原子力事業環境整備検討専門ワーキンググループが始動、核燃料サイクル事業のあり方検討

2015年7月14日

原子力環境WG 総合資源エネルギー調査会の原子力事業環境整備検討専門ワーキンググループ(座長=山内弘隆・一橋大学商学研究科教授)が7月14日初会合を開いた。電力自由化による事業者間の競争が進み、原子力への依存度が低減する中において、安定的・効率的な核燃料サイクル事業の実施が確保されるよう資金拠出のあり方について検討するもの。
 初会合では、エネルギー基本計画や、2014年末に同調査会原子力小委員会が取りまとめた中間整理を踏まえ、核燃料サイクル事業に係る方向性と課題について資源エネルギー庁が説明した。現在、原子力発電で発生する使用済み燃料の再処理は、各事業者において、資金積立、引当を行うとともに、事業者間の民間契約に基づき実施主体の日本原燃に対して資金の支払いが行われている。一方、高レベル放射性廃棄物の最終処分事業では、原子力発電環境整備機構が法律上解散に歯止めのかかった実施主体として設立されており、原子力事業者に対し必要な費用について拠出金として納付することを義務付けている。核燃料サイクル事業の特殊性や、今後の電力システム改革による競争進展など、環境変化を背景に、事業の遂行に向け、様々な課題の顕在化が懸念されることから、事業者、国の責任・役割分担他、適切な仕組みづくりを論点として掲げている。
 委員からは、同調査会放射性廃棄物ワーキンググループの委員長を務める増田寛也氏(野村総合研究所顧問)が、地層処分事業と対比しながら、サイクル事業全体を俯瞰して考える必要とともに、「国の関与」と「民間の活力」が両立して発揮されるよう検討を求めるなどした。また、核燃料サイクルに携わってきた技術者の立場から、山名元氏(原子力損害賠償・廃炉等支援機構副理事長)は、六ヶ所再処理工場のしゅん工が度々延期されてきた経緯を振り返りながら、適確な技術判断の重要性を主張した。