八木電事連会長「電力システム改革にあたり需給状況改善を」

2015年6月10日

 参議院経済産業委員会は6月9日、八木誠電気事業連合会会長らを参考人に招き電気事業法等改正案について議論した。
 八木会長は、三段階の電力システム改革のうち、第一段階である「電力広域的運営推進機関」が4月に発足し運用を開始しており、送配電業務を行う上での透明性や公平性を高めていくために中心的な役割を果たしていくとして、今後も会員会社として運営に貢献したいとした。続く2016年予定の第二段階である電力小売業参入全面自由化、第三段階となる料金送配電部門中立性確保と進めるにあたり、需要側に真の利益となるよう詳細な制度設計に引き続き協力していきたいとしたが、中立で公平な競争環境の確保をねらいとする電力システム改革の趣旨に鑑み、小売り料金規制に対しては諸情勢を勘案した上での早期撤廃を求めた。
 事業者として電力システム改革を進める上での課題としては、まず従来の電力会社の送配電部門の中立化が規定されるにあたり、周波数の調整を確実に機能させ電気の品質を低下させないことや非常時の発電側と送電側の協働体制を整えることなど、安定供給の仕組みやルールの慎重な構築が重要であるとした。
 議員との質疑の中で、八木会長は、この夏も特に西日本では電力供給力に余力がない上、火力発電燃料費の大幅な増加で電力会社の収支が厳しい状況が続いていることをふまえ、安全確保を大前提としてできる限り早く原子力発電所を再稼働して電力需給状況を改善し、全面自由化および法的分離に適した需給状況であるか見極めが必要だと強調した。
 さらに原子力発電については、3E(安定性、経済性、環境性)に優れた特性を有しており国も重要なベースロード電源と位置づけながらも、一方巨額の投資を要し安全性を確立しつつ長期にわたる事業であるという特殊性があるため、これまでは総括原価方式などの諸制度で一定の事業予見性が保たれてきたことに言及。今後原子力依存度低減の方針や電力システム改革などにより、民間の事業者が原子力発電を担っていくための事業予見性が揺らがないよう、新たな「国策民営」のあり方について検討し、小売り自由化に先駆けてその方向性を示せるよう、原子力事業環境を整備することを求めた。