世界のアイソトープを巡る動向に関する講演会の開催(2013.3.6)

 当協会は、3月6日、世界のアイソトープ(RI)を巡る動向に関する講演会を開催しました。当協会の会員企業等からおよそ40名が参加しました。今回、放射性医薬品を含め、幅広く、アイソトープ供給をとりまく最新の状況・課題等について、日本アイソトープ協会の医薬品・RI部医薬品・試薬課長の中村伸貴氏、ならびにロシア・アイソトープ社海外貿易部長のボリス コズロフ氏よりご講演いただきました。

 アイソトープの利用の分野は、医療、工業、農業等、多岐多様にわたっていますが、わが国は、RI製品、その原料の多くを海外からの輸入に頼っている現状です。最近、核医学に多用されるテクネチウム(Tc-99)製剤の原料であるモリブデン-99(Mo-99)について、供給源の研究炉の高経年化のみならず、供給ルートにも大きな制約を受け、国際的な供給に大きな問題が生じました。

 日本アイソトープ協会の中村氏からは、日本におけるRIの流通状況と題し、日本の主なRI・放射性医薬品の流通経路、各種用途別のRIの流通核種とその供給量の年推移、輸入の現状、輸送経路等について、詳細なデータに基づきご説明いただきました。

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日本アイソトープ協会 中村氏講演
講演の後、アイソトープ協会の役割、今後のRI供給展望等について、ロシア側から質問攻め。

 中村氏の講演に続き、ロシア・アイソトープ社のコズロフ氏に講演いただきました。ロシアは、医療をはじめする高度な放射線利用の促進を目指していますが、国営原子力企業ロスアトムの傘下にある同社の役割(国内外へのロシア製製品の販売)とロシアのRIの生産能力、海外市場参画の展望等についての説明がありました。海外とのビジネスでは、輸出だけでなく、ロシア国内需要の高まりを受け、放射線利用の高度医療機器の輸入にも大きな関心があるとのことでした。また、今後の協力として、輸出入だけでなく、共同研究や合弁企業の設立等においても両国間で協力の可能性があるとし、従来の発電や燃料分野にとどまらず、放射線利用という新たな分野での交流の拡大に大きな期待が示されました。

isotope_lecture02ロシア アイソトープ社
商業本部長 バクレンコ氏(右)
講演者のコズロフ氏(左)

isotope_lecture03コズロフ氏講演風景
日本の参加者からは、アイソトープ社の役割、RI生産工場等について、質問が相次ぎました。

お問い合わせ先:国際部 TEL:03-6256-9313(直通)