基本的考え方ヒア アポストラキス氏「PRAでリスク情報活かし安全性向上」

2015年6月4日

真:アポストラキス基本的考え方DSCF4542 原子力委員会は6月3日、原子力利用の「基本的考え方」について、G.アポストラキス電力中央研究所原子力リスク研究センター所長からヒアリングを行った。
 2014年6月まで米国原子力規制委員を務めたアポストラキス所長は、米国での原子力発電所の規制の取り組みについて説明した。まず、同国の規制には、独立性、公開性、効率性、明瞭性、信頼性が大原則として求められることを紹介。入手可能な最新の知見を反映した持続的かつ安定的な規制が信頼獲得につながるとした。
 また、米国での従来の規制は、実際には起こりにくい事故が発生した場合でも、住民の健康と安全に影響を及ぼさないような設計を原子力発電所に求めてきたが、一方で多重防護をどこまで行えばよいかの指針がなく、従事者のパフォーマンスなどが十分反映されていないなどの問題点もあったことに言及。1980年代より「どのような事象が起こり得るか」、「その事象はどのくらいの頻度で起こるのか」、「その事象が起こったらどのような結果を引き起こすか」との問いかけに対応する中で、ヒューマンエラーや自然災害も含めた事故シナリオの発生確率や影響を想定し、従事者を含めて原子力施設を1つの統合されたシステムとして評価する「確率論的リスク評価(PRA)」の手法が取り入れられていることなどを紹介した。この結果としてリスク情報に対し順位づけすることができ、より重要なリスクの低減にフォーカスしながら安全性向上に努めることができるようになったのは大きな成功だったと述べた。
 岡芳明原子力委員長からリスクコミュニケーションについての意見を求められたアポストラキス所長は、米国でも努力を傾注してきたとし、リスクゼロを求める一般に対し「残存リスクがある」と伝えることの難しさについて語った。