lights on with nuclear

 [JAIF]原産協会メールマガジン

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芝桜 原産協会メールマガジン4月号
2012年4月25日発行

Index

■原子力政策推進活動

 □第45回原産年次大会 東京で開催
 □合同企業説明会「原子力産業セミナー2013」の報告書を作成
 □原子力発電に係る産業動向調査2010―急がれる信頼回復―の概要

■国際協力活動

 □今井会長、ロスアトム・キリエンコ総裁と懇談
 □チェルノブイリ事故の社会的影響を研究するウクライナの作家へのインタビュー
 □日英原子力サミットにおいて英国原産協会との協力覚書締結
 □FORATOM(欧州原子力産業会議連合)とも協力促進で合意

■動画配信のご案内

 WNA作成の動画「福島とチェルノブイリ ~虚構と真実~」の公開について

■ホームページの最新情報
■原産協会役員の最近の主な活動など
■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【36】
■福島復興支援情報

 □「感謝の広場 いわき大感謝祭」開かれる


本文

■原子力政策推進活動

□第45回原産年次大会 東京で開催

 当協会は4月18日から19日にかけて、東京都・有楽町の「東京国際フォーラム」で、第45回原産年次大会を開催しました。今回は、「再生への道筋を問う──Think Globally, Act Locally」を基調テーマに、36か国・地域から約930人が参加し、活発な意見・情報交換を行いました。


 開会に当たり今井敬・原産協会会長(=写真右)が所信表明を行い、安全対策の徹底と透明性の一層の向上を図り、失われた信頼の回復に努めなければならないと決意を表明するとともに、原子力発電所の再稼働について、安全性が確認されたものは、国が前面に出て、周辺地域をはじめ国民の理解を得た上で、速やかに再稼働していくべきとの考えを示し、今後のエネルギー政策についても、原子力発電は引き続き一定の役割を担っていく重要なエネルギー源であると強調しました。

(今井会長の所信表明の全文はこちらをご覧ください。http://www.jaif.or.jp/ja/annual/45th/45th-chairman_opening-address.html


 続く特別講演で、細野豪志・原発事故担当相(=写真左)は、「政府および事業者は今回の事故を真摯に反省し、懸命に努力していかなければならない」と指摘し、米国のTMI原子力発電所事故を契機に設立された原子力発電運転協会(INPO)を例に、「日本も事業者による自主的で継続的な取り組みをぜひ求めていきたい」と強調しました。また、海外からは、ウクライナのビクトル・バローハ非常事態大臣より「チェルノブイリの事故を乗り越えて-経験と重要な教訓」と題する講演を行い、ロドヴィッチ・チェホフスカ駐日ポーランド大使、カート・トン駐日米国大使館首席公使、露・ロスアトムのピョートル・シェドロビツキー総裁顧問が講演し、国際原子力機関 (IAEA)の天野之弥事務局長によるビデオメッセージが紹介されました。福島事故後、さらなる安全確認を行い、エネルギー供給や地球温暖化対策などで原子力推進に変化がないことを強調しました。


ビクトル・バローハ ウクライナ非常事態大臣 ロドヴィッチ・チェホフスカ 駐日ポーランド大使


 これら海外からの特別講演に続き、東京電力・相澤善吾副社長から「福島第一原子力発電所の現状と今後」についての報告が行われました。

 18日午後には、セッション1「これからのエネルギー・原子力政策、そして日本がとるべき道は」を開催。田中伸男・元国際エネルギー機関(IEA)事務局長を議長に、バーバラ・ジャッジ英原子力公社(UKAEA)名誉会長(=写真左)、坂根正弘・日本経済団体連合会副会長、ウィリアム・マグウッド米原子力規制委員会(NRC)委員、チュン・クンモ元韓国科学技術庁長官、シュテファン・ニーセン  アレバドイツ社研究&イノベーション事業本部長、竹内敬二・朝日新聞編集委員、澤昭裕NPO法人国際環境経済研究所所長から、それぞれの視点に立ったエネルギー、原子力政策についての講演が行われました。

