ウクライナの原子力発電所の状況 #18


ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 93号(現地時間20228月23日)[一部仮訳]

ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は23日、ウクライナがIAEAに対し、ここ数日の新たな砲撃により同国のザポリージャ原子力発電所(ZNPP)周辺にさらなる被害が生じたと報告を受け、同発電所が直面する深刻な原子力安全・セキュリティのリスクが改めて浮き彫りになったとし、IAEAによる専門家ミッションの緊急派遣が必要であると述べた。

ウクライナによるIAEAへの報告によると、8月20日(土)と21日(日)の砲撃により、実験室や化学施設を含むZNPPのインフラが被害を受けたとのこと。さらに8月22日(月)の砲撃で近隣の火力発電所の変圧器が損傷し、この発電所とZNPPを結ぶ送電線が同日中には回復したものの、数時間にわたって不通となったとのこと。

グロッシー事務局長は「これらの事象は、IAEAがザポリージャ原子力発電所に即刻ミッションを派遣できるようにしなければならないことの証左である。私は、この重要なIAEAミッションがこれ以上遅れることなく実施されるよう、すべての関係者と非常に積極的かつ集中的に協議を続けている」「IAEAの存在は、同サイトの原子力安全とセキュリティの状況を安定させ、欧州で深刻な原子力事故が発生するリスクを低減させることにつながる。現在進行中の交渉が成功すれば、ミッションは数日以内に実施される見込みである」と表明した。

ZNPPには、現在復旧している火力発電所のバックアップ送電ラインに加え、送電網に接続するための送電ラインが4系統あるが、このうち1系統が運転中である。原子力発電所の安全性を確保するためには、送電網からの確実な外部電源による電力供給が不可欠である。この要件は、紛争当初に事務局長が示した「原子力安全およびセキュリティの7つの不可欠な原則」のうちの1つである。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-93-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine


◆米英独仏首脳電話会談「ザポリージャ原子力発電所の安全確保」に関する声明(現地時間2022年8月21日)

参考:ホワイトハウスHPより

https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2022/08/21/readout-of-president-joe-bidens-call-with-president-emmanuel-macron-of-france-chancellor-olaf-scholz-of-germany-and-prime-minister-boris-johnson-of-the-united-kingdom/



※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語および表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
 フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
 キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)

※ロシア軍によるチョルノービリ原子力発電所の占拠期間:2022年2月24日~2022年3月31日

 ロシア軍によるザポリージャ原子力発電所の占拠期間:2022年3月4日~

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