規制委員会が北陸電力トップと意見交換
原子力規制委員会は6月10日、北陸電力との経営トップ意見交換を公開の場で行った。北陸電力からは、久和進社長と次期社長が内定している金井豊副社長(原子力本部長)が出席。
北陸電力は、1999年に発生し2007年に国に報告された志賀1号機の臨界に係る事故を踏まえた安全文化構築の取組について主に説明した。同社は、「隠さない企業風土づくり」を目指してこれまで進めてきた組織体制の整備、倫理情報窓口の強化、コンプライアンス教育、職場討議などの取組を紹介した。
これに対し、田中俊一委員長は、同社が過去経験した臨界に係る事案により、電力全体の安全文化に対する疑念につながったことを振り返った上で、安全文化の醸成に向け、「掛け声」だけではなく、各人のレベル向上を図るとともに、原子力安全推進協会(JANSI)との事例共有の必要について述べるなどした。
また、自然災害に関して、石渡明委員は、「知識を持っておくことでいざという時の対応が違ってくる」として、同社の安全性向上の取組に対し、科学のリテラシーについても盛り込むことを指摘した。
米国原子力発電運転協会(INPO)とJANSIとの比較に関する議論の中で、久和社長が「人材を厚くしていくことが日本の原子力にとって非常に大事」と主張すると、田中委員長はピアレビュー活動に関連し「他社にも厳しいことを言える人材」を育成していく必要性を指摘し、更田豊志委員は規制側としても「同じ悩みを抱えている」として事業者側からの議論発揚を期待するなど意見を述べた。