経団連、長期エネルギー需給見通しで意見

2015年7月3日

 日本経済団体連合会は、総合資源エネルギー調査会が7月1日まで意見募集を実施していた長期エネルギー需給見通し案について、「ベースロード電源比率約6割」、「最大限の省エネ努力」が盛り込まれている点を評価した上で、主に電力コストの観点から、さらに検討を深めるべき事項を取りまとめ提言した。経団連は、新たなエネルギー基本計画策定を受け1月より進められてきたエネルギーミックスの検討に際し、「安定供給と経済性の確保」、「ベースロード電源比率は欧米並みの6割確保」を基本的視点として主張していた。
 今回の提言ではまず、震災後の電気料金上昇に伴い、特に電力多消費産業への深刻な影響が生じていることをあげ、「電力コストは少なくとも震災前の水準以下を目指すべき」としている。
 その上で、電力コスト低減を図る観点から、原子力発電の活用や、再生可能エネルギーの低コスト化と持続可能性に向けた取組を行う必要を述べ、原子力については、最大限の活用に向け、安全確保を前提に既存プラントの稼働率向上や運転期間延長とともに、リプレース・増設も検討すべきとしている。
 また、化石エネルギーの高効率化について、長期エネルギー需給見通し案の「石炭火力を始め非効率な火力発電」との記述を、すべての石炭火力発電が非効率的との誤解を生じるとして、改めるよう求めている。電気事業連合会によると、高効率設備の導入や適切な運転管理・メンテナンスにより、日本の石炭火力発電の熱効率は約41%を維持しており、世界平均の約35%を上回る安定的な高水準にある(2011年)。