エネ調・小委、エネルギーミックスの議論開始
総合資源エネルギー調査会の長期エネルギー需給見通し小委員会(委員長=坂根正弘・小松製作所相談役)の初会合が1月30日、経済産業省庁舎内で開かれた(=写真)。【中略】
今回は、エネルギー基本計画の原案を取りまとめた総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会との合同会合となったが、資源エネルギー庁による同基本計画の要点とエネルギーを巡る情勢に関する説明を受けて、各委員から意見を求めた。
委員からは、将来の電源構成に向けた具体的な数値を伴う提案もあったが、熱利用、バイオマス活用の可能性や、一方で、再生可能エネルギー導入によるコスト増への懸念の声、原子力に関しては、使用済み燃料の問題、国民感情とのギャップを埋めるため、数値的エビデンスを示す必要などを述べる意見があった。
委員からの発言の終了後、坂根委員長は、「もし超円安となったとき、この国は化石燃料が買えなくなる」として、日本のエネルギー需給におけるリスクに警鐘を鳴らした上で、「省エネと再生可能エネでどこまでチャレンジできるか、一回皆で議論しては」などと述べており、各エネルギー源に依存する場合の将来リスクの評価は、今後の議論のカギになりそうだ。
【委員発言に拾う】
橘川武郎氏(一橋大学教授) 油価が下がっているという現状で、上がるシナリオと、下がるシナリオの両方を考えるべき。
小山堅氏(日本エネ経済研究所常務理事) 「イスラム国」による邦人人質事件は、エネ供給に今のところ影響を与えていないが、政策リスクとして考えておくべき。
崎田裕子氏(ジャーナリスト) これからの人口減少、技術革新などから、どのくらいのエネ総量となるか考えるべき。
志賀俊之氏(日産自動車副会長) 日本の産業が競争力を維持するため、電力問題は非常に重要。
高橋恭平氏(昭和電工会長) 電気料金を安定させることは喫緊の課題。中小企業の状況は深刻だ。
高村ゆかり氏(名古屋大学教授) 五〇年を展望して持続可能なエネを考えるべき。
辰巳菊子氏(消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会常任顧問) これまでの議論は国民の声を聴かずに進められてきた。意見箱は是非有効活用を。
寺島実郎氏(日本総合研究所理事) 日本は原子力の技術基盤を残さねばならない。
豊田正和氏(日本エネ経済研究所理事長) 高いエネコストがマクロ経済、国民生活に与える影響を考えるべき。
西川一誠氏(福井県知事) 国民の理解・説得を最優先にエネミックス、原発再稼働を検討して欲しい。
山名元氏(京都大学教授) エネに関するインフラが老朽化しているのが現状。旧いものをどう変えていくかという段階にあることをよく考えるべき。
(2月5日付号掲載)