トルコ議会がシノップ原発建設に関する日本との協力協定承認
トルコ大国民議会は3月31日夜、黒海沿岸シノップ原子力発電所建設プロジェクトを推進するために日本政府と2013年に調印した政府間開発協力協定を承認した。
総額200億ドルの同プロジェクトでは、三菱重工業と伊藤忠商事、仏GDFスエズ社、およびトルコ国営発電会社(EUAS)等で構成される国際企業連合が受注を内定。三菱重工業と仏アレバ社の合弁会社ATMEA社が開発したATMEA1(出力112万kWのPWR)を4基、稼働年数60年を想定して建設することになっている。今後は事業会社とトルコ政府による商業契約締結や環境影響評価の承認などを経て、2017年にも初号機の建設工事を開始するとみられている。
トルコ政府の2013年の発表では、完成発電所の49%がEUAS、残りの51%が日本側の持分になる予定。トルコ電力卸売公社(TETAS)が完成原発からの電力購入価格として1kWhあたり11.80セントを日本側に支払うことになるとしている。
電力供給の約5割を輸入天然ガスに依存するトルコは、2023年までに国内3か所で原子力発電所を建設する目標を掲げている。すでに第1地点である地中海沿岸のアックユでは、ロシアの支援により120万kW級のロシア型PWR(VVER)「AES‐2006」4基を、2020年以降毎年1基ずつ完成させる計画を進めている。また、昨年11月には、第3地点などでウェスチングハウス(WH)社製AP1000技術に基づく原子炉4基を建設する方向で、EUASとWH社および中国国家核電技術公司(SNPTC)が3者間の協力覚書を締結した。同国では議会審議当日の早朝、首都アンカラや商業都市イスタンブールを中心に大規模な停電が発生しており、電力の安定供給に向けた協定承認審議に拍車がかかったと見られている。