lights on with nuclear

 [JAIF]原産協会メールマガジン

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桜と菜の花 原産協会メールマガジン3月号
2012年3月26日発行

Index

■原子力政策推進活動

 □人材育成国際会議で原産協会から発表

■国際協力活動

 □WNAインド国際原子力シンポジウムでの服部理事長講演
 □トルコの原子力発電導入計画に関する現地調査
 □ロシアの原子力開発と国際展開に関する講演会の開催
 □PBNC2012が釜山で開催、服部理事長がプレナリーセッションの冒頭に講演
 □ソウル原子力産業サミットでの服部理事長講演

■福島支援クラスターによる活動

 □タイ行政官の福島訪問・支援に協力

■原産協会からのお知らせ

 □新規会員の入会のお知らせ

■ホームページの最新情報

■原産協会役員の最近の主な活動など

■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【35】


本文

■原子力政策推進活動

人材育成国際会議で原産協会から発表

 当協会は、このほど開催された原子力人材育成に関する2つの国際会議で、原子力人材育成ネットワークや産業界における人材育成に関する取り組みについて発表しました。

1.東京工業大学・国際原子力人材セミナーでの発表

 当協会は、「原子力安全・セキュリティ・核物質防護のための国際原子力人材育成」をテーマとして、2月29日~3月2日に東京の品川プリンスホテルで開催された東京工業大学の国際セミナーで原子力人材育成ネットワークに関する取り組みを報告しました。

 このセミナーは、同大学の提案した「グローバル原子力安全・セキュリティ・エージェント養成-世界原子力安全セキュリティ道場-」が、文部科学省の博士課程教育リーディングプログラムに採択されたことを記念して、同プログラムの一環として開催されたものです。セミナーには、海外から、国際原子力機関(IAEA)のほか、フランス、ロシア、韓国、ベトナム、マレーシア、インドネシア、米国の大学や研究機関等から原子力教育関係者が参加してそれぞれの活動について講演しました。国内からは、東工大のほか、京都大学、日本原子力研究開発機構から講演がありました。

 セミナー2日目の「グローバル原子力人材育成ネットワーク」のセッションで、当協会の木藤啓子政策推進部リーダーが、「日本の原子力人材育成ネットワーク(JN-HRD Net)」の取組みについて報告しました。報告では、福島第一原子力発電所事故後の若者の原子力への関心度を示す例として、今年の原子力系学科、専攻への応募者の減少、ならびに、当協会が今年2月に開催した合同企業説明会「原子力産業セミナー」への学生参加者数の減少を紹介しました。そして、原子力政策の推移によってはこのような傾向は当面続くことが予想されることから、採用後の教育・訓練の充実が一層重要となり、産官学連携によるネットワークの重要性が高まっていることを説明しました。また、原子力安全確保ならびに安全文化の再構築にとり、原子力界がよりオープンになって他産業の例に学ぶことも重要ではないかと報告しました。

 同セッションで、欧州原子力教育ネットワーク協会(ENEN協会)の取組みが紹介されました。ENENは、自国の学生、教員の減少の問題に直面した欧州諸国が欧州連合(EU)枠内で高等教育の質を維持する目的で、大学間連携を強化し、大学と産業界を結びつける組織として2003年に設立されました。その後、連携大学は単位互換制度等を整備し、学生と教員が目的のために自由に移動することを可能とし、高等教育の質の向上を実現しています。

 ENENの参加メンバーは現在60にのぼるとのことで、日本の原子力人材育成ネットワークの参加メンバー数62と規模的に似ています。また、両者は設立経緯にも類似点が多いことから、10年の経験を持つENENの活動は日本の原子力人材育成ネットワークの取組みに参考になると思われます。今後、原子力人材育成ネットワークはENENと何らかの形で連携することも考慮にいれていきます。

2.日本原子力研究開発機構・人材育成国際会議での発表

 日本原子力研究開発機構(JAEA)主催、タイ原子力技術研究所協賛によりタイのバンコクで2月27日~28日に開催された原子力人材育成国際会議で、当協会は日本の産業界の人材育成について紹介しました。

