韓国廃止措置調査団来日プログラムへの協力 (2025.12.2~4)
当協会は韓国との協力活動の一環として、12月2日 (火) ~ 4日 (木) の期間にわたり、韓国原子力産業協会 (以下、KAIF) 率いる調査団による東京電力福島第一原子力発電所、JAEA楢葉遠隔技術開発センターならびに中部電力浜岡原子力発電所への訪問実施に協力しました。
今回の訪問では、韓国水力原子力 (以下、KHNP) チョ・ソクジン技術担当副社長を団長とする視察団に、KHNPをはじめ、韓国電力公社 (KEPCO)、韓国原子力廃止措置研究院 (KRID)、韓国原子力研究院(KAERI)などの原子力関連企業・組織から計37名が参加し、福島第一原子力発電所の廃炉状況やそれに関わる遠隔技術開発、ALPS処理水放出や福島復興の現状、浜岡原子力発電所の廃炉および安全対策への取り組みなどについて知見を深めました。
12月2日 (火) は、とみおかアーカイブ・ミュージアム、特定廃棄物埋立情報館リプルンふくしま、またJAEA楢葉遠隔技術開発センターを訪問しました。とみおかアーカイブ・ミュージアムは、原子力発電所立地地域である福島県双葉郡富岡町についてその歴史を紹介する資料館であり、福島第一原子力発電所事故による住民の被害や、厳しい避難生活の様子について、被災者の声を含むリアルな展示を見学しました。特定廃棄物埋立情報館リプルンふくしまでは、福島第一原子力発電所事故によって発生した特定放射性廃棄物の処分について、インタラクティブな展示を通し理解を深めました。


空間線量率測定体験を行った
上記2施設の見学後、JAEA楢葉遠隔技術開発センターを訪問しました。戦略推進部の小泉次長より冒頭説明を受けた後、敷地内のVRシステムの体験、試験棟の見学を行いました。VRシステムは事故後の原子炉を仮想的に再現しており、建屋の中に入らずに様々な事前検討を行えるよう整備されました。参加者は4面がスクリーンとなっている装置の中に入り、最新技術を体験しました。また試験棟では、福島第一原子力発電所の廃炉のために開発・試験されている様々な技術について説明を受けました。


12月3日 (水) は、福島第一原子力発電所を訪問、構内視察後、廃炉資料館の見学を行いました。構内では、福島第一廃炉推進カンパニー 高松シニアバイスプレジデント、福島復興本社 藤枝副代表のアテンドのもと、視察バスから多核種除去設備(ALPS)や処理水を保管する大きなタンクが立ち並ぶ構内の様子などを見学しました。1~4号機、また5~6号機を見渡す展望デッキからは、廃炉作業が進む各炉やALPS処理水の放出システムを見学し、海洋放出の手順や厳しい検査基準について説明を受けました。廃炉資料館では、福島第一原子力発電所事故当時の状況について、様々な展示を見学しながら理解を深めました。質疑応答の時間には韓国側参加者より質問が相次ぎ、被害を受けた地域の除染やALPS処理水に関する議論が交わされました。


(出典: 東京電力ホールディングス)
最終日である12月4日 (木) は、中部電力浜岡原子力発電所を訪問しました。まず、浜岡地域事務所の増田専門部長より廃炉や安全対策の概要説明が行われた後、浜岡原子力館で原子炉や防波壁の実物大模型を見学し、展望台から構内全体を俯瞰しました。続いて構内巡視では、1・2号機タービンの解体作業や、クリアランス建屋での測定・判定工程について説明を受けました。最後に、将来予想される南海トラフ地震に備え高さ28mを目指す防波壁を確認しました。参加者からは、浜岡で得た知見を、同時期に運転開始した韓国・古里2号機の廃止措置に活かしたいとの意向が示されました。


今回の視察先では参加者は皆、熱心に説明に耳を傾け、福島での復興状況や福島第一原子力発電所の廃炉・ALPS処理水への取り組み、浜岡発電所の廃炉および安全対策について理解を深めることができました。視察終了後には、KHNPチョ・ソクジン副社長より、「丁寧にご対応いただき感謝します。現場で安全に作業が進められていることを直接確認できました。これからも安全第一に廃炉が進むことを願っています。」との言葉がありました。
当協会では、このような視察を通じ、海外、特に東アジアの近隣諸国・地域の専門家に、我が国の廃炉や安全対策への取り組みを正確に理解していただけるよう、積極的に情報発信を続けてまいります。
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