lights on with nuclear

 [JAIF]原産協会メールマガジン

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原産協会メールマガジン10月号
2011年10月25日発行

Index

■原子力政策推進活動

 □学生を対象とした高レベル放射性廃棄物地層処分に関する勉強会を開催
 □世界原子力大学夏季研修報告会を開催
 □JAIF地域ネットワークが放射線に関する勉強会の開催を支援
 □「輸送・貯蔵専門調査会」を開催

■国際協力活動

 □第18回日仏原子力専門家会合(N-20)を開催

■福島支援クラスターによる活動

 □広野町の方々への避難支援活動
 □富岡町の放射線に関する勉強会開催を支援

■原産協会からのお知らせ

 □2011年版「世界の原子力発電開発の動向」

■ホームページの最新情報

■原産協会役員の最近の主な活動など

■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【30】


本文

■原子力政策推進活動

学生を対象とした高レベル放射性廃棄物地層処分に関する勉強会を開催(日本原子力学会 学生連絡会との共催)

 「原子力には解決しなければならない問題が点在している。福島第一原子力発電所事故を受け、原子力に逆風が吹き始めた状況の今だからこそ、高レベル放射性廃棄物地層処分について勉強したい」―日本原子力学会 学生連絡会(以下 学生連絡会)に所属する学生たちの思いにより、原産協会では、学生連絡会と協働し、高レベル放射性廃棄物地層処分に関する勉強会(2回シリーズ:第1回9月27日(火)、第2回9月29日(木)) を開催しました。

 第1回目は「技術的な話―高レベル放射性廃棄物の地層処分、これからどのように進めていくのか」、第2回目は「社会的な話―高レベル放射性廃棄物の地層処分、社会的側面を考える」というテーマで、原産協会職員による、海外の事例等の話題提供、問題提起が行われ、それを受けて、参加者の学生たちがいくつかのグループに分かれてディスカッションし、とりまとめた意見を発表しました。

 各グループからは、処分地決定のプロセスに関して、様々な意見や問題提起がなされ、参加者からは、「普段の授業では受けられない貴重な体験だった」「いろいろな人との議論は大変刺激になった」「こういった勉強会を再度やってほしい」と好評を博しました。

 
ディスカッションと意見発表の様子:参加者からは「もっと議論する時間がほしかった」との声も多く寄せられました。

原産協会職員による話題提供に聞き入る学生

 

世界原子力大学夏季研修報告会を開催

 「2011世界原子力大学夏季研修」は、今夏、英国オックスフォード大学で6週間(7/9~8/20)にわたり実施されました。原子力発電所を持つ国、持たない国、あわせて世界32カ国・地域から若手の技術者、研究者を中心に78名が参加しました。日本からは、当協会の「向坊隆記念国際人育成事業」による参加費用助成を受けて3名が参加しました。このため、当協会は、3名の方から夏季研修の模様や参加の印象などを伺うため、10月5日(水)に報告会を当協会会議室で開催しました。

 今年の夏季研修では急遽、「フクシマ事故」がテーマに加わりました。この「フクシマ・セッション」では、3名も個別に体験談を話しました。一番難しかったのは、日本にいるときから発表の準備をしていた日本の原子力政策のことだったとのことです。というのも、発表数日前に、当時の菅直人首相が「脱原発依存」の方針を発表したためです。当然、各国の参加者からは注目を浴び、「被ばくによる死者は出ていないとニュース等では繰り返しているが、事故でたくさんの人が避難生活を余儀なくされていることを肝に銘じなければならない。」「福島事故報告では、当時の体験を追体験できた。」「自国も地震国であり、日本での経験を活かしていきたい。」などの感想が寄せられたそうです。

 3名は、6週間の国際的環境の研修に刺激を受け、触発され、時にリーダーシップの取り方や英語での議論で自信をなくすこともあったようですが、それらを乗り越えて、一回り大きくなった自分たちを実感しているようでした。