 本会議は昨年11月に開催予定でしたが洪水のため延期されました。しかし街は活気に満ちており洪水は既に過去のものとなっていました。本会議は福島事故を人材育成にどう生かしていくかをメインテーマとして、東南アジア、IAEA、WNA、欧米各国の原子力人材関係者約40名が集まりました。会議初日にはまずJAEAより福島事故報告があり、作業員がどのような行動をとったかに注目して結果を総括すべきで、今後現状のユーティリティは可能な限り安全度を増す必要があると強調しました。続いて放射線医学総合研究所から人体影響について解説があり、有識者がエビデンスを基に協調をとって情報を正しく伝えることが重要であると結びました。それに引き続いて各国の人材育成報告がありました。

 当協会からは片山雅弘政策推進部リーダーが日本の産業界の人材育成の実例として東芝の例を紹介しました。どのような人材を必要としているか、また入社後の育成方法について。その中で実習用原子炉やベトナムで実施している寄付講座について説明しましたが、設備を一般に開放しているのか、寄付講座は広く周知してほしいとの質問、コメントもあって興味を持ってくれた模様です。

 会議全体としては福島事故はマイナス面(原子力に懐疑的になった)が大きい一方で皆が関心を持つようになった面もあり、いずれにせよ原子力は中期的には頼らざる負えないエネルギー源であり、そのため人材育成は重要なテーマで各国協調を取って進めるべき、というまとめがあり、世界の関係者が一堂に会して皆の意識を確認したという点で意味がありました。

 一方福島対応としては安全度を増すべき、正しい知識を伝えるべきとの総論では皆一致していましたが、一部に事故後ケーススタディを始めたり現場トレーニングに重きを移した等の紹介はあったものの、具体案まで踏み込んだものは少なくやや物足りなさも感じました。まだ十分に事故内容が総括されていないこともあるので今後の課題であると思われます。

 東南アジアはこれまでは原子力教育は主に放射線応用がメインでしたが、エネルギー需要が高まることは確実で、エネルギー源としての原子力への期待は大きく、その中で日本の知識、技術は頼れれていることを実感し、今後いっそうの安全性向上を図った上で人材育成を含めて諸外国の要望に応えていく必要があるとの想いを強くした会議でした。

 

■国際協力活動

WNAインド国際原子力シンポジウムでの服部理事長講演

 世界原子力協会(WNA)主催の「インド国際原子力シンポジウム」が、2月22日~23日、インドのニューデリーで開催され、当協会の服部理事長が福島事故の教訓について講演を行いました。

 同シンポジウムでは、インドの大幅な原子力発電拡大計画を始めとして、サプライチェーンの構築や、教育訓練、燃料調達、パブリック・アクセプタンス等について話し合われました。服部理事長は、2月23日の基調セッションにおいて、「福島事故の教訓-個人的見解として」と題して講演を行い、福島事故の概要、および避難状況、オンサイトとオフサイトの復旧状況等について紹介し、教訓として、1)設計のロバスト性、2)緊急時対応、3)情報公開、4)安全文化、を挙げました。聴衆からは、避難の状況や、避難区域の設定、作業員の被ばく等について多数質問があり、インドにおいても福島事故を契機に緊急時対応への関心が高まっている様子が伺えました。

 

トルコの原子力発電導入計画に関する現地調査

 トルコの原子力発電導入が注目を集めるなか、当協会と原子力国際協力センター(JICC)は協力し、トルコの原子力発電導入計画の概要及びロシアと共同で現在進められているアックユ計画について、2月に現地調査を行いました。

A.トルコの原子力発電準備状況:

B.今回のトルコ現地調査

 

ロシアの原子力開発と国際展開に関する講演会の開催

 当協会は3月9日、ロシア国営原子力企業ロスアトムの国際ビジネス部長アレクセイ・カリーニン氏を招き、ロシアの原子力開発と国際展開、およびルスアトム・オーバーシーズ(Rusatom Overseas)の活動に関する講演会を開催しました。

 冒頭、カリーニン氏は、「福島事故を受けた日本はあらゆる英知を結集してその困難を克服し、日本の原子力業界の将来も建て直していけるだろう。ロスアトムはそのための支援を惜しまない」と述べ、日露原子力協定の発効も間近に控えていることから、一層の協力の実現にむけて具体的に討議する時期にある、と述べました。

