世界の原子力発電プラントの運転期間延長の状況について
脱炭素化の進展やエネルギー安全保障の強化、電力需要の増加などを背景に、世界では既設原子力発電所をできるだけ長く活用する「運転期間延長(長期運転)」の動きが広がっています。新増設には時間と多額の投資を要するなか、既設炉の有効活用は、電力の安定供給とエネルギー安全保障を支える現実的な選択肢として位置づけられつつあります。
当協会はこのほど、世界で40年以上稼働する原子力発電プラント(表)および世界の運転中原子力発電所の運転期間別基数(表)を更新しました。当協会の調べによれば、2026年1月1日現在、世界の原子力発電プラントは計31か国で434基が運転中で、そのうち40年以上運転しているプラントは計22か国・173基、50年以上運転をしているプラントは計7か国・43基にのぼります。世界全体では、約40%が40年を超えて運転しており、約3分の2が30年を超えて運転しています。

こうした長期運転の動きは、特に米国で顕著です。米国では94基の原子力発電プラントが運転中ですが、2026年4月時点で90基が、運転開始当初の40年の運転期間を超え、20年間の運転期間延長の承認を受けて運転を継続しています。さらに近年では、追加の20年延長により、合計80年間の運転継続をめざす動きも一般化しつつあります。現に2026年4月時点で、23基が80年運転の認可を取得しています(うち2基は、環境影響再評価完了まで80年運転認可の効力が一時停止中)。米原子力規制委員会(NRC)によると、現在3基が80年運転の認可審査中で、30基以上のプラントが将来的な申請の意向を示しています。
欧州でも、長期運転に向けた動きが広がっています。フィンランドでは、70年超の運転継続が承認されたプラントがあり、スウェーデンやオランダでも80年運転をめざす動きがみられます。また、スイス連邦政府(連邦参事会)は最近、国内のゲスゲンおよびライプシュタット両原子力発電所について、最大80年までの運転は技術的に可能であり、多くの場合において採算性も見込まれるとの結論を示しました。


一方、日本では、高浜1~4号機、美浜3号機、東海第二、川内1、2号機の計8基が、運転期間延長(最長60年)の認可を取得しています。このうち、高浜1、2号機は、原子炉等規制法の改正に伴い、50年超運転に必要となる高経年化対策に係る長期施設管理計画の認可をそれぞれ取得しています。
OECD原子力機関(NEA)によると、各国のプラントの運転期間延長に対するアプローチ(表)はさまざまです。米国では40年間の運転後、20年毎の運転期間延長が可能であり、その更新回数に制限はありません。フランスや英国では、10年毎の定期安全レビュー(PSR)を行い、安全要件を満たす限り、運転を継続できる仕組みになっています。
このように各国で制度設計は異なるものの、安全性の確保を前提に、既設原子力発電所を長期にわたり活用しようとする動きが広がっています。長期運転は、脱炭素化と安定供給の両立を図るうえで、今後ますます重要性を増していくとみられます。
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