 この夏季研修は、原子力分野の国際人育成にとても有益ですので、当協会としては今後も支援事業を「向坊隆記念国際人育成事業」の中で継続します。

 なお、今年の夏季研修には、当協会国際部の小西俊雄調査役が4年続けてメンター(指導教官)として参加しました。

(2011年世界原子力大学夏季研修日本人参加者)(50音順)
川久保 陽子(独)日本原子力研究開発機構
核物質管理科学技術推進部 技術開発室
後藤 弘行関西電力(株)原子力事業本部放射線管理グループ
三宅 基寛日立GEニュークリア・エナジー(株)
原子力計画部原炉計 技師

 

 

JAIF地域ネットワークが放射線に関する勉強会の開催を支援(「福井県原子力平和利用協議会敦賀支部女性部」主催)

 「JAIF地域ネットワーク」では、10月7日(金)、福井県敦賀市にて、放射線に関する勉強会「知りたい!聞いておきたい!放射性物質を基礎から学ぶ」の開催を支援しました。

 この勉強会は、(独) 日本原子力研究開発機構 小林 泰彦氏(量子ビーム応用研究部門マイクロビーム細胞照射研究グループリーダー)に講師を務めていただき、「福井県原子力平和利用協議会敦賀支部女性部」のメンバー向けに開催された3回シリーズの最終回です。(第1回目は8月、第2回目は9月に開催)

 放射線に関して基礎から学び、福島第一原子力発電所の事故を受け、放射線・放射能に対する不安、また、食の安全が問われる今、電源立地地域である敦賀市の市民の皆様の不安解消に寄与することを目的として開催されました。

 勉強会終了後、参加者からは「今まで疑問だったことが理解できた」「放射性物質を蛍に例えてくださったのがわかりやすかった」「食品に対する影響について食品添加物やサプリメント等との比較例がわかりやすかった」「テレビや新聞報道から出される情報が、誇張されて提示されていることを改めて実感した」「敦賀も人事ではないので、これからもしっかり勉強して正しい知識を身につけていきたい」「このような講義はもっと広く皆さんに聞いて欲しい」等、ご意見をいただきました。

 

「輸送・貯蔵専門調査会」を開催

 「輸送・貯蔵専門調査会」では、原子燃料物質や放射性廃棄物等の輸送および貯蔵に関する研究・技術開発動向、ならびに関連法令や技術基準の国際動向などの現状や将来の見通し、課題・対策などに関して、講演、関連施設の見学、意見交換を通じ、専門情報の提供・交流による活動を実施しています。参加会員から提案を受けた希望テーマ(講演・見学先)に基づき、年間7回の定例会合を実施していますが、今回10月11日には、第44回定例会合として、キャスク用部材を製造している日本製鋼所室蘭製作所と使用済燃料運搬船六栄丸を見学しました。

 日本製鋼所室蘭製作所では、室蘭製作所の概要やキャスク製造実績を説明していただいた後に、製作中のキャスク/圧力容器/蒸気発生器用部材やタービンローター部材などを加工・組立工場で見学したり、機械設備の14,000トンプレスを見学したり、さらに、日本刀を製作している鍛刀所を見学しました。六栄丸では、運搬船としての特殊構造や非常時対応設備の概要について説明していただいた後に見学しました。

 なお、会員募集を毎年4月に行い、7月から1年間活動を行いますが、参加希望の方は途中からの参加も可能ですので、当協会にご連絡ください。なお、HPアドレスは以下になります。

 URL=http://www.jaif.or.jp/ja/seisaku/yuso_chosakai_activity.html

【日本製鋼所室蘭製作所本事務所玄関にて】

 

■国際協力活動

第18回日仏原子力専門家会合(N-20)を開催

 当協会は、10月18、19日の2日間、東京で「第18回日仏原子力専門家会合(N-20)」を開催しました。

 N-20会合は、日仏両国の原子力関係者が、原子力開発計画、その背景となる基本方針、また当面する諸問題について意見や情報を交換することにより、双方の相互理解と協力を促進し、ひいては世界の原子力平和利用開発の円滑な推進に寄与することを目的として、1991年以来、ほぼ年1回のペースで、日本とフランスで交互に開催しているものです。

