

- text: 石井敬之
- 26 Aug 2025
持続可能な社会を
長谷川さん:大学院で原子力を専攻し、高速炉の原子炉容器が地震時にどのように破損するか(座屈挙動)をテーマに研究に取り組みました。数値計算や評価手法を駆使し、原子力施設の安全性向上に資する研究を行っていました。
当時から環境問題やカーボンニュートラルが話題となっており、私は原子力がその解決の一端を担うことを確信していました。ですから、私も持続可能な社会の構築に貢献したいという強い思いがあり、原子力業界を志しました。
長谷川さん:東芝を選んだ理由ですか?
私は東日本の出身で、自分の住む地域に貢献したいという思いがありました。東芝は東日本に多くあるBWR(沸騰水型軽水炉)の設計・建設を行っていますので、「東日本のエネルギー基盤を支える設計に携われる!」というのが、東芝を選んだ一番の理由です。
再稼働プロジェクトでの経験
長谷川さん:私は2023年入社で、現在入社3年目です。原子力システム設計部に所属し、BWRの原子炉における非常用冷却系や補助系統のポンプ、熱交換器などの機器設計を担当しています。業務では機器の性能評価を細かい数値まで精度高く実施し、その設計根拠を厳密に残すことが求められています。
ご存じの通り原子力は、非常に厳格な規制の下で審査が行われるため、細部にわたる計算や証拠の整備が求められます。そうした厳しい基準をクリアして審査を通過したときの達成感、さらに2024年に女川2号機の再稼働が実現した際の喜びは格別でした。
女川2号機の再稼働プロジェクトでは、現地の発電所に約3か月間赴任し、再稼働に関わる実務に従事しました。朝早くからの勤務が続くなど、体力的・精神的にも大変な日々でしたが、現場での経験を通じて原子力の責任と意義を強く実感しました。最終的に無事再稼働が実現したことで、大きな達成感を得ることができ、忘れがたい経験となっています。
長谷川さん:原子力はカーボンニュートラルの実現や、社会の持続可能な発展に不可欠な技術です。現在、日本では震災以降多くの原子力発電所の運転が停止され、それにともない産業界も、サプライチェーンの縮小やメーカー撤退が相次いでいます。ですが1基でも多く再稼働させ、また新規に原子力発電プラントを建設することを通じ、業界全体を活性化させたいです。
私は東芝の一員として、プラントメーカーの立場から、原子力業界全体を牽引していく役割を自覚し、将来にわたるエネルギーインフラ構築に貢献していきます。
学生のみなさんへ
長谷川さん:私は学生時代、テニスサークルに所属していました。試合前になると、毎日2回の練習をこなすほど熱心に取り組んでいました。
高校時代にテニスで思うような成果を出せなかった悔しさから、大学で努力を重ね、試合で活躍できるようになった経験が、自信と楽しさにつながりました。
アルバイトは、塾講師として6年間勤めました。勉強とそれ以外の両立には「やることはきっちり、とことんやる」という信念を持ち続け、すべてに全力で向き合ってきました。
学生のみなさんには、学生時代が、“自由に時間を使える貴重な期間”であることを強くお伝えしたいです。授業だけでなく、スポーツやアルバイトなど、幅広い活動に積極的に取り組むと、自分自身の視野が広がり、バランスの取れた人間形成につながるのではないでしょうか。私はこうした多面的な経験が、将来の仕事や人生にも大きく生きてくると信じています。