 翌19日には、セッション2「福島事故をふまえて-安全性向上への取り組み」を開催。松浦祥次郎・原子力安全研究協会評議員会長を議長に、八木誠・電気事業連合会会長、ローレン・ストリッカー世界原子力発電事業者協会(WANO)議長、スコット・ピーターソン米原子力エネルギー協会(NEI)副理事長、リュック・ウルセル アレバ社社長兼CEO、マイク・ウェイトマン英原子力規制局長官から、原子力の安全向上のための取り組みについて講演が行われました。

 19日午後のセッション3「福島の復旧・復興にむけて-被災地の今と課題」では、セルゲイ・ラフマノフ駐日ベラルーシ大使の「原子力事故の影響緩和におけるベラルーシの経験」、ミシェル・ガーバー米URS社戦略的原子力構想上級アドバイザー(=写真右)の「ステークホルダー・アウトリーチ及び地域参加の重要性とその効果:ハンフォードの経験から」と題した基調講演の後、増田寛也・元総務大臣、前岩手県知事を議長に、遠藤勝也・富岡町長、箱﨑亮三・NPO法人実践まちづくり理事長、柴田徳思・東京大学名誉教授、吉田泉・復興大臣政務官にご参加いただき、パネル討論が行われました。



セッション3のパネル討論


 原産協会の動画配信「Jaif Tv」では年次大会の総集編を来月(24年5月)、配信する予定です。当協会HPからご覧下さい。また、同年次大会の概要については後日、当協会ホームページに掲載いたしますのでご参照ください。

 

□合同企業説明会「原子力産業セミナー2013」の報告書を作成

 当協会と関西原子力懇談会は、平成24年1月28日に東京、同年2月4日に大阪で合同企業説明会「原子力産業セミナー2013」を開催し、その結果を報告書にまとめました。以下にその概要をお伝えいたします。
 
 参加企業数は延べ53社(前回60社)、参加学生数は合計496人(前回1903人)でした。
 例年では、大阪会場の来場学生数は東京会場の5割程度でしたが、今年度は東京会場を上回りました。来場学生数の昨年度比の減少幅は東京(82%減)より大阪(58%減)の方が小さく、地域によって原子力産業に対する接し方に温度差があります。

 来場学生数を分野別に見ますと、すべての分野で来場学生数が減少しましたが、特に「電気・電子系」および「機械系」の減少幅が大きい結果となりました。このことから、福島第一原子力発電所の事故以降、学生は原子力産業界を敬遠していると考えられます。
 原子力政策について今後の方向性が不透明であり、セミナー会場ではこの点について不安の声を漏らす学生も散見されました。
 

 
 
 各分野の来場学生数が大幅に落ち込んだことから、原子力産業界はこの現状を受け止め、産業界全体で総力を挙げ、特に採用比率の高い機械系および電気・電子系分野を中心とした理系学生に対し、「既存の原子力発電の利用・廃炉等どのような政策がとられるとしても、長期にわたり継続して新しい人材が必要である」ということをPRしていく必要があります。
 
 来場学生の分析やアンケート結果を纏めた報告書は、以下のURLからダウンロードできます。
 http://www.jaif.or.jp/ja/nis/2011/nis2013_report.pdf
 

□原子力発電に係る産業動向調査2010―急がれる信頼回復―の概要

 当協会はこのたび、2010年度の原子力発電に係る産業動向調査の概要をとりまとめました。本調査は、わが国における原子力産業の実態を把握し、その分析を通じて、産業としての健全な発展に資すると共に、各分野における関係者の参考となる基礎資料の提供を目的として、1959年より「原子力産業実態調査」を実施しています。2008年度調査から「原子力発電に係る産業動向調査」として大きく内容を改定し、今回が改定後3回目の調査となっています。

 今回調査では、回答のあった全212社の2010年度の原子力関係の支出高や売上高、取扱高、従事者数を調査するとともに、各企業のご担当者様に対する定性アンケートも併せて実施しています。
 
