ウクライナの原子力発電所の状況 #29


ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 106号(現地時間2022927日)[仮訳]

国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は本日、ウクライナのザポリージャ原子力発電所(ZNPP)が今週新たに砲撃や爆発が発生し、タービン建屋の窓が割れるなどの被害があったことを明らかにし、発電所周辺に原子力安全/セキュリティ保護エリアを早期に設定する必要性があらためて浮き彫りになったと述べた。

ZNPPに駐在しているIAEA専門家の報告によると、現地時間26日午後5時頃、発電所の訓練センターから数百メートル離れた開閉所付近で砲撃があったが、被害は報告されていない。また、さらに遠くで複数回の爆発音が聞こえたという。

本日(9/27)午前8時、原子炉の安全に不可欠な冷却システムに貯水池から水を送る水路の近くで2回の爆発が発生した。IAEA専門家によると、発電所の設備に被害はなかったが、2号機のタービン建屋の窓ガラスが割れた。ZNPPのシニア運営スタッフによると、爆発の原因は現在不明であり、調査中であるとのこと。

今週のZNPPサイトでの砲撃と爆発は、数日間このような事件がなかった後に起こったもの。これらは、状況が依然として不安定であり、紛争地域の中心にある欧州最大の原子力発電所ZNPPにおける重大事故のリスクを低減するため、早急な行動が必要であることを示している、とグロッシー事務局長は述べた。

先週ニューヨークで、事務局長は原子力安全/セキュリティ保護エリア設置の合意・実施を目指したロシアおよびウクライナとの協議を開始し、26日のIAEA総会でも、両国との協議を継続する用意があることを述べている。
https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-106-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine


ザポリージャの原子力安全、セキュリティ、保障措置の現況
―IAEA事務局長による第2回サマリーレポート(2022年9月6日発表)から抜粋―



※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語および表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
 フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
 キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)

※ロシア軍によるチョルノービリ原子力発電所の占拠期間:2022年2月24日~2022年3月31日

 ロシア軍によるザポリージャ原子力発電所の占拠期間:2022年3月4日~

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