 第18回となる今回の会合では、フランスからはベルナール・ビゴ原子力・代替エネルギー庁(CEA)長官、日本からは服部拓也原産協会理事長をはじめとする約25名が参加し、福島第一原子力発電所の事故を受け、そこから導かれる教訓を共有し、今後世界の原子力発電の安全性を高めるため、率直な議論を行いました。

 N-20会合は非公開ですが、議論の成果を共同声明にまとめ、以下の点について協力していくことを確認しました。

 共同声明、プログラムはこちら。

 

■福島支援クラスターによる活動

広野町の方々への避難支援活動

 福島支援クラスターでは、9月26日から27日にかけて、福島県いわき市内の広野町仮設住宅入居者の方々へふるさとカレンダーをお届けすると共に、住民の方々のご意見を伺ってきました。

 今回は、7月下旬に実施した約230戸に続き、湯本駅近くに8月下旬に設置された仮設住宅約135戸にカレンダーをお届けしたものです。前回同様、一軒ごとにカレンダーをお持ちして仮設住宅での生活などについてご意見を伺いました。精神的なストレスなどを訴える声もありましたが、入居者の方々は前回の訪問時に比べるとかなり生活に慣れてこられた印象でした。

 福島支援クラスターでは、10月中に四倉地区に設置される約300戸の仮設住宅にもふるさとカレンダーをお配りする予定です。

 

富岡町の放射線に関する勉強会開催を支援

 福島支援クラスターでは、10月12日と10月17日の2回にわたり、富岡町役場が職員を対象に開いた放射線に関する勉強会への支援を行いました。12日は医療に関する話、17日は除染に関する内容で、参加した町職員の方からは「不安が解消され安心した」「専門家の見地から具体的な対応策が聞けてよかった」「除染において、自治体の役割が大変重要であることがわかった」等、感想をいただき好評でした。講師は放射線安全フォーラム 副理事長 田中 俊一氏他。

10月17日勉強会風景

 

■原産協会からのお知らせ

2011年版「世界の原子力発電開発の動向」

 当協会では、2011年1月1日現在の世界の原子力発電所と核燃料サイクル施設の状況とデータをまとめた「世界の原子力発電開発の動向-2011年版」を刊行しています。

 世界の原子力発電所一覧表には、国別の各発電所の状況、炉型・原子炉モデルを始め発注・着工から営業運転までの各年や主契約者、供給者、運転サイクル期間等、広範な情報を網羅しています。

 今回、中国、インドでの原子力計画拡大の状況、中東、東南アジア諸国を始めとする新規発電所導入計画に焦点をあてた世界の動きも掲載しました。

詳細は、http://www.jaif.or.jp/ja/news/2011/doukou.html

 

■ホームページの最新情報

原産協会HP(一般向け)の更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/ )

*国内、海外ニュースは毎週および随時更新しております。


会員向けHPの更新情報 https://www.jaif.or.jp/member/

英文HPの更新情報http://www.jaif.or.jp/english/

[Information]

[福島事故情報専用ページ] 「Information on Fukushima Nuclear Accident

■原産協会役員の最近の主な活動など

[服部理事長]


[石塚常務理事]

■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【30】

環境汚染への対処
 今回は、法律上規定された一般的な環境汚染への対処と、原子力事故に伴う放射性物質による環境汚染への対処についてQ&A方式でお話します。


Q1.(環境基本法)
人の健康や生活環境に被害が生ずるような環境への負荷に対して、法律上どのような対処がなされていますか?

A1.


