英ホライズン社、新規原子力発電所の運転員訓練でスペインのテクナトム社と協力

2017年7月20日

右から3人目がホライズン社のホーソーンCEO©ホライズン社

 日立製作所が英国で所有するホライズン・ニュークリア・パワー社は7月19日、ウェールズ地方アングルシー島で建設するウィルヴァ・ニューウィッド原子力発電所の運転員を育成するため、スペインの原子力関連訓練サービス事業者であるテクナトム社と提携合意したと発表した。同計画でホライズン社は日立GE社製UK-ABWRを少なくとも270万kW分建設する予定で、環境庁を含む規制当局による同設計の包括的な認証審査は今年末に完了する見通し。また、今年後半に担当大臣に対し開発合意書(DCO)を申請することを念頭に、同社は3月に原子力サイト・ライセンスを原子力規制庁(ONR)に申請したほか、5月には最終段階となる第3回目の公開ヒアリングを約1か月かけて実施した。同発電所専門に運転保守のアドバイザリー業務を担当する企業「ジェクセル・ニュークリア社」も、日本原子力発電と米エクセロン社が合弁で起ち上げており、2019年後半の着工と2020年代前半の初号機運転開始を目指す同プロジェクトは着々と進展している。

 テクナトム社は原子力発電所の運転・保守を専門とするエンジニアリング企業で、世界中の原子力産業に対して35年以上にわたって最先端の手法を用いた総合的な訓練支援を提供してきた。今回はホライズン社のために、英国最大の教育訓練会社の1つであるGEN IIエンジニアリング・アンド・テクノロジー・トレーニング社、および米国のGE日立ニュークリア・エナジー社とチームを結成し、原子力発電所の運営全般およびABWRの運転に関する訓練を実施する計画。具体的には、ホライズン社内の訓練チームや地元の教育訓練校とともに、ホライズン社の既存の実習プログラム強化に取り組み、体系的な教育訓練を行う。第1段階としては総合的な訓練ニーズを分析し、監視制御室や現場の従業員、エンジニア、保守や放射線防護に関わる技術者など、発電事業者の全職務で必要となる訓練の範囲を設定。その後に実際の訓練を行うとしている。

 また、今回の連携を通じてホライズン社は、地元の北ウェールズで大学や教育訓練校を運営するランドリロ・メナイ・グループやバンガー大学とも協力。既存の教育課程に原子力関係のものを加えて、将来的に学位の対象となる実習制度を導入することについても検討する。同社のD.ホーソーンCEOは、発電所従業員の過半数をアングルシー島の出身者が占める予定だと明言。同島で3代にわたって雇用機会を提供するという約束を果たしていくと強調した。