 講演では、ロスアトムの事業展開について説明し、同社が原子力業界において、事業分野のすべて(ウラン採掘、濃縮、燃料加工、発電、建設、使用済燃料処理、基礎研究、研究開発、砕氷船、核医学等)を網羅、統合する唯一の企業であり、顧客のニーズに沿った柔軟なサービス展開が可能であると紹介されました。

 現在、ロシア国内で9基を建設中ですが、福島事故後においても国内の建設計画に変更はなく、2030年までにさらに24基を建設する予定です。海外については21基のプロジェクトが進行中であり、入札中や交渉中の案件、今後の展望を含めるとおよそ80基を建設するという大規模な計画が紹介されました。建設されるのは、最新型のVVER-1000やVVER-1200といった第3世代+炉であり、現在のあらゆるロシア国内外、IAEAの安全基準に合致したものであるとのことです。

 ロシア国内における大規模な原子力開発プロジェクト実施の実績により、自らに自信をつけ、原子力への理解を醸成するといった経験も活かしながら、安全性と信頼性のある原子力発電所の建設を積み重ね、海外顧客の信頼を得てグローバルなビジネス展開をはかっていきたい考えのようです。そして福島事故後、脱原発を決定または原子力開発から撤退した国もある中で、原子力発電の需要への影響は軽微との見方を示し、全体的に原子力の将来の見通しは明るく、特に、新興国、発展途上国における原子力開発の勢いは今後ますます強まる、と強調しました。

 こうした海外顧客の様々な要求に応えるために、ロスアトムは統合的なソリューションを用意しており、例えば、生産の現地化、地元の産業の技術能力開発、技術移転、人材開発、財政支援(融資)、法規制整備、パブリック・アクセプタンス等の分野であるとのことです。さらに、IAEAの新興国向け支援プログラムとの調整や、建設国において他国の企業との協力も実施しているとのことです。

 ロスアトムは、発電所建設だけでなく、すべての領域でグローバル化をめざしていくとしています。統合ソリューションを機能的、効率的に実施するために、カリーニン氏がその代表を務めるルスアトム・オーバーシーズ(Rusatom Overseas)が設立されています。今後、全世界にそのオフィスを展開してマーケティング活動を行い、海外顧客のニーズに的確に応えていく考えです。

 

PBNC2012が釜山で開催、服部理事長がプレナリーセッションで講演

 第18回環太平洋原子力会議(PBNC2012)が、3月18日から23日にかけ韓国の釜山で開催され、19日の「福島事故後の原子力エネルギーの展望」と題するプレナリーセッションの冒頭で、当協会の服部理事長が福島事故の現状と将来に向けての課題について講演しました。

 
 

 
 

 このPBNCは、1976年のホノルルで第1回会合以来、約2年おきに環太平洋地域各国で順番に開催され、今回が18回目にあたります。会合の開催に先だってのレセプションでは、韓国電力(KEPCO)の社長であり、会合主催者である韓国原子力産業会議(KAIF)会長の金重謙氏や、釜山市長から原子力は幅広く人類の発展に貢献していることや、増えるエネルギー需要を満たすためには原子力が必要であり、そのためには人材育成が不可欠であることから昨年、韓国電力では人材育成のための国際大学(KINGS)を設立したことなどが紹介されました。レセプションには、元科学技術大臣の鄭根謨氏ら世界の原子力界の要人が多数参加しました。

 海外展開を積極的に進めている韓国がホスト国とあって、会場は原子力推進ムードに満ちており、福島事故は新たな原子力産業界への教訓として受け止め、さらなる発展を続けるものであるという発言が多くみられました。

 会合は、23日までの6日間にわたり、プレナリーセッションの他、福島事故をテーマにした特別パネル討論、人材育成などの個別テーマの特別セッション、さらに燃料サイクルなどをテーマにした技術セッションが幅広く設けられ、およそ800人の参加者が意見交換を行いました。

 会場は、韓国を代表する大規模な国際会議および展示場の「BEXCO」で、会合と並行して原子力産業展示会が開催され、日本からも東芝、三菱重工業が参加しました。

 

ソウル原子力産業サミットでの服部理事長講演

 韓国ソウルで3月23日、原子力産業サミットが開催され、服部理事長がパネルディスカッションにおいて「One Year after Fukushima」と題して講演しました。

