エネ研、2016年度までの需給見通しを原子力再稼働ペースで評価

2015年7月10日

 日本エネルギー経済研究所は7月10日、2016年度までのエネルギー需給見通しに関する評価結果を発表した。それによると、一次エネルギー国内供給は、2015年度に景気回復や気温影響により、2年ぶりに増加するものの、2016年度は省エネルギー継続などで微減すると予測している。電源構成では、原子力発電所再稼働と再生可能エネルギーの利用増で石油、天然ガスが大幅に減少するとみている。
 原子力発電については、新規制基準への審査・検査が先行する川内原子力発電所が秋に再開するのを皮切りとして、2015年度内では5基が再稼働、平均稼働月数3か月、2016年度末までには累計13基が再稼働、平均稼働月数6か月を想定したケースを「基準シナリオ」としている。さらに、今回の評価では、原子力発電所の再稼働ペースに応じ、「高位ケース」、「低位ケース」、「最高位ケース」を設け、経済、エネルギー安全保障、環境への影響を分析した。「基準シナリオ」で、2016年度は、原子力発電量は639億kWhで2010年度比22%にとどまるが、エネルギー起源CO2排出量は史上最高となった2013年度の12億3,500万トンから減少し続け11億4,900万トンとなるとしている。
 「高位ケース」では、平均1か月に1基の割合で再稼働するものと想定し、2015年度末までに8基が再稼働、2016年度末まででは累計17基が再稼働、平均稼働月数10か月で、原子力発電量は1,327億kWhとなって「基準シナリオ」の倍増となる。
 「低位ケース」では、川内原子力発電所に続く再稼働が約1年後となる状況を想定し、2015年度末までに2基が再稼働、2016年度末まででは累計3基が再稼働、平均稼働月数8か月で、原子力発電量は153億kWhとなって「基準シナリオ」比約76%減となる。
 また、「最高位ケース」は、各電気事業者が審査申請したプラントのうち、建設中の大間発電所を除く24基が2016年度に設備利用率80%で稼働するという仮想的ケースだ。
 「高位ケース」を「低位ケース」と比較した場合、2016年度において、化石燃料輸入額は1.2兆円減、発電コストは1.3円/kWh低下、CO2排出量は5,500万トン減少する。また、「最高位ケース」を「低位ケース」と比較した場合は、同じく、化石燃料輸入額は1.5兆円減、発電コストは1.7円/kWh低下、CO2排出量は7,000万トン減少と、3E改善効果がさらに拡大するものと評価している。