IAEA主催「SMR展開に向けた技術ロードマップ改訂に関する第2回テクニカルミーティング」参加概要報告

2026年7月13日~17日、オーストリア・ウィーンの国際原子力機関(IAEA)本部において、「Second Technical Meeting on Updating the Technology Roadmap for Small Modular Reactor Deployment(SMR展開に向けた技術ロードマップ改訂に関する第2回テクニカルミーティング)」が開催され、当協会職員が同会合に参加しました。
SMRを巡る世界の変化を踏まえ、ロードマップを改訂
IAEAは2021年、各国におけるSMR導入の検討を支援するため、「Technology Roadmap for Small Modular Reactor Deployment(SMR展開に向けた技術ロードマップ)」を策定しました。
その後、世界各国でSMRの開発・導入に向けた動きが加速しています。IAEAによれば、現在80以上のSMR設計が様々な開発段階にあり、ロシアでは浮体式原子力発電所、中国ではHTGR(高温ガス炉)実証炉が既に運転されています。また、カナダやウズベキスタンではSMR建設プロジェクトが進められるなど、各国で具体的な導入の動きが進展しています。
こうした2021年以降の技術開発や各国の導入計画の進展を反映するため、IAEAでは現在、同ロードマップの改訂作業を進めています。今回の会合はその一環として開催され、各国のSMRプロジェクトの現状や経験、課題を共有するとともに、SMRの設計、製造、建設、安全、規制、燃料サイクルなどについて議論し、改訂版ロードマップへの意見を集約することを目的としたものです。
日本のサプライチェーンとSMRへの取組を紹介
当協会からは、「Japan’s Strategic Contributions to Global Supply Chain Resilience and SMR Deployment」と題して、日本の原子力政策やサプライチェーン強靱化、海外SMRプロジェクトへの日本企業の参画などについて発表しました。
発表では、第7次エネルギー基本計画における原子力の位置づけをはじめ、国内の原子力産業・サプライチェーンの維持・強化に向けた取組や、原子力サプライチェーンプラットフォーム(NSCP)を通じた国内企業への支援、海外ベンダーとの連携に向けた取組などを紹介しました。
さらに、カナダで進められているBWRX-300プロジェクトや米国NuScale PowerによるSMR開発などを例に、日本企業が海外のSMRプロジェクトに技術・製造・エンジニアリング・出資など、様々な形で参画していることを紹介しました。
発表後には、IAEA事務局や各国の参加者から、日本企業による海外SMRプロジェクトへの参画状況、日本国内における原子力政策や既設炉の再稼働、将来的なSMR導入の見通しなどについて質問が寄せられ、日本の原子力政策や産業界の動向に関心が示されました。
世界各国で広がるSMR導入への取組
会合では、IAEAの専門家に加え、各国の政府・規制機関、研究機関、原子力関係企業等から、それぞれのSMR開発・導入計画や課題について発表が行われました。
特に、既に原子力発電を利用している国だけでなく、これから原子力発電の導入を検討する国においても、SMRへの関心が広がっていることが示されました。
インドネシアからは2030年代初頭の原子力導入を視野に、海外のSMR技術の導入と、HTGR(高温ガス炉)をベースとする国内技術開発の双方を検討していることが紹介されました。 また、タイからは、策定中の電源開発計画を踏まえた初のSMR導入に向け、新規導入国に必要となるロードマップについて発表がありました。
一方、SMRの利用形態についても多様な可能性が示されました。陸上での発電用途だけでなく、産業向けの熱供給や遠隔地へのエネルギー供給、浮体式原子力発電所(FNPP)などの海洋利用についても議論されました。IAEAからは、海洋における原子力技術の利用に関連した取組が紹介されたほか、ブラジルからは海洋型SMRの導入に向けた規制・許認可、安全・セキュリティ、人材育成、サプライチェーンなどの課題について発表がありました。
また、SMRの実用化に向けては、技術開発だけでなく、規制・許認可、サプライチェーン、人材育成、ファイナンス、インフラ整備、社会的受容性など、幅広い課題への対応が必要であることも各国の発表を通じて共有されました。ナイジェリアからは、法制度や規制能力、初号機の許認可、資金調達・インフラ、人材、社会的受容性などがSMR導入に向けた課題として示されました。
IAEAからも、HTGRをはじめとする先進炉技術、非軽水炉型先進炉への安全基準の適用、SMR特有の核セキュリティ、Transportable Nuclear Power Plants(可搬型原子力発電所)など、SMRの展開に関連する幅広い取組が紹介されました。
改訂版SMR Technology Roadmapの策定へ
会合後半では、こうした各国・機関からの発表に加え、参加者によるグループディスカッションが行われ、2021年版ロードマップの内容をレビューしながら、近年のSMR開発・導入の進展や新たな課題をどのように改訂版へ反映するかについて意見交換が行われました。
IAEAでは、今回のテクニカルミーティングで得られた各国からの意見や知見を踏まえ、現在、SMR Technology Roadmapの改訂作業を進めています。
改訂版ロードマップが公開された際には、当協会Webサイトでもその概要をご紹介する予定です。
【参照資料】
Technology Roadmap for Small Modular Reactor Deployment(2021年策定)
https://www.iaea.org/publications/14861/technology-roadmap-for-small-modular-reactor-deployment
以上
お問い合わせ先:国際部 TEL:03-6256-9313(直通)