 理事長はパネルディスカッションの中で、福島事故の原因として、原子力発電技術そのものではなく、原子力発電を管理するシステムに問題があったと指摘。事故の根本原因を徹底的に分析し、得られる教訓を世界中で共有した上で、世界の英知を結集して原子力安全を強化する必要があると述べ、会場から賛同を得ました。

 また福島事故により、核セキュリティの観点からも電源の確保と崩壊熱除去システムの確保が重要になったと強調。透明性の確保と機微情報の取扱の両立が今後の課題となる、との認識を示しました。

 

■福島支援クラスターによる活動

タイ行政官の福島訪問・支援に協力

 当協会は、タイの行政裁判所で法律の策定にあたっている行政官のチャンウィット・チャイカン氏が3月上旬に来日した際に、福島県広野町への訪問・支援に対して協力しました。

 
 
 

   チャイカン氏の今回の来日は、日本とベトナムの原子力協力について調査することが目的でしたが、昨年秋のタイの大洪水の経験もあり、福島事故における被災された方々の現状を知りたいということで、広野町の仮設住宅を訪問しました。

 そこでは、避難のために6人家族が4回に渡り避難場所を移動し、最終的に離れた仮設住宅3カ所に分かれて住んでいる人や、89歳の祖母を抱えてやはり避難場所を転々とした人などから、話しを聞くと共に、タイの大洪水でチャイカン氏自身が経験した話しを交換しました。最後にチャイカン氏から仮設住宅にいる人たちにタイから運んできたトムヤムクンヌードルが寄贈されました。

 その後、3月1日に本来の広野町庁舎に帰還した広野町役場を訪問し、山田基星町長に義捐金を届けると共に、行政の立場からの避難および被災者対策について、担当者と意見交換を行いました。

 チャイカン氏は、タイに戻って福島事故での避難状況について政府に報告し、タイの災害政策に活かしたいと述べていました。

 

■原産協会からのお知らせ

新規会員の入会のお知らせ

 ・(株)サードウェーブ

 

■ホームページの最新情報

原産協会HP(一般向け)の更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/ )

*国内、海外ニュースは毎週および随時更新しております。


JaifTv動画配信 http://www.jaif.or.jp/ja/jaiftv/archive42.html


会員向けHPの更新情報 https://www.jaif.or.jp/member/

英文HPの更新情報http://www.jaif.or.jp/english/

[Information]

[福島事故情報専用ページ] 「Information on Fukushima Nuclear Accident

■原産協会役員の最近の主な活動など

[服部理事長]


[石塚常務理事]

■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【35】

パリ条約の成り立ちと改正パリ条約
 今回は、原子力損害賠償に関する最初の国際条約であるパリ条約と、その改正条約についてQ&A方式でお話します。

 Q1.(パリ条約の成り立ち)
 パリ条約はどのような条約ですか?

A1.


【A1.の解説】
 原子力損害賠償に関する国際条約として名前が挙がる「パリ条約」とは、1960年7月29日に採択された「原子力の分野における第三者責任に関する条約」を指しています。この条約は、その後1964年1月28日及び1982年11月16日に改正されて現在に至っています。
 欧州では各国が間近に接しているため、原子力事故の際に国境を越えて原子力損害が広がる現実的な危機感があります。そのため、原子力開発の初期の段階から越境損害に備えて国際間のルール作りが進められてきました。
 パリ条約は、OECD/NEAの前身であるOEEC(欧州経済協力機構)のENEA(欧州原子力機関)のもとで1956年より検討され、各国の原子力損害賠償法制度の基本的原則に関わる事項を統一すること、及び、裁判管轄権、準拠法、判決の承認に関する国際的なルール作りを目的として作成された原子力損害賠償に関する最初の国際条約となっています。
 パリ条約は1960年に署名されましたが、発効前の1964年にウィーン条約(1963年署名)との調和を図るための改正が行われ、1968年に発効しました。その後、1982年に賠償額の計算単位をSDRに変更するなどの改正が行われています。
 一方、パリ条約を補完するものとして、パリ条約に定められた資金措置を補足し、賠償額を増額するものとして、ブラッセル補足条約があります。
 ブラッセル補足条約は、1963年1月31日に署名・採択され、その後ウィーン条約(1963年採択)との調和を図るため1964年1月28日に改正が行われ、1974年に発効しました。さらに、1982年11月16日に賠償額の計算単位をSDRに変更するなどの改正が行われました。

 パリ条約(1982年改正)には以下のような事項が規定されています。
 パリ条約には2009年6月10日時点において、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スロベニア、スペイン、スウェーデン、トルコ、イギリスの15カ国が加盟しています。

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 Q2.(改正パリ条約の概要)
 改正パリ条約はどのような内容になっていますか?