 今回調査では大きな動きとして、①鉱工業他の原子力関係受注残高が大幅な増加となった点(2兆3,213億円、対前年度比18.2%増)、②鉱工業他の原子力関係売上高の海外向け(輸出)が大きく伸長した点(1,314億円、同21.6%増)が挙げられます。全般的には電気事業者の支出高(2兆1,420億円、同0.3%増)、鉱工業他の売上高(1兆8,043億円、同0.9%減)は多少の増減はあるものの、対前年度比で概ね横ばいであり、従事者数も増加していることなどから(電気事業者:1万2,147人、同4.1%増。鉱工業他:3万4,035人、同1.0%増)、産業全体は堅調に推移していたことがうかがえる結果となっています。
 
 またアンケートでは、2011年度の原子力業界の景況感として、前年度と比べて「悪い」と回答した企業の割合(72.3%)が大きく増加し、売上額の前年度比較についても「減少」(57.5%)が大きな割合を占めています。さらに1年後(2012年度)についても、景況感、売上額ともに「悪くなる」という回答が多くなっており(景況感 74.6%、売上額73.9%)、総じて、福島第一原子力発電所の事故の影響により、2011年度になって景況感は悪いとの認識が大きく広がっており、国の原子力政策が定まらないなか、今後の業界環境についてもさらに悪化するとの見方が多い結果となっています。

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調査対象:当協会会員企業および原子力発電産業に係る支出や売上、従事者を有する営利を目的とした企業で、対象企業数は547社。回答企業数212社(内訳:電気事業者11社、鉱工業他192社、商社9社)。
調査実施期間:2011年9月22日~2011年11月18日


■国際協力活動

□今井会長、ロスアトム・キリエンコ総裁と懇談

 当協会の今井会長、服部理事長は4月3日、来日したロシア国営原子力企業ロスアトムのキリエンコ総裁と懇談をしました。

 冒頭、今井会長は、青森での年次大会以降、5年ぶりに会えたことを嬉しく思うとともに、東日本大震災時におけるロシアの救援活動や福島第一原発事故収束にむけたロシアからの支援に対して感謝の意を表しました。

 これに対し、キリエンコ総裁は、東日本大震災の犠牲者に対して深い哀悼の意を述べるとともに、日本国民が大震災を乗り越えて復興を達成したこと、福島第一原発において事故処理にあたる日本の専門家、従業員の高い能力の取組みに対して敬意を示しました。また、福島第一原発の問題は、世界の原子力に影響を与えうるため、効率よくできるだけ早く復旧作業を終えることが重要であると述べ、福島第一原発の廃炉処理においては、チェルノブイリ事故をはじめとし、ロシアの原子力産業界がこれまでに培った経験や知見を活かして、その迅速な処理に向けて支援する用意があると述べました。

 これに対し、服部理事長は、廃炉処理においては現場のニーズに基づき、世界の英知を結集して効率的に解決すること、その経験、成果を世界で共有していくことが重要であると答えました。また、その作業に今後30-40年がかかると見込まれることから、事故後の若い優秀な人材の確保が大きな課題であると述べました。

 キリエンコ総裁からは、ロスアトムが福島事故後、一貫して客観的に正しい情報提供に努め、事故直後には悪化した原子力に対する風向きが好転した事例が紹介されました。

 最後に、日ロ原子力協定が5月上旬に発効するにあたり、これまでの日本の産業界による支援に対する謝辞が述べられました。


□チェルノブイリ事故の社会的影響を研究するウクライナの作家へのインタビュー

 当協会は、チェルノブイリ事故の社会的影響、特に「情報」による精神的影響について研究している作家のセルゲイ・ミールヌイ氏(=写真)の来日に際し、単独インタビューを行いました。

 ミールヌイ氏は、1986年のチェルノブイリ事故の3ヶ月後に、軍の召集により原発周辺の放射線測定に従事しました。その後、事故について研究し、現在、ジャーナリスト、作家、劇作家として活躍中。チェルノブイリを扱った小説はベストセラーとなっています。

 先月来日し、1週間のうちに東京および福島で計3回の講演と、福島の被災地視察を行う過密スケジュールの中、原産新聞による単独インタビューに応じていただきました。昨年12月に原産協会の調査団がキエフを訪問した際以来二度目の面会となりました。

