第2回日中原子力産業セミナー開催報告(2025.9.25)
原産協会は9月25日、中国との協力活動の一環として、中国核能行業協会(CNEA)と共催で「第2回日中原子力産業セミナー」を日本にて7年ぶりに対面開催いたしました。中国側からは、CNEA曹述棟常務(常勤)副理事長をはじめ、中国核工業集団有限公司、中国広核集団有限公司、中国華能集団有限公司、香港核電投資有限公司、清華大学など関連企業・機関から16名が参加しました。日本側からは、当協会の増井秀企理事長をはじめ、日本原子力発電(株)、電気事業連合会、日本エヌ・ユー・エス(株)、海外電力調査会など、関連企業・機関から約43名(オンライン傍聴を含む)が参加しました。
今回のテーマは「原子力発電所の運転および新規建設」であり、前半セッションでは、中国側から中核武漢核電運行技術股份有限公司の戴兵 副総経理が、中国核工業集団における原子力発電所の供用期間中検査について紹介しました。日本側からは、日本原子力発電(株)の山中勝 発電管理室部長が、リスク情報を活用したプラント停止中の系統構成管理について説明しました。後半セッションでは、中国の田湾原子力発電所の李偉 副所長が蒸気供給プロジェクトを紹介し、続いて電気事業連合会の好川知秀 原子力部副長が日本における原子力発電所の保全活動を説明しました。さらに、華能霞浦核電有限公司 工程管理部の林永華 副部長から、中国における新規建設の経験について共有がありました。特に、中国で次々と進む新規建設プロジェクトに関する実践的な知見は、日本側参加者にとって大変参考となるものでした。


また、中国訪問団一行はセミナー参加に合わせ、滞在中に複数の原子力関連機関・施設を訪問しました。
9月23日には、東日本大震災・原子力災害伝承館を訪れ、福島第一原子力発電所の事故のみならず、14年前に発生した未曾有の大規模複合災害に関する展示や復興への取り組みについて説明を受けました。大震災を直接経験していない中国側参加者が真剣に見学する姿が印象的でした。翌24日には、東京電力の廃炉資料館を訪問後、福島第一原子力発電所構内を視察しました。構内では、視察バスから乾式キャスク仮保管設備や多核種除去設備(ALPS)、ALPS処理水を保管するタンクなどを見学し、その後、展望デッキにて1~4号機の廃炉作業の状況について説明を受けました。さらに、ALPS処理水のサンプルを用いた海洋放出に関する説明も行われました。
続いて、JAEA楢葉遠隔技術開発センターを訪問し、施設概要説明を受けた後、福島第一原子力発電所の2号機建屋内の様子を再現したバーチャル・リアリティ(VR)体験を行い、ロボット試験用水槽やモーションキャプチャ技術に関する試験が行われている試験棟を見学しました。
今回の訪問の最終日となる9月26日は、JAEA原子力科学研究所を訪問しました。J-PARCでは、世界最大級の加速器施設として物理・材料・生命科学など幅広い研究に利用されていることが紹介され、施設見学後には運用体制や国際的な活用方法について質疑が行われました。続いて視察したJRR-3では、中性子利用研究の中核拠点として材料開発、半導体、医療分野などへの応用事例が示され、研究炉の役割について理解を深めました。両施設とも、中国出身の研究者の方々による中国語での解説を交えた、活発な質疑応答が行われました。
当協会としましては、このような交流活動及び施設訪問などを通して、各国において我が国の原子力に関する現状を正しく理解していただくとともに、会員企業のビジネス活動へのサポートに努めてまいります。
以上



(JAEA楢葉遠隔技術開発センター)

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