第4回原子力サプライチェーンシンポジウムについて(2026.3.9)

2026年3月17日

2025年3月9日、経済産業省の主催の第4回原子力サプライチェーンシンポジウムに、当協会も参加、共催いたしました。

本シンポジウムは、原子力利用の安全性と信頼性を支えている原子力サプライチェーンの維持・強化策について議論し、官民の取組をさらに加速することを目的に開催されており、今回が第4回目となります。当日は、政府、電力会社、プラントメーカー、エンジニアリング企業、IT企業などから会場およびオンラインで約500名の参加を得ました。

冒頭、小森卓郎経済産業大臣政務官は、「原子力など脱炭素効果の高い電源を最大限活用していくことが不可欠」と述べ、安全と地域の理解を大前提に既設炉の再稼働や次世代革新炉の開発・建設を進める政府の方針を改めて示しました。引き続き、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長の久米孝氏は、データセンターや半導体産業の拡大により電力需要が増加するなか、第7次エネルギー基本計画で示された2040年度エネルギーミックスにおける原子力シェア2割程度を達成するためには、既設炉の再稼働に加えて次世代革新炉の開発・設置の検討も進めていく必要があるとの認識を示しました。

続くセッション1では、日本経済団体連合会資源・エネルギー対策委員長の木藤俊一氏(出光興産会長)が、AIやデジタル化の進展に伴い電力需要が増加する中、安価で安定したエネルギー供給が経済成長に不可欠として原子力の役割が一層重要になるとの認識を示しました。また、2050年に原子力シェア2割を維持するには、約40基の設備が必要になるとの試算を紹介し、既設炉の再稼働に加えて次世代炉によるリプレースや新設を進める必要があると指摘しました。

また、Amazon Web Services(AWS)のクゥィント・サイモン公共政策統括責任者は、今後、24時間安定して電力を供給できる電源が不可欠になると述べ、原子力の役割を示唆しました。AWSは2040年までにネットゼロを達成する目標で、日本での32プロジェクトを含め、世界28か国で700以上のカーボンフリー電源プロジェクトに投資、総発電設備容量は4000万kW以上に達している。原子力では、米ワシントン州で、2030年代初頭の運開を目指し、4基、約32万kWのSMRプロジェクトに参加しており、高品質な日本の精密加工技術は世界の原子力建設において重要な役割を担うとの見解を示しました。

次世代炉開発に関するセッション2では、国内メーカー各社の取り組みが紹介されました。三菱重工業は次世代革新軽水炉「SRZ-1200」の開発状況を説明し、基本設計が概ね完了したことを報告しました。日立GEベルノバニュークリアエナジーはSMR「BWRX-300」の開発状況を紹介し、カナダなど海外でのプロジェクトが進んでいることを説明しました。東芝エネルギーシステムズは革新型ABWR「iBR」の安全設計を紹介したほか、IHIと日揮グローバルは米NuScale PowerのSMRプロジェクトへの参画状況を説明しました。さらに、三菱電機は、計装制御システムなど原子力プラントを支える技術を紹介しました。

サプライチェーン強化に関するセッション3では、原子力産業基盤の維持に向けた課題が共有されました。なかで、電気事業連合会は、将来的に原子力設備容量が減少する可能性を指摘し、2040年代にはリプレースが必要になるとの見通しを示しました。原子力エネルギー協議会(ATENA)は製造中止品への対応やオンラインメンテナンスの導入などの取り組みを紹介しました。日立GEベルノバは一般産業用部品を原子力用途に適用する「一般産業用工業品採用(CGD=Commercial Grade Dedication)」の取り組みを説明し、供給途絶対策の一つとして普及を進めていく方針を示しました。一方、太平電業は原子力プラント建設経験者が減少している現状を説明し、技術伝承の重要性を強調しました。さらに、三菱総合研究所はAIなどデジタル技術を活用した発電所入構手続きの効率化に関する研究を紹介し、作業環境改善の可能性を示しました。

人材育成に関するセッション4では、産学官の連携による人材確保の取り組みが紹介されました。経済産業省は原子力人材育成協議会を設置し、産学官連携による人材育成政策を進めていることを紹介しました。一方、文部科学省は大学連携による教育プログラム「ANEC」について、今後産業界との協力が重要となることを指摘しました。さらに、原子力規制庁は規制分野における人材確保の課題を説明し、産学官連携の必要性を強調しました。当協会からは原子力人材育成ネットワークで来年度人材育成戦略ロードマップを見直す予定であること、四電エンジニアリング / 三菱総合研究所からはものづくり・技能人材に特化した育成講座、北海道電力からは地域人材確保に向けた出前授業の展開について、それぞれの取組みを紹介しました。

最後に、原子力サプライチェーンを維持強化のため、将来の原子力発電規模や建設計画の見通しを示すことが重要であること、人材確保と育成には、産業界と教育機関、政府が連携して取り組むことを確認して、シンポジウムは閉会しました。

お問い合わせ先:企画部 TEL:03-6256-9316(直通)