 インタビューでの発言要旨は以下のとおりでした。

・チェルノブイリでは、被害の実態とは異なった形で『恐ろしい放射線影響』を伝える情報が 拡大している。
・学術的な考え方が重要。放射線の影響と言われるものがいくつもあるが、学術的には限られている。
・放射線についての基礎知識が普及していないため、多くの人が精神的ストレスを受けている。住み慣れた土地を離れ、見知らぬ土地に移り住むことはストレスを引き起こすため、住 民を過度に移住させることは問題だ。
・200~300ミリシーベルトの低線量被ばくを受けたが、人体に備わった自然回復機能により解消できる。事故処理作業に従事しても、現在健康に暮らしている人も数多くいることを知ってもらいたい。
・現在、チェルノブイリ立入禁止区域へのツアーを主宰し、知識普及を図っている。


 チェルノブイリの情報被害に関する詳しい考察は、2011年発行の国連の国際チェルノブイリ研究情報ネットワークの論文集(英語、ロシア語)に掲載されています。

 また、最近の著作「人畜力」(2010年、邦訳未)では、事故後の収束作業にあたった実体験をもとに、人間と放射能の対決・共存を描いています。

 以上の詳細は原産新聞(4月12日号および19日号)に掲載したほか、後日、当協会HPにも掲載いたします。


□日英原子力サミットにおいて英国原産協会との協力覚書締結

 当協会は、4月10日に開催された「日英原子力サミット」において、英国の原子力産業協会(NIA)と協力覚書を締結いたしました。

 「日英原子力サミット」は、4月10日、英国のキャメロン首相来日にあわせ、日英両国の原子力関係者が参加して英国大使館で開催されました。英国からは、同首相のほか、ベディントン政府首席科学顧問、クラーク英国原子力廃止措置機構総裁ら7名、日本側は、政府から枝野幸男経済産業大臣と細野豪志原発担当大臣、産業界からは当協会の服部理事長が参加して、講演等を行いました。

 キャメロン首相は挨拶の中で、協力の歴史が長い日英両国が除染や廃炉で協力する余地が多くあると述べるとともに、英国においては、将来の電力需要増加が予測される中で、原子力は重要な役割を果たすと明言しました。再生可能エネルギーの開発とともに既存原子力発電所の更新の必要性を指摘し、政府としても民間と連携、支援したいとの考えを述べました。

 枝野経産相は英国からの東日本大震災に対する支援に感謝するとともに、廃炉に向けた長期間の取り組みに対する英国からの協力の申し出を歓迎しました。新たなエネルギー政策の策定を目指すわが国の役割は、福島事故の教訓を世界の原子力安全の向上につなげることだと指摘する一方、新規原子力発電所建設を計画する英国に対して「わが国の技術や経験は貢献できると確信している」とし、原子力を取り巻く課題解決にむけ、両国双方の強みを生かして「ウィンウィンの関係を深めたい」と強調しました。 

 原子力サミットの締めくくりとして、日英原子力協力の今後の展開に向けた基盤強化となる日英原子力産業協会の協力覚書の署名式が行われました。約280の会員を有し英国の原子力産業界を代表する英国原子力産業協会(NIA)のハットン会長と、日本側は服部原産理事長が覚書に署名しました。

 覚書の中で、双方の原産協会は世界と両国の持続的発展に向けた原子力の重要性を認識した上で、両国原子力産業界の対話、情報交換、コミュニケーション強化の重要性を確認し、安全で平和的な原子力の利用を進めるため両国産業界の間での協力活動を支援していくことで合意しました。



□FORATOM(欧州原子力産業会議連合)とも協力促進で合意

 欧州との協力推進の一環として、当協会とFORATOM(欧州原子力産業会議連合)は今後の協力促進のために覚書を交わしました。第45回原産年次大会参加のため来日したFORATOMのJ-P.ポンセレ事務局長と服部理事長が4月19日、東京国際フォーラムにおいて署名を行いました。

