ウクライナの原子力発電所の状況 #27


ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明第104号(現地時間2022年9月19日)[仮訳]

ウクライナの国際原子力機関 (IAEA)への報告によると、今朝早く、南ウクライナ原子力発電所 (SUNPP) 近くに砲撃があり、現場の3系統の送電線に影響を与え、窓ガラスが損傷した、とラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は述べた。

ウクライナはIAEAに対し、爆発はSUNPPのサイトから300メートル付近で発生したと報告した。影響を受けた送電線には、発電所と送電網を結ぶ750kVの送電線は含まれていない。

ウクライナの国営電力会社エネルゴアトムによると、SUNPPの3基の原子炉は通常運転を続けており、負傷者はおらず、3系統の送電線は短時間で自動的に再接続されたという。SUNPPは、欧州最大のザポリージャ原子力発電所 (ZNPP) から約250 kmの距離に位置している。ウクライナには他に2つの原子力発電所がある。

今回の紛争中、原子力安全とセキュリティに係る深刻な危機が続いているが、現地に駐在するIAEA専門家によると、今回新たに、近くの火力発電所の開閉所を通ってウクライナの送電網からZNPPに電力を供給するために使用されていた送電線が昨日切断された。その原因は判明していない。

IAEAの専門家らによると、ZNPPは現在、原子炉6基が冷温停止状態にあるが、金曜日に復旧した750 KVの外部送電線から必要な電力を供給されているものの、送電網からの予備電力にはアクセスできないという。

「ZNPPの状況は脆弱で不安定なままである。先週、電力供給に関していくつかの改善が見られたが、今日、この点に関して新たな後退が報告された。この発電所は紛争地の真ん中に位置しており、安全な状況からはほど遠い。このため、原子力安全/セキュリティ保護エリアの設定が急務となっている」と、グロッシー事務局長は述べた。

事務局長は今週中にニューヨークの国連本部を訪問し、過去2か月間にたびたび砲撃を受けてきたZNPP周辺での原子力安全/セキュリティ保護エリア設定に関するハイレベル協議を行う。ここ数日、発電所自体への砲撃はなかったが、発電所近くのより広い地域で砲撃は続いている、と彼は述べた。

「私たちは最近、ウクライナのZNPPでの原子力事故を防止するための緊急行動の必要性─今月初めにそこにIAEAのプレゼンスを確立すること─に焦点を当ててきたが、今日のSUNPP近くでの爆発は、この国の他の原子力施設にも潜在的な危険があることをはっきりと示している」「原子力安全とセキュリティを脅かすいかなる軍事行動も容認できず、直ちに停止しなければならない」、とグロッシー事務局長は述べた。

紛争中に原子力安全とセキュリティを確保するためのIAEAの援助と支援の一環として、グロッシー事務局長は3月、過去半年にわたってウクライナに引率してきた3つのIAEAミッション (9月1日のZNPP訪問を含む) の最初のミッションでSUNPPを訪問している。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-104-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine

ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明第103号(現地時間2022年9月17日)[仮訳]

国際原子力機関(IAEA)は本日、ウクライナのザポリージャ原子力発電所(ZNPP)でエンジニアたちが紛争中に損傷した主要な4系統の外部送電線のうちの1系統を修復し、再び国内の送電網から直接電力が供給されていることを現地で確認した。

復旧した750kVの送電線は現在、欧州最大の原子力発電所であるZNPPに電力を供給しており、原子炉冷却およびその他の重要な安全機能に必要な電力を供給している。ZNPPで最後に稼働していた原子炉は9月11日に運転を停止した。ZNPPは、2週間前に同じ750kV送電線への接続を失った当初は自身で発電した電力に依存し、次に近くの火力発電所の開閉所を通じて送電網に接続する予備の送電線に依存した。

昨日の午後に送電線が再接続されたことで、予備の送電線3系統は再び確保されている。紛争の間に失われた主要な他3系統の750kV送電線は停止したままである。ZNPPの6基の原子炉はすべて冷温停止状態であるが、必要な安全機能を維持するためには依然として電力が必要である。9月5日以降、ZNPPは外部に電力を供給していない。

750kV送電線は、国営電力会社エネルゴアトムが、ZNPPに送電線の修復のための予備の部品と予備電源として使用できる非常用ディーゼル発電機用の追加燃料を供給した同じ日に復旧した。これらの予備の部品と燃料供給は、現地のIAEA専門家によって確認された。ZNPPは3月初めからロシア軍に占拠されているが、ウクライナ人のスタッフが引き続きZNPPを運転している。

原子炉が稼働していなくても、原子力安全を確保し、原子力事故を防ぐためには、系統からの確実な外部電源とバックアップ電源による供給システムが不可欠である。この要件は、紛争当初に事務局長が示した原子力安全およびセキュリティの7つの不可欠な原則の一つである。

ZNPPの電力状況はこの1週間で改善した。すべての送電線が停止し、重要な電力供給を残った1基の原子炉に依存していた今月初めとはまったく対照的である。しかし、紛争地域の真ん中に位置するZNPPを取り巻く全般的な状況は依然として不安定であり、最近ではZNPPやその近隣ではないもののより広い地域で引き続き砲撃が起きている、とグロッシー事務局長は述べた。

状況を安定させるため、事務局長はZNPPの原子力安全/セキュリティ保護エリアの緊急設定を目指し、関係者との協議を開始した。今月初めには、専門家チームを率いてZNPPを訪問し、IAEAの現地での駐在体制を確立した。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-103-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine


ザポリージャの原子力安全、セキュリティ、保障措置の現況
―IAEA事務局長による第2回サマリーレポート(2022年9月6日発表)から抜粋―



※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語および表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
 フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
 キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)

※ロシア軍によるチョルノービリ原子力発電所の占拠期間:2022年2月24日~2022年3月31日

 ロシア軍によるザポリージャ原子力発電所の占拠期間:2022年3月4日~

お問い合わせ先:情報・コミュニケーション部 TEL:03-6256-9312(直通)