令和7年 第三号 東芝ESS株式会社西谷進也さんに聞く!令和7年 第三号 東芝ESS株式会社西谷進也さんに聞く!
  • text: 石井敬之
  • 18 Sep 2025

エネルギーの分野で社会貢献を

西谷さん:大学・大学院で流体工学を専攻し、配管内を水が流れる際の挙動を研究していました。例えば配管が曲がる箇所での流体の動きや応力の発生メカニズムを解析し、それが工業製品の設計にどう活用できるかを学びました。流体工学は、日常生活に関わる多くの製品やシステム設計に欠かせない重要な分野です。

幼い頃から数学や物理、化学に関心を持ち、兄がエネルギー科学科に進学し原子力業界に就職したことも影響しました。自分も社会に貢献できる仕事に就きたいと考えたとき、自然とエネルギー業界を志すようになりました。

西谷さん:東芝を選んだ理由は、福島第一原子力発電所事故後の廃炉対応や既存プラントの安全性向上、新設プラントの安全設計などに真摯に取り組んでいたこと、そして「人と地球の明日のために」という経営理念に共感したからです。入社前は「再稼働対応に全力を注ぐ会社」という印象でしたが、実際には革新炉iBR(innovative, intelligent, inexpensive BWR)の設計など未来志向のプロジェクトも進んでおり、良い意味でのギャップを感じました。

最前線で担う安全設計

西谷さん:現在、私は原子力安全システム設計部で事故解析技術を用いた原子力プラントの安全設計を担当しています。福島第一原発事故を契機に追加された安全対策設備が十分に機能するかを、シミュレーション解析技術で検証するのが主な業務です。

この業務はプラント設計の最上流に位置し、詳細設計や基本設計など他部門の基盤となる重要な役割を担っています。自分の仕事が多くの人々が関わる設計プロセスの土台となり、社会全体の安全性に直結することに、大きなやりがいを感じています。

また、原子力発電は人々の生活基盤を支え、社会発展に貢献できる技術です。安全性を高めながら社会に役立つという点に、この仕事ならではの魅力を強く感じています。今後は、安全性と経済性を両立させた技術開発に挑み、原子力の可能性をさらに広げていきたいと考えています。

後輩へのメッセージ

西谷さん:中学時代から続けているバレーボールでは、チームワークや相互フォローの大切さを学びました。塾講師や居酒屋でのアルバイトを通じて培ったコミュニケーション能力も、今の仕事に生きています。

これからエネルギー業界を目指す後輩には、とりわけ英語スキルの重要性を伝えたいです。日本の原子力は安全性では高い水準にありますが、経済性の面では世界に遅れをとっている部分があります。海外の文献やワークショップから先進的な知見を吸収するには語学力が不可欠です。ぜひ学生時代に積極的に語学力を磨き、多様な経験を積んでほしいと思います。

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