ウクライナの原子力発電所の状況 #51


◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第133号(現地時間2022年11月25日)[仮訳]

国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は本日、ウクライナで運転中の原子力発電所4サイト全てが、今週前半に外部電源を完全に喪失した後、国内の電力網に再び接続したことを発表した。

ザポリージャ原子力発電所(ZNPP)に駐在中のIAEA専門家チームは昨日、ZNPPの外部電源への接続が切断された翌日に、外部電源が再び回復したことを報告していた。欧州最大の原子力発電所であるZNPPは停止中であるが、安全およびセキュリティに不可欠な機能維持のために電力を必要としている。

ウクライナはまた本日IAEA に対して、その他の3つの原子力発電所(リウネ、南ウクライナ、フメルニツキー)が送電網に再接続され、需要に応じた発電を行っていることを確認、またチョルノービリ・サイトへの電力も回復したという。

これとは別に、グロッシー事務局長は、IAEAが1986年の事故後に発電所周辺に設定された立入禁止区域を含む、1週間におよぶチョルノービリ・サイトへの原子力安全・セキュリティの専門家ミッションを完了したことを発表した。このミッションは、同サイトの原子力セキュリティシステムの更新と改善への道筋をつけるものである。IAEAの専門家はまた、同サイトの安全およびセキュリティの状況を把握するとともに、放射線モニタリングに関する助言と指導を実施した。

IAEAは今月初め、ウクライナの要請に応じて、近々、チョルノービリのほか、リウネ、南ウクライナ、フメルニツキーの各サイトにこうしたミッションを派遣することを発表した。グロッシー事務局長は、南ウクライナへのミッションは来週に実施予定であることを明らかにしている。IAEAは9月1日以来、ZNPPへのIAEAによる継続的な駐在体制を確立している。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-133-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine



※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語および表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
 フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
 キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)

※ロシア軍によるチョルノービリ原子力発電所の占拠期間:2022年2月24日~2022年3月31日

 ロシア軍によるザポリージャ原子力発電所の占拠期間:2022年3月4日~

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