ウクライナの原子力発電所の状況 (第5週報:3月25日~31日)(現地時間) #5

※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)

◆ウクライナ原子力規制局(SNRIU)発表(2022年3月12日公開08:00<現地時間>)

<ザポリージャ原子力発電所>
1号機 :送電網から切り離し済み
2号機 :980MWで運転中
3号機 :送電網から切り離し済み
4号機 :980MW で運転中
5号機 :送電網から切り離し済み
6号機 :送電網から切り離し済み

<リウネ原子力発電所>
1号機 :送電網から切り離し済み
2号機 :425MWで運転中
3号機 :660MWで運転中
4号機 :1015MW で運転中

<フメルニツキー原子力発電所>
1号機 :980MWで運転中
2号機 :送電網から切り離し済み

<南ウクライナ原子力発電所>
1号機 :980MWで運転中
2号機 :980MWで運転中
3号機 :送電網から切り離し済み

<チョルノービリ(チェルノブイリ)原子力発電所> 廃炉中

【ウクライナの原子力関係機関】
国家原子力規制検査局(SNRIU): https://snriu.gov.ua/en/timeline?&type=posts
国営原子力発電会社・エネルゴアトム(Energoatom):https://www.energoatom.com.ua/en/


◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第38号 2022年3月31日20:06CET(仮訳)
国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は本日、ロシアのカリーニングラード原子力発電所に到着。明朝、ロシア側高官と会談予定である。グロッシー事務局長は昨日、ウクライナ政府高官と南ウクライナ原子力発電所で詳細を協議。ウクライナの原子力安全とセキュリティを確保するため、緊急の技術支援をできるだけ早く実現するために必要な、具体的なステップについて検討した。今回のロシア訪問はそれに続く動きである。なおグロッシー事務局長は金曜日にはウィーンのIAEA本部に戻り、夕方には記者会見を開催予定である。

IAEAに届いたウクライナからの本日付情報によると、2月24日以来チョルノービリ原子力発電所を占拠していたロシア軍は、発電所の管理権限をウクライナ側へ移譲し、すでに2部隊をベラルーシへ移動を開始。チョルノービリ発電所のスタッフの多くが住むSlavutych市に残っていた第3の部隊もベラルーシへ出発した。ウクライナによると、チョルノービリ発電所にはまだロシア軍が駐留しているが、移動の準備をしているようだ。

ウクライナによると、チョルノービリ発電所サイトでは、3月20-21日以降、スタッフのローテーション勤務が実施されていない。

グロッシー事務局長によると、IAEAでは数日以内にチョルノービリ発電所に初の支援ミッションを派遣するため、ウクライナ当局と詳細を協議中である。IAEAでは、チョルノービリの立ち入り禁止区域に侵入したロシア軍が高線量被ばくを受けたとの報道について、事実を確認できておらず、独自に状況を分析するために引き続き情報収集に努めている。

規制当局によると、ウクライナの4サイトで運転中の原子力発電所15基のうち、ザポリージャ(ロシアの管理下)の2基、リウネの4基(1号機が送電開始した)、フメルニツキーの1基、南ウクライナの2基など、計9基が運転を継続している。その他の原子炉は、定期的なメンテナンスのため停止中である。

保障措置の状況は、何も変わっていない。IAEAは依然としてチョルノービリ原子力発電所に設置されたモニタリングシステムからのリモートデータを受信できていないが、ウクライナの他の原子力発電所からはデータがIAEA本部に届いている。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-38-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine


◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第37号 2022年3月30日19:15CET(仮訳)
国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は本日、南ウクライナ原子力発電所を訪問し、ウクライナ政府高官並びに発電所スタッフと会談。同国の原子力施設の安全とセキュリティを確保するための技術支援を開始した。

グロッシー事務局長は、ウクライナのヘルマン・ハルシチェンコ・エネルギー相、規制当局のOleg Korikov長官、国営原子力発電会社エネルゴアトムのペトロ・コティン総裁、南ウクライナ原子力発電所のIgor Polovych所長と詳細を協議。ウクライナへの緊急支援をできるだけ早く実現するために必要な、具体的なステップについて検討した。

グロッシー事務局長は「この極めて困難な時期にIAEAがウクライナに効果的な支援を実施するには、現地に駐在する必要がある」と述べ、「必要な場所にIAEAが駐在することで、深刻な健康影響や環境汚染を引き起こす原子力事故を防ぐことになる」と強調。

本日の原子力安全とセキュリティに関する定例アップデートとしては、以下の通り。ウクライナによると、2月24日以来ロシア軍の管理下にあるチョルノービリ原子力発電所サイトでは、3月20-21日以降、スタッフのローテーション勤務が実施されていない。

規制当局によると、ウクライナの4サイトで運転中の原子力発電所15基のうち、ザポリージャ(ロシアの管理下)の2基、リウネの4基(1号機が送電開始した)、フメルニツキーの1基、南ウクライナの2基など、計9基が運転を継続している。その他の原子炉は、定期的なメンテナンスのため停止中である。

