基本的考え方ヒア 豊田氏「リスクの許容レベルについて理解必要」

2015年6月25日

 原子力委員会は6月23日、豊田正和日本エネルギー経済研究所理事長から原子力利用の「基本的考え方」についてヒアリングを行った。
 豊田理事長は、これまでの環境にやさしく合理的な価格で必要な量を確保するという「3E」に、福島第一原発事故を経て安全性の確保「S」が加わったことを踏まえて、エネルギー・ミックスの政府案を野心的でバランスがとれたものとして評価した。
 一方で、日本をとりまく国際エネルギー情勢は、ますます不安定性を高めているとして、シェール革命と原油価格の急落、イラクやウクライナなどで高まる地政学的不安定性、資源獲得競争と南シナ海の領有権紛争、世界の警察官としての役割を負えなくなった米国、温室効果ガス削減など気候変動への対応、アジア・エネルギー・ネットワークからの日本の疎外――などのリスク要因を挙げた。
 特に日本の原子力安全性について、技術は元々トップクラスであり、制度も国際標準に追い付いてきたが、国民の意識は安全神話か絶対危険の二極化した議論になりやすく、リスクの許容レベルについて理解を深めていくべきとした。