ウクライナの原子力発電所の状況 #36


ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 117号(現地時間20221012日)[仮訳]

国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は本日、ウクライナのザポリージャ原子力発電所(ZNPP)が、ここ1週間で2度目の系統接続が切断されてから、数時間後に外部電源が復旧したことを明らかにした。

ZNPPに駐在しているIAEAの専門家によると、最後まで稼働していた750kVの送電線に現地時間午後1時40分頃に再接続に成功した。午前中に外部電源が失われた後、原子炉に電力供給していたバックアップ電源の非常用ディーゼル発電機は停止させた。事務局長は、外部電源の復旧を歓迎する一方で、欧州最大の原子力発電所であるZNPPの電力状況は依然として非常に脆弱であると指摘した。

ウクライナの国営原子力事業者エネルゴアトムは先に、砲撃によりZNPPから離れた場所にある送配電網の一部である変電所が損傷し、外部電源を損失したと発表した。先週土曜日(10/8)にも、発電所付近での新たな砲撃により、ZNPPの外部電源接続が切断され、翌日には復旧している。非常用ディーゼル発電機の燃料備蓄量は、現在10日分程度である。

ZNPPの6基の原子炉は冷温停止状態であるが、冷却やその他の安全機能に電力を必要としている。

確実な外部電源による供給は、原子力安全の確保に必須である。この要件は、紛争当初に事務局長が示した原子力安全およびセキュリティの7つの不可欠な原則の一つである。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-117-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine


ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 116号(現地時間20221012日)[仮訳]

国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は、ウクライナのザポリージャ原子力発電所(ZNPP)が本日、ここ1週間で2度目の外部電源喪失したことを明らかにし、ZNPPの原子力の安全とセキュリティが不安定な状況にあり、軍事紛争中にZNPPを早期に保護する必要性を強調した。

ZNPPに駐在しているIAEAの専門家によると、現地時間午前9時ごろ、最後まで稼働していた750kVの送電線への接続が切断された。非常用ディーゼル発電機は自動的に起動し、原子炉6基の冷却やその他の安全機能に必要な電力を供給した。

ウクライナの原子力事業者エネルゴアトムは、ZNPPから離れた場所にある送配電網の一部である変電所が砲撃によって損傷したため、停電が発生したと発表した。先週土曜日(10/8)にも、ZNPP付近での新たな砲撃により、ZNPPの外部電源への接続が切断されている。翌日には修復されたが、現在は再びダウンしている。非常用ディーゼル発電機の燃料備蓄量は、現在10日分程度である。

「ZNPPの度重なる電源喪失は深く憂慮される。遠く離れた場所で起きた事象により、外部電源が失われたことは、送電網につながる外部送電線が1本しかないZNPPがいかに脆弱であるかを示している」「現在の状況は明らかに手に負えないものであり、原子力の安全性とセキュリティを強化し、事故を未然に防ぐために早急な対応が必要である」とグロッシー事務局長は述べた。

事務局長は、原子力安全/セキュリティ保護エリアをZNPP周辺に設定することを提案し、その早期合意、実施に向けてウクライナおよびロシア双方とハイレベル協議を進めている。

事務局長は先週、キーウでウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談し、昨日サンクトペテルブルクでロシアのプーチン大統領と会談したのに続き、明日もキーウで会談予定である。

確実な外部電源による供給は、原子力安全の確保に必須である。この要件は、紛争当初に事務局長が示した原子力安全およびセキュリティの7つの不可欠な原則の一つである。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-116-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine


ザポリージャの原子力安全、セキュリティ、保障措置の現況
―IAEA事務局長による第2回サマリーレポート(2022年9月6日発表)から抜粋―



※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語および表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
 フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
 キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)

※ロシア軍によるチョルノービリ原子力発電所の占拠期間:2022年2月24日~2022年3月31日

 ロシア軍によるザポリージャ原子力発電所の占拠期間:2022年3月4日~

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