保障措置の状況は、何も変わっていない。IAEAは依然としてチョルノービリ原子力発電所に設置されたモニタリングシステムからのリモートデータを受信できていないが、ウクライナの他の原子力発電所からはデータがIAEA本部に届いている。
https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-37-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine


ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第36号 202232918:59CET(一部仮訳)

国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は、ウクライナの原子力施設の安全とセキュリティを確保し、人々と環境に危険を及ぼす事故のリスクを回避するためにIAEAが計画している緊急技術支援の提供について政府高官と会談するためにウクライナを訪問している。

グロッシー事務局長の訪問の目的は、ウクライナの原子力施設に対する迅速な安全・セキュリティ支援を開始することである。これには、優先順位の高い施設へのIAEA専門家の派遣や、モニタリング機器や非常用機器を含む安全とセキュリティのための物資の発送が含まれる。

ウクライナの規制当局によると、4つのサイトにある15基の原子炉のうち、ザポリージャ(ロシアの管理下)の2基、リウネの3基、フメルニツキーの1基、南ウクライナの2基など、8基は運転を継続している。その他の原子炉は、定期的なメンテナンスのため停止中である。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-36-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine


◆IAEA事務局長ウクライナ訪問に関するプレスリリース 202232910:20CET(一部仮訳)

今週の訪問で、事務局長はウクライナの原子力発電所の1つを訪問し、IAEAウィーン本部に帰国後記者会見を予定している。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/iaea-head-travels-to-ukraine-to-start-delivery-of-nuclear-safety-and-security-assistance


ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第35号 202232818:15CET(一部仮訳)

ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は、ウクライナから国際原子力機関(IAEA)に届いた本日付の情報によると、北東部のハリコフ市にある原子力研究施設が数日前に新たな砲撃を受け、さらなる被害を受けたが、少量の核物質は無傷であると報告したと述べた。

この施設は、紛争中に以前にも砲撃を受けており、医療や産業用途の研究開発や放射性同位元素の生産に使われてきた。その核物質は未臨界であり、核の連鎖反応は起こりえず、放射性物質の在庫も少ない。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-35-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine


◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第34号 2022年3月27日17:32CET(仮訳)

ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は、ウクライナから国際原子力機関(IAEA)に届いた本日付の情報によると、チェルノブイリ原子力発電所の技術要員の交代が直近で行われてから約1週間が経過したが、次の交代がいつ行われるかはまだ分からないと述べた。

最後の交代は、2月24日にロシア軍がチェルノブイリを征圧して以降、同発電所で働いていた同僚らと入れ替わるべく、スラブチッチ市近郊から新たな技術スタッフの交代要員が到着した3月20~21日であった。

グロッシー事務局長は、1986年の事故現場での厳しい労働状況に懸念を繰り返し表明している。また、多くの原子力発電所スタッフが住むスラブチッチ周辺でロシア軍が活動しているとの報道を受け、IAEAは、職員の通勤に影響が出る可能性があるため、引き続き状況を監視していると述べた。

ウクライナの昨夕のIAEAへの報告によると、北東部のハリコフでは、原子力研究施設が再び攻撃を受けたが、まだ被害状況は把握できていないという。既に攻撃を受けている同施設は、医療、産業用の研究開発や放射性同位元素の製造で利用されている。核物質は未臨界で、放射性物質のインベントリも少ない。

ウクライナの規制当局によると、4つのサイトにある15基の原子炉のうち、ザポリージャ(ロシアの管理下)の2基、リウネの3基、フメルニツキーの1基、南ウクライナの2基など、8基は運転を継続している。その他の原子炉は、定期的なメンテナンスのため停止中である。

保障措置に関しては、前回報告された状況と変わりがないとのこと。チェルノブイリ原子力発電所に設置された監視システムからの遠隔データ送信はまだ行われていないが、ウクライナの他の原子力発電所からIAEA本部へのデータ送信は行われている。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-34-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine


◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第33号 2022年3月26日19:40CET(仮訳)

ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は、ロシア軍がチェルノブイリ原子力発電所で働く多くの人々が住むウクライナの町を掌握したとのウクライナ規制当局の本日の報告を受け、状況を注視していると述べた。

同事務局長は、チェルノブイリ原子力発電所のスタッフが定期的に交代で、スラブチッチ市近郊の自宅に帰って休息できるのか、引き続き懸念していると述べた。規制当局によると、ここ1週間近く発電所のスタッフは交代できていないという。

スラブチッチ市は、1986年の事故後にチェルノブイリ原子力発電所周辺に設定された立入禁止区域の外にある。ロシア軍は2月24日、同サイトを征圧した。今週初めに規制当局は、ロシア軍がスラブチッチの検問所を砲撃したことにより、チェルノブイリの技術スタッフのサイトへの出入りが困難になっていると発表した。

規制当局の今朝の最新情報では、スラブチッチは包囲されているという。その数時間後、チェルノブイリ原子力発電所の管理者が、同市が掌握されたとのメディア報道を確認したと発表した。

