Nuclear for Climate(N4C)がCOP30ポジション・ペーパーを発表
2025年11月10~21日にブラジル・ベレンで開催される国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)に向け、Nuclear for Climate (N4C)は、ポジション・ペーパーを発表しました。
N4Cは、世界150以上の原子力関連組織により結成されたイニシアチブで、気候変動に対する低炭素ソリューションに原子力を含める必要性について、政策立案者、一般市民、他の産業界との対話を実践しています。当協会は、N4CイニシアチブにCOP21(2015年パリ)から参加しており、今回のCOP30においてもN4Cによる理解促進活動を支援します。

N4Cは、本ポジション・ペーパーを通じて、各国政府および政策決定者に対し、気候変動対策の実施を大幅に加速し、2030年のパリ協定目標とネットゼロ達成に向けた断固とした行動を求めています。COP30は世界の進捗と課題が問われる重要な節目であり、原子力を含むあらゆるクリーンエネルギーの活用を強化することが不可欠です。2050年までの原子力容量3倍化に31か国がコミットした現状は、原子力が再エネを補完し、産業や電力部門の脱炭素を支える中核的な役割を担い始めていることを示しています。N4Cは、原子力がSDGs全17ゴールに貢献し、特にグローバル・サウスにおいて持続可能な成長を後押しする点を強調しつつ、各国が実効的な政策支援・投資環境の整備を進めるよう強く呼びかけます。
エグゼクティブ・サマリー
■ 世界の気候変動の文脈
COP30は、第1回グローバル・ストックテイクと2030年のパリ協定目標の中間に位置しており、各国が気候公約の実施を加速させる必要性がこれまで以上に高まっている。
■ 原子力の存在感の高まり
2050年までに原子力設備容量を世界で3倍にすることに現在31か国がコミットしており、原子力はクリーンエネルギー移行の柱として注目を集めている。再エネを補完し、エネルギーシステムを安定させる、信頼性の高い低炭素電源としての役割が強調されつつある。
■ COP29以降の進展
各国による新たな原子力新設プロジェクトやエネルギー転換戦略(例:インド、ナイジェリア、トルコ)の発表、原子力ファイナンスに関する議論の増加、UNFCCCのSB62実施トラックを通じた継続的な技術的議論など、重要な前進が見られた。
■ COP30への期待
改訂版のNDCや長期戦略(LTS)において原子力の位置付けが強化されること、さらにデジタル革新、産業脱炭素、SMR(小型モジュール炉)などをテーマにしたサイドイベントで注目が高まることが想定される。
■ 持続可能な開発への貢献
原子力エネルギーおよび関連技術は、エネルギー供給、医療、水の安全保障、クリーン産業、食料レジリエンス、高度技能の雇用創出などを通じて、SDGsの17ゴールすべてに直接・間接的に貢献する。特にグローバル・サウス地域でその恩恵が大きい。
■ 若手・人材育成
拡大する原子力セクターは、教育・研修・キャリアプログラムを通じて若手専門家が参画する大きな機会を提供しており、包摂的で将来に備えた人材基盤の確立につながる。
■ ネットゼロの達成には原子力が不可欠
世界が2050年前後までにネットゼロを達成するには、原子力なしでははるかに困難になる。IPCCは、分析したシナリオの平均で、2050年までに原子力容量が3倍に増加することを示している。信頼性の高い低炭素電源として、原子力は電力、産業、そして新たなエネルギーシステムの脱炭素化に不可欠である。
*Nuclear for Climate(N4C)関連活動の詳細は、公式ページをご覧ください。
https://www.nuclear4climate.info/
お問い合わせ先:国際部 TEL:03-6256-9313(直通)