中国原産(CNEA)訪問団の来訪協力(2025.7.7~10)
当協会は中国との協力活動の一環として、7月7日(月)~10日(木)に、中国核能行業協会(CNEA)の訪問団による東京電力福島第一原子力発電所、JAEA楢葉遠隔技術開発センター、株式会社ベンカン機工、QST那珂フュージョン科学技術研究所への訪問実施に協力するとともに、当協会および原子力安全推進協会(JANSI)との意見交換会を実施しました。
今回の訪問では、CNEAをはじめ、国核湛江核電、東方電気、中国原子能科学研究院、浙江愛力浦科技等の原子力関連企業・組織から計15名が参加し、福島第一原子力発電所の廃炉進捗状況や、それに関わる遠隔技術開発、日本の原子力関連企業とのビジネス交流、日本におけるフュージョンや原子力発電所の安全対策に向けた取り組みなどについて知見を深めました。
7月7日(月)は、東京電力の廃炉資料館を訪問し、福島第一原子力発電所構内での視察を行いました。構内では、視察バスから乾式キャスクの仮保管設備や多核種除去設備(ALPS)、ALPS処理水を保管する大きなタンクが立ち並ぶ様子などを見学し、1~4号機を見渡す展望デッキに立ち、使用済み燃料プールからの燃料取り出しや燃料デブリの試験的取り出しを含む廃炉作業の進捗状況に関する説明を受けました。続いて、JAEA楢葉遠隔技術開発センターを訪問し、施設概要説明を受けた後、福島第一原子力発電所の2号機建屋内の様子を再現したバーチャル・リアリティ(VR)体験を行い、ロボット試験用水槽やモーションキャプチャ技術に関する試験が行われている試験棟を見学しました。


翌日の7月8日(火)には、CNEA訪問団一行は群馬県太田市にある㈱ベンカン機工の桐生工場を訪問し、同社の溶接式管継手事業についての説明を受け、様々な製品の実物および製造の様子を見学しました。これまで日本の配管部材メーカーとビジネス交流の機会がなかった中国関係者にとって大変新鮮な経験であり、今後の交流や協力に繋がりえる有意義なネットワーキングの機会となりました。続いて7月9日(水)に、一行は日本における先進的なプラズマ研究開発の状況を見学するためにQST那珂フュージョン科学技術研究所を訪問し、日本と欧州が共同で研究を進めるJT-60SAプロジェクトについての説明を受け、施設の見学を行いました。当プロジェクトは中国も参画する国際熱核融合実験炉(ITER)計画の技術目標達成のための支援研究であるため、多くの参加者が説明に熱心に耳を傾け、そして矢継ぎ早に質問が挙がりました。


最終日の7/10(木)には当協会事務所にて、CNEA訪問団一行、当協会幹部およびJANSIからの参加者の方々による意見交換会が行われました。前半は日中両国の原子力産業の状況についてのプレゼンテーションが行われ、後半はJANSIより、原子力発電所における安全対策および、日本の原子力発電所における長期の稼働停止期間後の再稼働に向けて求められる、具体的な安全対策・条件や、日本における原子力発電所の産業安全に関する優良事例・実務経験について、中国側の質問をベースにご紹介いただき、日中の参加者間で活発な意見交換を行いました。

今回の訪問団は、発電事業者からメーカーまで、様々な原子力関連企業・組織によって構成されており、参加者達も日本の原子力産業の状況や、最先端の研究開発に対して大きな関心を寄せ、日本側との意見交換を通して新たな知識を得ることで、大変有意義な訪問となったようです。
当協会としましては、このような交流活動及び施設訪問などを通して、我が国の原子力に関する現状を正しく理解していただくとともに、会員企業のビジネス活動へのサポートに努めてまいります。
以上
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