 協力覚書は、安全で平和目的の原子力利用を進めるため、日欧産業界の間での対話、情報交換、コミュニケーション強化に向けた協力活動を支援していくことを内容としています。
 FORATOMは欧州17カ国にある原子力産業会議(総計800社で構成)が加盟する組織で、欧州の原子力産業界の情報や意見の発信を通じて原子力開発利用の促進に努めています。

 協力覚書への署名を終えて、ポンセレFORATOM事務局長は「原子力をめぐる環境は良い時も悪い時もある。しかし、そのどちらの状況においても、この覚書をベースとして日欧のフォーラムが協力していくことが重要である。」と語り、今後の両者間の交流に対する期待を表明しました。



■動画配信のご案内

□WNA作成の動画「福島とチェルノブイリ ~虚構と真実~」の公開について

 当協会は、「福島とチェルノブイリ ~虚構と真実~」の動画をHPにて公開しました。この動画は、福島第一原子力発電所の事故発生から1年を迎えることを機に世界原子力協会(WNA)が制作し、先月より公開しているものです。今回、WNAから特別な許可を得て、当協会にて日本語字幕を追加し公開することとなりました。

 放射線に関する国際機関の3人の専門家が、原子力事故による放射線影響について解説し、世の中に広まっている放射線影響についての虚構や俗説を払拭するために関係者が努力すべきこと、人々の放射線に対する理解を深める必要性について述べられています。是非ご覧ください。

http://www.jaif.or.jp/ja/jaiftv/archive44.html



■ホームページの最新情報

□原産協会HP(一般向け)の更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/ )

*国内、海外ニュースは毎週および随時更新しております。

・一般社団法人への移行のお知らせ(4/2)
・プレスリリース 『-急がれる信頼回復-「原子力発電に係る産業動向調査2010」の概要』を掲載(3/29)
・福島第一原子力発電所の事故情報(毎週木曜日更新、PDF)
・福島原子力発電所に関する環境影響・放射線被ばく情報(随時)
福島地域・支援情報ページ(随時)
  地元自治体の動きやニュース、地元物産・製品等の情報を掲載中
 
□JaifTv動画配信(http://www.jaif.or.jp/ja/jaiftv/archive44.html
 ・JaifTv特別編「福島とチェルノブイリ ~虚構と真実~ 」(4/20公開)
 ・第42回TOPIC -「JICC緊急時対応原子力発電基盤整備セミナー」(4/9公開)

□会員向けHPの更新情報( https://www.jaif.or.jp/member/
・【日本の原子力発電所の運転実績】3月分と11年度データ (4/9)

□英文HPの更新情報( http://www.jaif.or.jp/english/
・Atoms in Japan:英文原子力ニュース(AIJ) (随時、最新4/23)
・Earthquake Report (毎日更新)
・Status of the efforts towards the Decommissioning of Fukushima Daiichi
 Unit 1-4 (随時)
・Environmental effect caused by the nuclear power accident at Fukushima
 Daiichi nuclear power station (木曜日更新)

[Information]
* Stress Test and Restart Status added: Current Status of NPPs in Japan
 (最新4/9)
* Current Status before and after the earthquake (随時)
* Operating Records of Nuclear Power Plants (随時)
* Developments in Energy and Nuclear Policies after Fukushima Accident
 in Japan (随時)
* Trend of Public Opinions on Nuclear Energy after Fukushima Accident  
in Japan (随時)

[福島事故情報専用ページ] 「Information on Fukushima Nuclear Accident


■原産協会役員の最近の主な活動など

[今井会長]
4/10(火) 中部電力㈱浜岡原子力発電所視察
4/18(水) ~4/19(木) 第45回原産年次大会(於:東京国際フォーラム)

[服部理事長]
4/10(火) 日英原子力サミット出席(於:駐日英国大使館)
4/18(水) ~4/19(木) 第45回原産年次大会(於:東京国際フォーラム)

[石塚常務理事]
4/9(月) ~4/11(水) 国際原子力開発㈱ベトナム事務所開所式出席、現地サイト視察のため
ベトナム出張
4/18(水) ~4/19(木) 第45回原産年次大会(於:東京国際フォーラム)

[八束常務理事]
4/18(水) ~4/19(木) 第45回原産年次大会(於:東京国際フォーラム)
             

■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【36】

中間指針第二次追補と総括基準
 今回は、原子力損害賠償紛争審査会による2012年3月16日に公表の中間指針第二次追補と原子力損害賠償紛争解決センターによる2012年3月14日に公表の総括基準についてQ&A方式でお話します。


Q1.(中間指針第二次追補)
政府による避難区域等の見直し等に伴い、原子力損害賠償紛争審査会から出された指針の追補はどのような内容ですか?

A1.
・ 2012年3月30日に政府により実施された警戒区域及び避難指示区域等の見直しに伴い、原子力損害賠償紛争審査会(紛争審査会)は中間指針第二次追補を策定しました。
・ 避難指示等に係る損害については、2012年4月以降の第3期における精神的損害として、避難指示解除準備区域は1人月額10万円、居住制限区域は1人月額10万円とし2年分まとめて240万円、帰還困難区域は1人600万円が目安とされました。また、旧緊急時避難準備区域及び特定避難勧奨地点に係る取扱いが示されています。
・ 帰還困難区域内の不動産に係る財物価値は、事故発生直前の価値を基準として100%減少(全損)したと推認されました。
・ 除染等に係る損害として、除染等に伴う追加費用、減収分及び財物価値の喪失・減少分、地方公共団体や教育機関が行う検査等の費用が、賠償すべき損害と認められました。
・ なお、東京電力によれば、2012年4月20日現在の原子力損害賠償に係る状況は、おおよそ請求件数710,300件、賠償件数578,500件、賠償金額6,323億円となっています。


【A1.の解説】
 政府による避難指示等に係る損害の範囲に関する考え方は、紛争審査会による2011年8月5日の中間指針及び2011年12月6日の中間指針第一次追補で示されましたが、その後、2012年3月30日時点での警戒区域及び避難指示区域等の見直しに対応するため、紛争審査会は2012年3月16日に中間指針第二次追補を決定・公表しました。

 第二次追補には、中間指針及び第一次追補において引き続き検討すべき事項とされた、政府による避難等の指示等に係る損害、自主的避難等に係る損害、除染に係る損害が示されています。

 中間指針第二次追補では、賠償が認められるべき範囲として、次のような指針が示されています。

<政府による避難指示等に係る損害>
1. 避難費用及び精神的損害
(1) 避難指示区域(新たに設定された避難指示解除準備区域、居住制限区域、帰還困難区域)
○ 中間指針において示された「第2期」を2012年3月末日まで延長し、4 月以降は「第3期」。(事故発生から6ヶ月間を「第1期」、第1期終了から6ヶ月間を「第2期」としていた。)
○ 第3期において賠償すべき避難費用及び精神的損害の算定方法は、引き続き中間指針で示した通り。ただし宿泊費等が賠償の対象となる期間には限りがある。
○ 第3期における精神的損害の具体的な損害額は、次を目安とする
・ 避難指示解除準備区域に設定された地域・・・1人月額10万円。
・ 居住制限区域に設定された地域・・・1人月額10万円とし、2年分として240万円。
・ 帰還困難区域に設定された地域・・・1人600万円。
○ 中間指針において避難費用及び精神的損害が賠償の対象とはならないとしている「避難指示等の解除等から相当期間経過後」の「相当期間」は今後の状況を踏まえて判断される。
(2) 旧緊急時避難準備区域(福島第一原子力発電所の半径20km?30km圏内の地域の中で、計画的避難区域には該当していない地域:同準備区域は2011年9月30日に解除済)
○ 第3期において賠償すべき避難費用及び精神的損害や、損害額の算定方法は、引き続き中間指針で示した通り。
○ 第3期における精神的損害の具体的な損害額は1人月額10万円を目安。
○ 中間指針において避難費用及び精神的損害が賠償の対象とはならないとしている「避難指示等の解除等から相当期間経過後」の「相当期間」は、2012年8月末までを目安。
(3) 特定避難勧奨地点(事故発生後1年間の積算線量が20mSvを超えると推定される特定の地点:設定した地点の住居に対して政府は避難等に関する支援を行うとともに、当該地区のモニタリングを継続的に行う)
○ 第3期において賠償すべき避難費用及び精神的損害や、損害額の算定方法は、引き続き中間指針で示した通り。
○ 第3期における精神的損害は1人月額10万円を目安。
○ 中間指針において避難費用及び精神的損害が賠償の対象とはならないとしている「避難指示等の解除等から相当期間経過後」の「相当期間」は、3ヶ月間を当面の目安。

2. 営業損害
○ 営業損害の終期は当面は示さず、個別の事情に応じて合理的に判断する。
○ 営業損害を被った事業者による転業・転職や臨時の営業・就労等が特別の努力と認められる場合には、その努力により得た利益や給与等を損害額から控除しない等の合理的かつ柔軟な対応が必要。

3. 就労不能等に伴う損害
○ 就労不能等に伴う損害の終期は当面は示さず、個別の事情に応じて合理的に判断する。
○ 就労不能等に伴う損害を被った勤労者による転職や臨時の就労等が特別の努力と認められる場合には、その努力により得た利益や給与等を損害額から控除しない等の合理的かつ柔軟な対応が必要。

4. 財物価値の喪失又は減少等
○ 帰還困難区域内の不動産に係る財物価値については、事故発生直前の価値を基準として100%減少(全損)したと推認できる。
○ 居住制限区域内及び避難指示解除準備区域内の不動産に係る財物価値については、避難指示解除までの期間等を考慮し、事故発生直前の価値を基準に一定程度減少したと推認できる。

<自主的避難等に係る損害>
 第一次追補における自主的避難等に係る損害について、2012年1月以降に関しては次の通り。
・ 少なくとも子供及び妊婦は、自主的避難を行うような心理が、平均的・一般的な人を基準とし、合理性が認められる場合には、賠償の対象となる。
・ 賠償の対象となる場合において、賠償すべき損害及びその損害額の算定方法は、原則として第一次追補で示した通りとし、具体的な損害額については合理的に算定する。

<除染等に係る損害>
 除染等に係る損害は、中間指針で示したもの(一次立入費用、営業損害、検査費用(物)、財物価値の喪失又は減少等)のほか、次の通り。
・ 必要かつ合理的な範囲の除染等に伴って生じた追加的費用、減収分及び財物価値の喪失・減少分は、賠償すべき損害と認められる。
・ 地方公共団体や教育機関が行う必要かつ合理的な検査等に係る費用は、賠償すべき損害と認められる。

 第二次追補には中間指針や第一次追補と同様に、第二次追補で対象とされなかったものが直ちに賠償の対象とならないというものではなく、個別具体的事情に応じて相当因果関係のある損害と認められることがあり得る、と明記されています。

 なお、東京電力による原子力損害賠償の支払い実績は次の通りです。(東京電力のウェブサイトより転載)


中間指針第二次追補の本文はこちら

関連するメルマガはこちら
福島原発事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針

自主的避難等に関する指針(第二次追補)、紛争解決センター

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Q2.(紛争解決センターが策定した総括基準)
原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解仲介手続きの実施状況と新たな総括基準はどのようになっていますか?


A2.
・ 2012年4月20日現在、和解仲介手続きを実施している原子力損害賠償紛争解決センター(紛争解決センター)には和解の申立てが1,926件あり、そのうち80件について和解が成立しています。
・ 紛争解決センターは、2012年2月14日に公表した4つの総括基準に加え、2012年3月14日に新たに次の2つの総括基準を公表しました。
・ 訪日外国人を相手にする事業の風評被害等に関しては、事故との因果関係が認められるのは、「放射性物質による汚染の危険性を懸念し、敬遠したくなる心理が、平均的・一般的な外国人を基準として合理性を有している場合」とされました。
・ 弁護士費用に関しては、和解により支払いを受ける額の3%を目安とする額(和解金が1億円以上になる場合は3%未満で仲介委員が適切に定める額)が弁護士費用として賠償すべき損害と認められることとなりました。


