世界エネルギー見通し2020年版(World Energy Outlook 2020, WEO2020) 概要紹介(電力・原子力中心に)

2020年12月4日

国際エネルギー機関(IEA)は2020年10月13日、「世界エネルギー見通し2020年版(WEO2020)」を公表しました。今回のWEOは、Covid-19危機後を見据えて、下記の4つのシナリオ分析を行っており、とりわけ、2030年までの重要な10年間が極めて重要な期間と位置付け、詳細な分析を行っています(10月15日付原子力産業新聞既報)

公表政策シナリオ(STEPS):これまでに公表された政策や目標を全面的に反映したシナリオで、2021年に新型コロナウイルス危機が次第に鎮静化し、世界経済は同年中に同危機以前の水準に戻る。

回復遅延シナリオ(DRS):前提となる政策はSTEPSと同じだが、世界経済に対するパンデミックの影響が長期化することを想定。

持続可能開発シナリオ(SDS):クリーン・エネルギー政策や投資が大規模に展開され、世界のエネルギー供給システムはパリ協定など持続可能な開発目標の達成に向けて、順調に進展する。

50年実質ゼロシナリオ(NZE2050):SDSの分析を拡大展開させたもので、今世紀半ばまでに排出量の実質ゼロ化をめざす。

WEOは今後の電力の見通しについて、いずれのシナリオにおいても、太陽光発電が電力供給の中心となり、大規模な拡大が見込まれるとしています。一方、原子力発電は先進国では「縮小」、新興市場と開発途上国では「拡大」するとし、中国が2030年頃には、米国やEUを追い抜き、世界最大の原子力国になる、と予測しています。

またパリ協定達成の道筋を示した「持続可能開発シナリオ」では、WEOは目標達成に向けた取組の一環として、既存原子力発電所の運転期間延長や新規建設の拡大、SMR(小型モジュール炉)を含むイノベーションの推進が鍵を握ることを挙げ、原子力発電の重要性を改めて指摘しています。

概要紹介版はこちらからご覧いただけます。

以 上

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