2030年の発電コスト、原子力は下限で10.1円/kWh

2015年4月28日

 総合資源エネルギー調査会のワーキンググループは4月27日、2030年の各電源の発電コスト試算結果を取りまとめた。2011年に行ったコスト検証を踏まえ、電源ごとに想定したモデルプラントについて、kWh当たりの発電コストを求めたもので、資本費、燃料費、運転維持費の他、原子力では、新規制基準施行などに伴う追加安全対策費、事故リスク対応費用も含んでいる。
 試算結果によると、原子力では、全費用のうち事故リスク対策費用が増える可能性を考慮し、下限として10.1円/kWh、2011年のコスト検証時の同8.9円/kWhを上回る結果となった。この他、石炭火力12.9円/kWh、LNG火力13.4円/kWh、石油火力28.9~41.6円/kWh、太陽光12.5~16.4円/kWh、風力(陸上)13.9~21.9円/kWh、地熱19.2円/kWh、一般水力11.0円/kWhなどとなっており、原子力はコスト面で優位との結果が示された。
 原子力発電コストの算定に際しては、稼働率70%、稼働年数40年のプラントと想定し、核燃料サイクルについては使用済み燃料の半分を20年、残りの半分を45年、それぞれ貯蔵後に再処理するものとしている。また、追加安全対策費は、2011年のコスト検証時で0.2円/kWhだったが、今回、原子力規制委員会による新規制基準適合性審査を申請している24プラントについて、電力会社から見通しを聴取した上で、試算に際してモデルプラントにおける費用計上を整理したところ、1基当たり601億円、これに相当する発電コストは0.6円/kWhとなった。
 試算結果は、翌28日の長期エネルギー需給見通しを審議する委員会に報告された。