には、被害者の保護と原子力産業の育成を目的として、無過失・厳格責任、責任集中、賠償措置の強制、責任限度額、国の補完的救済等が規定されています。
・運転者の責任制限額は賠償措置額と同額の42億台湾ドル(約113億円)となっており、賠償措置が機能しない場合は国が運転者に資金を貸し付けることで補完的救済が行われます。


【A2.の解説】
 台湾の原賠制度は1971年に制定・施行され、1977年、1997年に改正されたた「核子損害賠償法」(原子力損害賠償法)に規定されています。
この法律はウィーン条約などの国際的な原子力損害賠償法制を参考として作られたものであり、被害者の保護と原子力産業の育成を目的として、無過失・厳格責任(第18条)、責任集中(第23条)、賠償措置の強制(第25条)、責任限度額(第24条)、国の補完的救済(第27条)等が規定されています。

台湾の賠償措置額は42億台湾ドルとされ(第24条)、その額をもって運転者の責任が制限されます。運転者が賠償措置を行った保険会社または保証人から受け取った資金が、賠償責任額を填補するのに十分でない場合、責任制限額の範囲内で国家が運転者に資金を貸し付けることにより、補完的救済が行われる仕組みになっています(第27条)。また、損害額が責任制限額を上回る場合は、死亡および傷害に対する賠償が優先され、原子力損害が後日発見された場合に備えて賠償総額の10%を取り置くことになっています(第33条)。
免責事由は、国際武力紛争、戦争行為、国内暴動または重大な自然災害に直接起因する場合となっています(第18条但書)。

より詳細な解説はこちら

◇    ◇


○ 原産協会メールマガジン2009年3月号~2011年10月号に掲載されたQ&A方式による原子力損害賠償制度の解説、「シリーズ『あなたに知ってもらいたい原賠制度』」を冊子にまとめました。

 冊子「あなたに知ってもらいたい原賠制度2011年版」入手をご希望の方は、有料[当協会会員1000円、非会員2000円(消費税・送料込み)]にて頒布しておりますので、(1)必要部数、(2)送付先、(3)請求書宛名、(4)ご連絡先をEメールで genbai@jaif.or.jp へ、もしくはFAXで03-6812-7110へお送りください。

 シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」のコンテンツは、あなたの声を生かして作ってまいります。原子力損害の賠償についてあなたの疑問や関心をEメールで genbai@jaif.or.jp へお寄せ下さい。
                    

 
■げんさんな人達(原産協会役・職員によるショートエッセイ)

          

音楽と私

 両親、特に母親がクラシック音楽好きということもあり、五歳からバイオリンを半ば強制的に習い始めました。
 バイオリンなどの弦楽器は人間が本来取る行動パターンとは違う動きを強いられます。子供にとっては構える格好そのものが苦痛です。右手は上げ続けなけれず、左手は内側に折り曲げ続けなけれればなりません。お稽古がいやで堪らない時期が続きます。少年ですからやはり外で遊びたいもの、多くの子供が途中でレッスンを止めていくように、私も小学校高学年くらいまでは、何度か断念しようと思いました。

 その思いを吹っ飛ばしたのが中学一年に入団した子供オーケストラでした。仲間との競争心、これが子供には極めて大事なことでした。かなりなスピードで上達しました。オーケストラはどのパートが欠けても音楽は成立しませんが、入団当初はセカンドバイオリンから。やはりメロディラインは弾きたいもの。猛練習してファーストバイオリンに入れた際は得意満面でした。
 次第に西洋音楽のすばらしさに魅せられ、プロの音楽家を目指そうと思い始め、練習も特殊なものとなって行きました。

 高校に進学し、プロのオーケストラに入る機会がありました。そこで見たものはプロの音楽家が置かれている厳しい現実でした。私のようなありふれた才能レベルでは食べていけない、そう思うようになり、高校三年に思い切って進路転換することに。勉強が追いつかず苦労した記憶があります。

 思い通りの大学にも進学できませんでした。しかし今では弦楽合奏をしたり、オーケストラで楽曲を弾いて楽しみ癒され、両手を動かすことからボケ防止にも一役買ってくれています。

 両親から一生続けられる良い趣味をもらったと感謝する日々です。
 写真(=右)は伺ったバーにたまたまバイオリンがあり、即席で弾かせてもらったものです。他の方の楽器は弾きにくいですよ。笑 (K.S)



◎「原産協会メールマガジン」2012年10月号(2012.10.26発行)
発行:一般社団法人 日本原子力産業協会 情報・コミュニケーション部(担当:木下、八十島)
〒105-8605 東京都港区虎ノ門 1-2-8 虎ノ門琴平タワー9階
TEL: 03-6812-7103 FAX: 03-6812-7110
e-mail:information@jaif.or.jp
新規配信、配信の解除、メールアドレスの変更は下記まで。

◇新規登録ページ:
https://reg18.smp.ne.jp/regist/is?SMPFORM=pin-ldtik-cc6555e741f6caf8356cc448231abaa8
◇情報変更・配信停止は、melmag@jaif.or.jp までお寄せ下さい。
Copyright © 2012 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved