廃炉会計を見直し、料金影響緩和へ
総合資源エネルギー調査会の専門家ワーキンググループは14日、原子力依存度を可能な限り低減させていくとするエネルギー基本計画の方針のもと、廃炉を円滑に進めるための会計関連制度について報告書をまとめた。
現行の料金・会計制度では、事業者が廃炉判断を行った場合、料金値上げや、一括費用計上に伴う財務状況悪化により電力安定供給への支障をきたす可能性があることから、WGは、電力システム改革・自由化の進展も見据え、具体的な制度設計について検討を行ってきた。2015年7月時点で運転開始後40年を経過する7基については、計画外の廃炉となった場合240億円程度が発生すると試算されている。
このほど取りまとめられた報告書では、資産の残存簿価、核燃料の解体費用など、廃炉に伴って発生する費用を一括計上するのではなく、資産計上した上で、一定期間をかけて償却・費用化することを認める会計制度に見直すとしており、具体的には、「原子力廃止措置関連仮勘定」のような新勘定を設け、これに設備の簿価を移し替え、料金への影響を平準化する観点から、10年間で移し替えられた資産を定額償却する。
また、2016年に予定される小売部門の全面自由化も踏まえ、競争が進展するまでの一定期間、小売部門の規制料金への原価参入を認めるが、将来的には、費用回収が滞らぬような制度に改めていく。
(1月15日付け号掲載)