ウクライナの原子力発電所の状況 #42


ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 123 (現地時間2022113日) [仮訳]

ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は、国際原子力機関(IAEA)の新たな専門家チーム4名が本日、ここ4週間にわたって現地入りしていた専門家4名の交代要員として、ウクライナのザポリージャ原子力発電所(ZNPP)へ到着したと発表した。

今回のIAEAの原子力安全/セキュリティ/保障措置の専門家の交代は、事務局長が9月1日に欧州最大の原子力発電所であるZNPPを訪問し、紛争中の原子力事故を防ぐ取組の一環として、IAEA支援/調査ミッション(ISAMZ)を発足させて以来2回目。新たなIAEAチームは、この2か月間でZNPPに駐在する3番目のチームとなる。

グロッシー事務局長は、「関係者全員の支援により、数時間前にZNPPでのチームの交代を無事行うことができた。彼らがいることで、紛争地帯の中心にあるこの発電所で何が起きているかを世界中が知ることができる」「今日、現地に到着した専門家も、現地から去る専門家も、ZNPPで重要な安全/セキュリティ/保障措置の活動を決意と勇気を持って実施してくれることに深く感謝している」と述べた。

事務局長によると、現地時間昨日(11/2)午後10時頃、砲撃によりZNPPの主要な750kVの外部送電線が切断され、バックアップ用の330kVの送電線も真夜中過ぎに喪失したとのこと。現在、330kVの送電線の修復作業が行われており、ZNPPは現在、非常用のディーゼル発電機から原子力安全やセキュリティ維持に必要な電力が供給されている。

南ウクライナ原子力発電所もまた、同発電所が送電網に電力を供給するために使用している3系統の750kVのうち、1系統への接続を失い、同発電所は運転中3基のうち1基の出力を50%まで低下させた、とウクライナ側からIAEAに報告があった。

これとは別に、事務局長は本日、IAEA査察団がウクライナ政府の要請により、ウクライナの3サイトで現地検証活動を完了したことを明らかにした。これまでに得られた結果とウクライナから提供された情報の評価によると、当該地点における未申告の原子力活動や核物質の兆候は見られていない。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-123-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine

IAEA査察官がウクライナの3サイトで現地検証活動を完了、未申告の原子力活動や核物質の兆候はなし(現地時間2022年11月3日)[仮訳]

国際原子力機関 (IAEA) のラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は本日、ウクライナ政府からの要請に基づき、IAEAの査察官がウクライナ国内3サイトでの現地検証活動を完了した、と発表した。

ロシアが、ウクライナ国内キーウの原子力研究所、ジョウティ・コディ(Zhovti Kody)の東部採鉱加工工場、ドニプロの生産協会ピブデンニ(Pivdennyi)機械製造工場の3サイトでの活動について疑惑を提起したため、ウクライナはIAEAに査察団の派遣を要請していた。

この数日間、査察官はIAEAが計画していたすべての活動を行うことができ、当該サイトへの自由なアクセスを与えられた。これまでに得られた結果とウクライナから提供された情報の評価に基づき、IAEAは当該地点での未申告の原子力活動や核物質の兆候は見られなかったという。

査察官はまた、IAEAの保障措置研究所と分析機関のネットワークで分析するための環境サンプルを収集した。環境サンプリングは、超高感度分析技術を備えた一般的に用いられる保障措置手段であり、核物質の取り扱いに関連する過去と現在の活動の痕跡を追跡することが可能である。

グロッシー事務局長は、「ウクライナ政府の要請を受け、現地での事実検証に不可欠な技術的・独立的役割を果たすため、直ちに3サイトへ査察官を派遣した。数日のうちに彼らは現地に赴き、現在のウクライナ紛争下の困難な状況下で保障措置活動を行った」「これまでの結果の技術的・科学的評価では、これら3サイトでの未申告の原子力活動や核物質の兆候は見られなかった。環境サンプリングの結果については、できるだけ早く報告する」と語った。

グロッシー事務局長は、IAEAは未申告の原子力活動や核物質が存在しないことを確認し、核物質のいかなる不正使用も防止するため、ウクライナにおいて更なる検証活動を行う用意があることを強調した。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/iaea-inspectors-complete-in-field-verification-activities-at-three-ukraine-locations-no-indications-of-undeclared-nuclear-activities-and-materials

◆ウクライナのザポリージャ原子力発電所(ZNPP)が再び外部電源を失い、ディーゼル発電機がバックアップ電力を供給(現地時間2022年11月3日)[仮訳]

ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長によると、ウクライナのザポリージャ原子力発電所 (ZNPP)は、夜間の砲撃後、再び外部電源へのアクセスをすべて失い、現在、非常用ディーゼル発電機からバックアップ電力を受けている。さらに事務局長は、今回の事象は、ZNPPでの原子力安全やセキュリティが極めて不安定な状況にあり、ZNPP周辺での保護エリア設定が急務であることを示していると述べた。

ZNPPでは、750kV の主要電力系統と近郊の火力発電所の開閉所を経由して電力を供給する330 kVの送電線による予備の外部電源への接続が共に切断された後、ディーゼル発電機が自動的に稼働を開始した。

グロッシー事務局長によると、現場の IAEA 専門家チームから受けた情報では、昨日の現地時間午後10 時頃に砲撃を受けて750 kVの送電線が切断され、330 kVの送電線は真夜中過ぎに切断されたという。

ウクライナのシニア運転スタッフは、IAEAの専門家に対して、ウクライナの支配地域で、ZNPPから約50~60キロメートル離れた 2地点で送電線が物理的な損傷を受けている兆候があることを伝えた。330 kVの 送電線が損傷した場所の1つで修理作業が進行中である。

ヨーロッパ最大の原子力発電所であるZNPPは、以前にも現在の紛争中に外部電源を失い、外部電源が再び利用可能になるまでディーゼル発電機に頼らざるを得なかったことがある。

ウクライナの国営原子力事業者であるエネルゴアトムによると、ZNPPには約15日分のディーゼル発電機に必要な燃料がある。現在、20基のディーゼル発電機のうち9基が稼働しており、原子炉の冷却やその他の重要な原子力安全およびセキュリティ機能に必要な電力を供給している。

外部電源喪失後、プラントに蒸気を供給するために温態停止状態にあった2基の原子炉は、冷温停止状態に移行している。他の4基の原子炉は、すでに冷温停止状態にあった。

グロッシー事務局長は、「これはZNPPが脆弱な状況にあることを再び示す、非常に懸念される展開である。ここ数週間、外部電源の安定化に向け、勇敢なスタッフの最善の努力にもかかわらず、ZNPPは外部電源へのすべてのアクセスを再び失った。今のところ、必要な電力は現場のディーゼル発電機から受けているが、これは大規模な原子力施設を運営するための持続可能な方法ではないことは明らかで、現場での原子力事故を防ぐための対策が必要である。原子力安全/セキュリティ保護エリアの確立が緊急に必要である」と述べた。

この重要な目的を達成するため、グロッシー事務局長はここ数週間、ウクライナ、ロシア両国とハイレベルな協議を行い、ZNPP周辺の保護エリア設置の合意、早期実施をめざしている。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/ukraines-zaporizhzhya-nuclear-power-plant-lost-off-site-power-again-diesel-generators-providing-back-up-electricity



※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語および表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
 フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
 キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)

※ロシア軍によるチョルノービリ原子力発電所の占拠期間:2022年2月24日~2022年3月31日

 ロシア軍によるザポリージャ原子力発電所の占拠期間:2022年3月4日~

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