第1回 日本・カナダ原子力フォーラム概要報告
2025年6月26日
当協会とカナダ原子力協会(CNA)の共催、在日カナダ大使館およびケベック州政府在日事務所・ケベック州投資公社の協力のもと、「第1回日本・カナダ原子力フォーラム」が2025年6月19日(木)、在日カナダ大使館内のオスカー・ピーターソン・シアターにて開催されました。
当協会は2021年にCNAと協力覚書(MOU)を締結し、継続的に交流を重ねてまいりましたが、その一環として本フォーラムを企画し、カナダの原子力産業界とのネットワークを広げることで、日本国内の関係者の関心やニーズに応えることを目的としています。当日は、カナダから17社・33名、日本からは32社・53名の関係機関および企業の皆さまにご参加いただき、大変盛況なフォーラムとなりました。


オープニングセッションでは、カナダ大使館のルイ=ピエール・エモン商務担当公使より、「カナダと日本が原子力分野での協力をさらに深め、革新と持続可能性の追求を共に進めていきたい」との挨拶がありました。続いて、原産協会の増井秀企理事長からは、「カナダの原子力産業は革新性と活力にあふれており、今後の協力拡大を大いに期待している」との発言がありました。
その後、両国における原子力発電の現状と今後の展望について、カナダ側からはカナダ原子力協会(CNA)のジョージ・クリスティディス理事長、日本側からは経済産業省の安良岡悟 国際原子力調整官より講演が行われました。
パネルセッションでは、アトキンスレアリス社のトッド・スミス マーケティング・事業開発担当副社長、カナダ原子力研究所 (CNL)のヒース・スターリング商業運転ディレクター、日立GEベルノバニュークリアエナジー社の森脇正直原子力国際技術本部長、日揮グローバル社 (JGC)の森本泰臣ビジネスデベロップメントグループマネージャーが登壇し、それぞれ自社の取り組みについての紹介および、パネルディスカッションが行われました。


本フォーラムは、両国の原子力産業界におけるビジネス交流の一層の促進を目的の一つとしており、プログラムに日加企業間のB2Bセッションを設け、カナダ企業6社が日本の参加企業や研究・教育機関に向けてそれぞれ自社の事業内容や強みを紹介するとともに、各社の関心分野に基づいて事前にマッチングされた1対1のB2Bミーティングを実施しました。
今回は、カナダの国立研究機関や大学関係者も来日しており、日本側の多くの参加企業との交流が行われました。これらのミーティングにご参加いただいた多くの皆さまからは、「非常に有意義だった」「今後の連携につながる機会となった」といった高い評価と満足の声が寄せられました。


フォーラムの翌日、カナダからの代表団は、東京電力廃炉資料館および福島第一原子力発電所を視察しました。参加者は、事故からの復興が進む福島の町並みや、廃炉作業が進展する原子炉建屋の様子を実際に目にし、非常に興味深く感じている様子でした。また、視察を担当された東京電力の職員の方々との意見交換も活発に行われました。


2050年までのネットゼロ達成を目指すカナダでは、小型モジュール炉(SMR)の開発が国家戦略の一環として位置づけられ、原子力技術のイノベーションが政府主導で進められています。一方、日本でも第7次エネルギー基本計画のもと、原子力を最大限活用する方針が打ち出されました。今回のフォーラムは、両国の原子力政策や産業の現状について理解を深める貴重な機会となり、将来的なビジネス連携の可能性を探るうえでも大きな意義があったといえます。今後、さらなる交流の深化が期待されます。
【プログラム】
https://www.jaif.or.jp/cms_admin/wp-content/uploads/2025/05/forum_agenda.pdf
【カナダ側参加機関一覧】
https://www.jaif.or.jp/cms_admin/wp-content/uploads/2025/05/company_list.pdf
【原産新聞記事】
お問い合わせ先:国際部 TEL:03-6256-9313(直通)