A2.


【A2.の解説】
 1986年4月に発生したチェルノブイリ事故をきっかけに、ウィーン条約の改正の検討を皮切りに世界の原子力損害賠償制度のあり方が見直されることとなりました。パリ条約とウィーン条約を連結するジョイントプロトコール(共同議定書)が1992年に発効し、2003年にはウィーン条約に対して責任額引上げや損害概念の拡大、適用範囲の拡大が行われた改正ウィーン条約が発効する中で、パリ条約についても見直しが行われ、2004年2月12日に改正パリ条約が採択されました。

 いわゆる「パリ条約」(1982年改正)に対する「改正パリ条約」(2004年改正)の主な改正点として以下の点が挙げられます。
 改正パリ条約は、批准国の数が発効の条件である5カ国に満たないため、まだ発効していません。各国の批准が進まない理由としては、運営者の責任額に相当する7億ユーロを措置するための資金的保証の確保やEUにおける訴訟等に係る規則との調整の難しさなどが挙げられています。
 現在の批准国はEU加盟国でないスイスとノルウェーのみで、フランスやドイツのように、改正パリ条約に対応可能な国内法を準備している国もあります。ただし、EU加盟国は問題点を解決して一斉に批准することとしています。

 改正パリ条約には以下のような事項が規定されています。

○ 用語の定義(第1条)
「原子力事故」「原子力施設」「核燃料」「放射性生成物又は放射性廃棄物」「核物質」「運営者」「原子力損害」「回復措置」「防止措置」「合理的措置」について用語が定義されています。
例えば「原子力損害」は以下のように定義されています。
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「原子力損害」とは、
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○ 適用範囲(第2条)
改正パリ条約は以下の国の領域内、あるいはその国が設定した海域内で被った原子力損害、又は(ⅱ)~(ⅳ)に定められていない非締約国の領域内で被った場合を除き、以下の国に登録されている船舶上又は航空機内において被った原子力損害に適用されます。
締約国が自国の法によって、より広い適用範囲を定めることも可能です。

○ 賠償請求権を与えられる損害(第3条)
原子力施設の運営者は、(ⅰ)原子力施設自体や他の原子力施設に対する損害、(ⅱ)原子力施設に関連して使用される財産に対する損害 以外の原子力損害に対して責任を負います。
原子力事故により生じた損害が原子力以外の事故により生じた損害と合理的に分離できない限りは原子力損害とみなされます。

○ 核物質の輸送(第4条)
原子力施設の運営者は、原子力損害が当該施設外における原子力事故によって生じ、かつ、原子力損害がその施設からの輸送中の核物質またはその施設への輸送中の核物質に係るものであるとき、その原子力損害に対して責任を負います。

○ 複数運営者の責任(第5条)
複数の運営者が原子力損害の責任を負う場合、それらの責任は連帯してかつ個別的に負い、責任を負うべき最高額は各自について定められた最高限度額とされます。

○ 責任を負うべき者(第6条)
原子力損害に対する賠償請求権は運営者に対してのみ(国内法により認められている場合は保険者等の資金的保証人に対しても)行使することができます。他のいかなる者も原子力事故によって生じる原子力損害に対して責任を負いません。運営者の求償権が認められるのは故意による損害の場合と、契約により規定されている場合に限られます。

○ 責任額(第7条)
原子力事故によって生じた原子力損害についての運営者の責任は、7億ユーロを下回ってはならないことが規定されています。原子力施設の性質や予想される原子力事故の結果により少ない額に設定することもできますが、7000万ユーロを下回ってはなりません。また、核物質の輸送に関する責任額は8000万ユーロを下回ってはなりません。

