ロシアが試作したITER用ジャイロトロン、性能試験で良好な結果

2015年5月19日

yts3lロシアの原子力総合企業ロスアトム社の5月15日付け発表によると、国際熱核融合実験炉(ITER)用にロシア企業が試作したジャイロトロン(=写真)がITER機構の仕様を満たしていることが実証された。これにより同国は、ジャイロトロンの連続生産とITERへの組み込みに向けて準備が整ったとしている。ジャイロトロンは核融合炉中の燃料プラズマを加熱する高出力マイクロ波源で、強磁場の中で電子ビームを加速し、そのエネルギーをマイクロ波に変換する仕組み。ITERに使われる24本中、8本の製造をロシアが担当している。

発表によると性能試験は5月11日から15日にかけて、ロシア科学アカデミー応用物理学研究所とともにジャイロトロンの製造・納入を請け負ったハイテク機器メーカー・Gycom社のニジニ・ノブゴロド施設において、ITER機構の代表者が見守る中で行われた。ロシアのジャイロトロンは周波数170GHz、出力1MW、最大パルス幅1,000秒で、開発にはクルチャトフ研究所と自動機器システム企業のRTSoft社も携わった。

ITER計画には日本を含めてEU、ロシア、米国、韓国、中国、インドの7か国・地域が参加しており、南仏カダラッシュで2013年からメインの3建屋の建設工事が始まった。使用機器は参加各国が分担で物納し、ITER機構が現地で組み立てる方針。ジャイロトロンは日本からも8本を納入予定となっている。