福島第一廃炉、中長期ロードマップが改訂

 福島第一原子力発電所廃止措置の中長期ロードマップが6月12日に改訂された。同日開かれた廃炉・汚染水対策に関する関係閣僚会議で決まったもの。ロードマップ改訂は2013年6月以来のことで、(1)リスク低減の重視、(2)目標工程の明確化、(3)徹底した情報公開を通じた地元との信頼関係強化、(4)作業員被ばく線量の低減・労働安全衛生管理体制の強化、(5)廃炉技術戦略の司令塔機能強化――がポイント。
 汚染水対策については、2020年内に建屋内滞留水を処理完了する大枠は変えず、新たに、建屋内流入量100立方メートル/日未満への抑制を2016年度までに目指すことなど、「取り除く」、「近づけない」、「漏らさない」の3本柱に関わる予防的・重層的な対策について、目標工程を明確化した。
 使用済み燃料プールからの燃料取り出しは、ダスト飛散防止や作業員の被ばく線量低減など、安全対策を重視し、1号機が2017年度下半期から2020年度内へ、2号機が2020年度上半期から2020年度内へ、3号機が2015年度上半期から2017年度内へ、いずれも目標時期が先送りとなっている。また、取り出した燃料は当面、共用プールで保管するが、海水影響も踏まえた長期的な健全性評価、処理に向けた検討を行った上で、2020年頃に処理・保管方法を決定する。
 燃料デブリ取り出しについては、2021年内の開始時期目標は変わらないが、2年後を目処に号機ごとの取り出し方針を決定することを明記した。これに関し、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が先般、廃炉のための技術戦略プランを取りまとめており、今回の改訂版ロードマップにおいては、原子炉格納容器内の状況把握に集中的に取り組み、その実現可能性の評価・検証を行うこととしている。
 中長期ロードマップの改訂を受け、東京電力の廣瀬直己社長は「これまでの4年間の作業経験が十分に反映されたものと考えており、これを手戻りがないよう確実に実行していく」などとするコメントを発表した。