○ 消滅時効/除斥期間(第8条)
この条約に基づく賠償請求権は、死亡又は身体の傷害に関しては原子力事故の日から30年、その他の原子力損害に関しては原子力事故の日から10年以内に訴えが提起されない場合、消滅時効又は除斥期間の適用を受けることになります。締約国は国内立法によりこの期間よりも長い期間を設定することもできます。

○ 免責事項(第9条)
運営者は、戦闘行為、敵対行為、内戦、反乱により生じた原子力損害の責任を負いません。

○ 資金的保証(第10条)
運営者は、原子力損害の責任を填補するため、当局が定める金額の保険その他の資金的保証を保有・維持しなければなりません。資金的保証として準備される金額は原子力事故による損害の賠償のためだけに使用されます。

○ 賠償の性質等(第11条)
賠償の性質、形式、範囲と、その公平な配分については国内法により定めることになっています。

○ 通貨の地域間における交換(第12条)
この条約により支払われる損害賠償金、保険料等は各締約国の通貨地域間において自由に交換できることとされています。

○ 裁判管轄(第13条)
別段の定めがある場合を除き、領域内で原子力事故が発生した締約国の裁判所にだけ裁判管轄権があります。締約国の排他的経済水域内で原子力事故が発生した場合には、その原子力損害に関する訴訟の裁判管轄権は当該締約国の裁判所のみに属します。また、締約国の領域外で発生した場合や原子力事故の場所が明確に決定できない場合等は、責任を負うべき運営者の原子力施設が設置されている締約国の裁判所に裁判管轄権があります。

○ 準拠法(第14条)
この条約における「国内法」とは、原子力事故により生じる請求について、この条約に基づく裁判管轄権を有する裁判所の法律をいいます。この条約や国内法は、国籍、住所、居所による差別なしに適用されます。

○ 条約の規定からの乖離(第15条)
締約国はこの条約に定める賠償額の増額する措置を講ずることができます。7億ユーロを超える範囲に限り、増額の措置はこの条約の規定とは異なる条件で適用することができます。

○ 常任委員会の決定(第16条)
常任委員会の決定は、締約国を代表する委員の相互の合意によって採択されます。

○ 紛争解決手続き(第17条)
この条約の解釈又は適用に関して締約国間に紛争が生じた場合には、交渉等により紛争を解決するために協議することになっていますが、6ヶ月以内に解決されない場合には、締約国が当事国を支援する会合を開きます。会合から3ヶ月以内に解決に達しない場合、紛争は欧州原子力裁判所に付託されます。

○ 留保(第18条)
署名国の承認を得られた場合に限り、この条約の一部の規定についての留保を行うことが認められます。

○ 批准(第19条)
この条約は批准書、受諾書、又は承認書をOECDの事務局長に寄託することにより批准、受諾、承認されます。また、5カ国以上の署名国の批准書、受諾書、又は承認書の寄託により効力を生じます。

○ 改正(第20条)
この条約の改正は、締約国の3分の2によって批准、受諾、又は承認された時に効力を生じます。

○ 加入(第21条)
OECDの加盟国又は準加盟国であってこの条約の署名国でない国の政府は、OECD事務局長に対する通告によりこの条約に加盟できます。この条約の署名国でないその他の国の政府は、OECD事務局長への通告及び締約国の一致した同意によりこの条約に加入できます。

○ 締約国間の協議(第22条)
この条約の効力は効力発生の日から10年間あり、適用を終了させなかった締約国については更に5年間、効力があります。締約国は効力発生の日から5年経過する毎に、責任額や資金的保証額等について考慮するための協議を行うことになっています。

○ 領域の一部への適用(第23条)
この条約は締約国の本土の領域に適用されるが、その他の地域であって締約国が指定する領域にもこの条約を適用することをOECD事務局長に通告することができます。この条約が適用されない締約国の領域は、非締約国の領域とみなされます。

○ 事務局長の任務(第24条)
OECD事務局長は、批准書の受領などを全ての署名国と加盟国に通知します。

 原子力損害賠償に関する国際条約の比較表はこちら

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○ 原産協会メールマガジン2009年3月号~2011年10月号に掲載されたQ&A方式による原子力損害賠償制度の解説、「シリーズ『あなたに知ってもらいたい原賠制度』」を小冊子にまとめました。

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