全原協、国に対し審査の効率化など訴え

2015年5月29日

DSCF2309 全国原子力発電所所在市町村協議会(会長=渕上隆信・敦賀市長)の定時総会が5月28日、都内で行われ、2015年度も引き続き立地地域として、被災地復興、安全規制・防災対策、原子力政策、立地地域対策を中心に、国や関係機関に要請していくことを確認した。
総会では、自治体からの質問に対し、内閣府、文部科学省、経済産業省、原子力規制委員会が回答する「国との意見交換」の場も設けられ、その中で、現在、新規制基準適合性審査が途上にあるプラントを立地する福井県の美浜町、おおい町、高浜町の首長は、そろって審査のスケジュール感に疑問を呈し、規制委員会の審査体制見直しなどにより、効率化が図られるよう訴えた。同日、40年目以降の運転期間延長審査が始まった高浜1、2号機を立地する高浜町の野瀬豊町長は、「審査途上で時間切れという乱暴な判断にならぬよう」と、極めてタイトな審査期間となっていることに不安の声を漏らした。これに対し、原子力規制庁の池田克彦長官は、審査の進捗について、事業者側の対応にも左右されることを第一にあげた上で、審査の実効性を保ちながら、既に取りまとめられた審査書の活用や、炉型を同じくする事業者合同の審査会合などにより、効率化を図るほか、体制強化にも努めていく考えを述べた。
松江市の松浦正敬市長は、島根原子力発電所から10km圏内にある松江城の国宝指定が15日に文化審議会から文科相に答申されたことを述べた上で、安全確保・防災対策の一層の充実化を国に対し訴えかけたほか、4月末の1号機廃止決定に伴い、今後の放射性廃棄物対策への積極的な取組を求めるなどした。また、2014年10月に、原子力災害発生時の防護措置判断に際しSPEEDIを使用しない方針が規制委員会より示されたことについて松浦市長が反論すると、池田長官は、「予測値で判断することはかえって危険。実測値で避難することは国際的な流れ」などと応え、訓練実施に際してもSPEEDIによる誤った認識が根付くことに危惧をあらわにした。