【A1.の解説】
 我が国の環境保全に関する事項は「環境基本法」(平成5年11月19日施行)に定められており、基本理念や、国、地方公共団体、事業者及び国民の責務とともに、施策の基本となる事項が規定されています。これは、当時の環境問題の高まりを受けて制定された法律であって、原子力災害を想定したものではありません。

 基本理念としては「環境の恵沢の享受と継承等」、「環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築等」、「国際的協調による地球環境保全の積極的推進」について規定されています(第3~5条)。

 また責務規定として、国は「環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策」、地方公共団体は「国の施策に準じた施策、区域の自然的社会的条件に応じた施策」を策定・実施する責務を有すること、事業者や国民は環境への負荷の低減や環境の保全に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有することが規定されています(第6~9条)。

 環境の保全に関する基本的施策について、施策の策定等に係る指針、環境基本計画、環境基準、特定地域における公害の防止、国が講ずる環境の保全のための施策等、地球環境保全等に関する国際協力等、地方公共団体の施策、費用負担等に関する規定があります(第14~40条)。この中で費用負担について、公害等に係る支障を防止するために公的事業主体が実施する事業については、その事業の必要を生じさせた者に、費用の全部又は一部を負担させる、という原因者負担が規定されています(第37条)。また、自然環境保全のための事業実施により著しく利益を受ける者には、事業に関する費用の全部又は一部を負担させるという受益者負担の規定があります(第38条)。

 また、国が講じる環境保全上の支障を防止するための規制(第21条)として、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、土壌汚染対策法などによる規制措置が規定されていますが、環境基本法においては「放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防止のための措置については、原子力基本法 (昭和三十年法律第百八十六号)その他の関係法律で定めるところによる」(第13条)とされています。

 放射性物質による汚染防止の措置は、原子炉等規正法による規制措置のほか、例えば、放射線量の測定や放射性物質の除染などについては原子力災害対策特別措置法の緊急事態応急対策および災害事後対策(第25~27条)に規定されています。

「環境基本法」本文はこちら

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Q2.(放射性物質汚染対処特措法)
原子力事故により原子力発電所から放出された放射性物質による環境の汚染に関して、どの ように対処されていますか?

A2.


【A2.の解説】
 環境基本法による規定の範囲に含まれない放射性物質による環境の汚染への対処は、平成23年8月30日に公布された「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(放射性物質汚染対処特措法)に規定されています。

 放射性物質汚染対処特措法には、国の責務として、原子力政策を推進してきたことに伴う社会的責任に鑑み必要な措置を講ずること、地方公共団体の責務として、国の施策への協力を通じて適切な役割を果たすこと、関係原子力事業者の責務として、誠意をもって必要な措置を講ずるとともに国又は地方公共団体の施策に協力すること、国民の責務として、国又は地方公共団体が実施する施策に協力すること、が規定されています(第3~6条)。

 放射性物質により汚染された廃棄物の処理、放射性物質により汚染された土壌等の除染等は以下のように実施することとされています。
 原子力損害の賠償責任は原子力事業者にあると規定する原賠法の通り、原子力事故による環境汚染に関する損害は、事故を起こした原子力事業者が賠償すべき損害となり得ます。特に、放射性物質汚染対処特措法に基づいて事故由来放射性物質による環境汚染に対処するための措置は、原賠法の規定による原子力損害に係るものとして、事故を起こした原子力事業者の負担の下に実施されるものとする、と明記されています。(第44条)

放射性物質汚染対処特措法の本文はこちら

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○ 原産協会メールマガジン2009年3月号~2010年9月号に掲載されたQ&A方式による原子力損害賠償制度の解説、「シリーズ『あなたに知ってもらいたい原賠制度』」の19回分を取りまとめ、小冊子を作成いたしました。

小冊子の入手をご希望の方は(1)送付先住所 (2)所属・役職(3)氏名(4)電話番号(5)必要部数をEメールで genbai@jaif.or.jp へ、もしくはFAXで03-6812-7110へお送りください。

シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」のコンテンツは、あなたの声を生かして作ってまいります。原子力損害の賠償についてあなたの疑問や関心をEメールで genbai@jaif.or.jp へお寄せ下さい。

 


◎「原産協会メールマガジン」2011年10月号(2011.10.25発行)
発行:(社)日本原子力産業協会 情報・コミュニケーション部(担当:木下、八十島)
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