規制当局によると、最後のスタッフの交代は3月20~21日で、放射性廃棄物管理施設があるチェルノブイリにロシア軍が侵入する前日から働いていた同僚の代わりに、スラブチッチから新しい技術要員の交代が行われた。新たな勤務シフトの変更が「いつ何時行われるかの情報はない」という。

グロッシー事務局長は、ロシア軍が掌握しているザポリージャ原子力発電所を含むウクライナの原子力サイトを運営するスタッフが置かれている困難な状況に深い懸念を繰り返し表明している。同事務局長はまた、発電所のスタッフが圧力を受けずに重要な任務を遂行できることは、今月初めに概説した原子力安全の7つの不可欠な柱の1つであると強調した。

北東部の都市ハリコフでは、規制当局によると、原子力研究施設の近くにある不発弾を処理するための措置が、2日目に砲撃によって妨げられたという。既に被害を受けているこの施設は、医療、産業用の研究開発や放射性同位元素の生産で利用されている。核物質は未臨界で、放射性物質のインベントリも少ない。施設の職員は、原子力施設の機器の操作性を維持しており、放射線は「標準的な限度」内であった。しかし、規制当局によると、砲撃のため、施設への外部電源を復旧させることはできなかったという。

規制当局は、ザポリージャ原子力発電所では、ロシア軍が同サイトを征圧した3月4日に損傷した6号機の変圧器の修復が完了し、同機は待機状態にあると発表した。

ウクライナの規制当局によると、4つのサイトにある15基の原子炉のうち、ザポリージャの2基、リウネの3基、フメルニツキーの1基、南ウクライナの2基など、8基は運転を継続している。その他の原子炉は、定期的なメンテナンスのため停止中である。

保障措置に関しては、前回報告された状況と変わりがないとのこと。チェルノブイリ原子力発電所に設置された監視システムからの遠隔データ送信はまだ行われていないが、ウクライナの他の原子力発電所からIAEA本部へのデータ送信は行われている。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-33-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine


◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第32号 2022年3月25日18:43CET(仮訳)

ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は、ウクライナから国際原子力機関(IAEA)に届いた本日付の情報によると、3月21日からチェルノブイリ原子力発電所で技術スタッフの交代が実施されておらず、次にいつ行われるかもわからないと述べた。

ウクライナの規制当局はIAEAに対して昨日、多くのチェルノブイリのスタッフが住むスラブチッチ市近郊の検問所が砲撃され、発電所への出入りが困難になっていると述べた。現在のスタッフのシフトは、ロシア軍が2月24日にサイトを征圧して以降、現場に滞在していた要員と交代するため、3月20~21日に発電所に到着した。スラブチッチは、1986年の事故以降発電所周辺に設置された立入禁止区域の外にある。

グロッシー事務局長はここ数週間、ロシア軍が駐留するウクライナの原子力施設を運営するスタッフが直面している困難な状況に深い懸念を表明している。同事務局長は、過度の圧力を受けずに重要な任務を遂行できることは、今月初めに概説した原子力安全の7つの不可欠な7つの柱のうちの1つであると強調している。

これとは別に、IAEAから連絡を受けたチェルノブイリ立入禁止管理局は本日、今週初めに「略奪者たちによって略奪行為に遭った」と発表したチェルブイリの中央分析研究所について、さらに詳細な技術情報を提供した。

IAEAに対し、同研究所の校正用線源の安全性やセキュリティ、保管されている環境サンプルの状態などを確認することはできないとしている。また、同じく研究所内にある立入禁止区域の放射線モニタリングシステムのサーバーの状態についても情報がなかった。提供された追加情報に基づき、IAEAは、この事象が重大な放射線リスクをもたらすものではないとの評価を継続している。

さまざまな放射性廃棄物管理施設が立地するチェルノブイリ原子力発電所サイト周辺での山火事について、規制当局による新たな情報はなかった。

北東部のハリコフでは、以前砲撃で被害を受けた原子力研究施設の「すぐ近くで多連装ロケットシステム9K58スメルチの不発弾が検出された」という報告を規制当局が確認した。規制当局は、この地域は「常に砲撃を受けている」ため、ロケットを処分する措置はまだとられていないとしている。IAEAは引き続き、状況を監視する。同施設は、医療、産業用の研究開発や放射性同位元素の製造で利用されている。核物質は未臨界で、放射性物質のインベントリも少ない。

ウクライナの規制当局によると、4つのサイトにある15基の原子炉のうち、ザポリージャの2基、リウネの3基、フメルニツキーの1基、南ウクライナの2基など、8基は運転を継続している。その他の原子炉は、定期的なメンテナンスのため停止中である。

保障措置に関しては、前回報告された状況と変わりがないとのこと。チェルノブイリ原子力発電所に設置された監視システムからの遠隔データ送信はまだ行われていないが、ウクライナの他の原子力発電所からIAEA本部へのデータ送信は行われている。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-32-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine

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