[原子力産業新聞] 1999年12月23日 第2018号 <面>

原子力界にひろう今年の主な動き

▽東海村・JCOの転換試験棟でわが国初の臨界事故が発生。現場から半径350m以内の住民へ避難勧告が出されるなど、一時深刻な事態に。作業員が違法作業で沈殿槽に臨界量超えるウラン溶液を注入したことが原因。

▽臨界事故の再発防止などへ向けて、各方面で活発な動き。原子炉等規制法の改正および、原子力防災法が制定されたほか、原子力産業界でも、原産会議による民間原子力関係者への自己改革を促す声明文の発表に加え、安全文化を共有するための民間組織「NSネット」が発足するなど、事故の教訓を生かし安全管理等の徹底化が進む。

▽原子力長計改定作業がスタート。原子力委に長計策定会議を設置し、その下にテーマごとに分けた六つの「分科会」も設け検討開始。省庁再編前の策定を目指す。

▽商用軽水炉長期運転時代へ一歩。東電、関電、原電の3社が、自社保有の運開後30年程度経過したプラント3基について、運開後60年程度の運転を想定しても「機器の補修点検を適切に行えば、安全性に問題ない」とする報告書を通産省・資源エネ庁に提出。同省および安全委は「方向性は適切」と判断。

▽高レベル放射性廃棄物処分問題が前進。総合エネ調・原子力部会が高レベル放射性廃棄物処分で報告書を取りまとめ、高レベル廃棄物処分の方法、処分事業・実施主体のあり方、費用の見積もりなどを示す。処分費用は見積もりで3兆480億円に。またサイクル機構も、高レベル放射性廃棄物処分の技術的拠り所となる「第2次取りまとめ」を公表。地層処分を行える場所はわが国に広く存在することなどを詳細に取りまとめ、「長期的安全性の確保は可能」と結論。さらに米国エネルギー省は3月に、軍事用TRU廃棄物について、同国初の地層処分を実施するなど、海外でも活発な動き。

▽使用済み燃料の中間貯蔵事業開始の条件が整う。中間貯蔵に関する事業、施設に対する規制を定めた原子炉等規制法改正案が成立し、2000年6月から施行されることに。

▽スウェーデン政府、バーセベック1号機を閉鎖。80年の国民投票から約20年を経て、初の政策による運転停止が実施される。

(4,5面に回顧年表)
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