【A2.の解説】
 紛争解決センターの事務所は東京・新橋と福島・郡山に設置されており、2012年4月20日現在、紛争解決センターには和解の申立てが1,926件あり、そのうち80件について和解(うち全部和解:61件、一部和解:14件、仮払和解:5件)が成立しています。

 紛争解決センターでは、申し立てられた案件の多くに共通する論点があることから、一貫性のある和解案を作成するため、中間指針を踏まえ個別の和解仲介事件に適用するべき「総括基準」を策定しています。
 この総括基準は、2012年2月14日に、①避難者の第2期の慰謝料、②精神的損害の増額事由等、③自主的避難を実行した者がいる場合の細目、④避難等対象区域内の財物損害の賠償時期、の4項目が策定され、2012年3月14日には新たに⑤訪日外国人を相手にする事業の風評被害等、⑥弁護士費用、の2項目が追加策定、公表されました。
 総括基準の公表により、基準に基づく和解案提示の促進や、被害者と東京電力との円滑な相対交渉の促進に寄与することが期待されています。

 2012年3月14日に新たに公表された2つの総括基準の概要は以下の通りです。

<総括基準>
1.訪日外国人を相手にする事業の風評被害等
(1)観光業の風評被害について、中間指針の対象である「本件事故の前に予約が既に入っていた場合であって、少なくとも平成23年5月末までに通常の解約率を上回る解約が行われたこと」以外の原因により発生した減収等については、敬遠したくなる心理が、平均的一般的な外国人を基準として合理性を有している場合に福島原発事故との因果関係が認められる。
(2)訪日外国人を相手にする事業の風評被害は、商品又はサービスの買い控え、取引停止等について、敬遠したくなる心理が、平均的一般的な外国人を基準として合理性を有している場合に福島原発事故との因果関係が認められる。
(3)上記基準の適用については、放射性物質による汚染の危険性を懸念する訪日外国人は、福島県及びその近隣地域のみを敬遠するのではなく、日本国内の全部を敬遠するのが通常であることに留意する。

2.弁護士費用
 原子力損害を受けた被害者が紛争解決センターへの和解の仲介の申し立てをする際に、代理人弁護士を選任した場合、弁護士費用として賠償すべき損害と認められる範囲は以下の通り。
① 標準的な場合は、和解により支払いを受ける額の3%を目安とする。
② 和解金が高額(概ね1億円以上)となる場合は、3%未満で仲介委員が適切に定める額。
③ 例外的な取扱として、被害者の代理人弁護士の活動に通常の事案よりも複雑困難な点があった場合には、増額可能。
④ 例外的な取扱として、被害者の代理人弁護士の活動が、適正、迅速な審理の実現にあまり貢献しなかったと認められる場合には、仲介委員の判断により、弁護士費用相当額の損害を認定しない。

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原子力損害賠償紛争解決センターの活動状況と総括基準(2012年2月14日公表分)


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■福島復興支援情報

□「感謝の広場 いわき大感謝祭」開かれる

 福島県いわき市も東日本大震災で少なからぬ被害を受けた地域ですが、原子力発電所事故に伴って避難している浜通り地方の自治体の避難者を多く受け入れてもいます。そのいわき市などの主催による「感謝の広場 いわき大感謝祭」が4月12日と13日の両日、東京・港区新橋駅前広場で開催されました。「復興に向けて市民一丸となって立ち上がっている姿を見ていただくとともに、これまで応援してくださった皆さまに感謝の気持ちを届けたいと、開催することになりました。」との主催者の思いに応えるかのように、さらに復興を支援しようと、多くの人たちが集まりました。その時の模様を写真でお伝えします。

[左上]震災発生から現在までのいわき市の動きを新聞で紹介
[左下]昼休みの時間、賑わいをみせる会場
[右上]福島県いわき市の「スパリゾートハワイアンズ」のフラガールもかけつけ復興をダンスでアピール
[右中]地震で被害を受けた「アクアマリンふくしま」の移動水族館もお目見え
[右下]いわきの郷土料理や海産物販売の出店も人気


 


◎「原産協会メールマガジン」2012年4月号(2012.4.25発行)
発行:一般社団法人 日本原子力産業協会 情報・コミュニケーション部(担当:木下、八十島)
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