愛媛県、新たな原子力災害避難計画で7県の広域連携体制

2015年6月17日

 愛媛県は6月15日、伊方発電所の原子力災害発生に備えた広域避難計画について、四国4県と山口、大分、広島の計7県による広域連携体制を明確化した改定版を公表した。7県で構成する広域連携推進会議において去る10日、原子力事故発生時における各県への連絡通報体制の整備、避難者受け入れの適切な対応、平時の情報共有体制、訓練など、広域連携に関する合意がなされている。
 原子力災害対策指針で重点区域とされる伊方発電所から30キロメートル圏内の人口は7市町で約12万人だが、発電所が細長い佐田岬半島の付け根付近に位置している地理的特徴から、避難の困難さを指摘する声もあったことから、今回の改定版計画では、半島部の避難対策の充実強化を図っている。大分県との協力体制について、愛媛県の中村時広知事は15日の記者会見で、災害発生初期の段階で避難手段決定のため、道路や港湾、ヘリポートなどのインフラ施設の状態を確認し、陸路が制限される場合には海路や空路も利用して避難に当たるほか、津波発生時には内陸部の施設にも受け入れを願うと説明している。愛媛県担当課長によると、大分県は収容施設数269か所、収容人数約18万人、山口県は収容施設数843か所、収容人数約46万人となっている。
 現在、原子力規制委員会で新規制基準適合性審査が進められている伊方発電所について、中村知事は、県の専門委員会でも独自に安全性を確認するとしたほか、避難計画についても「防災対策に終わりはない」という認識のもと、不断の見直しを行う考えを示した。また、再稼働に関する質問に対して、知事は「白紙の状態」と述べ、議論の段階にないことを明言した。