「平成26年度エネルギー白書」、エネルギーコスト増の影響述べる

2015年7月14日

 政府は7月14日、「平成26年度エネルギー白書」を閣議決定した。今回の白書では、2013年9月以降、国内の原子力発電所が全基停止し、それを補う化石燃料の輸入急増に伴い、国富の流出のみならず電気料金の上昇につながったことなどをとらえ、エネルギーコストの状況と、家庭や企業に与えている影響について述べている。
 日本国内の電源構成に占める化石燃料依存度は、震災前の約62%(2010年度)から、第一次オイルショック時の約76%よりも高い約88%(2013年度)へと上昇、原子力発電停止分の火力燃料費増は2011年度2.3兆円、2012年度3.1兆円、2013年度3.6兆円と高位で推移し、国民負担増となっているとしている。
 エネルギーコストが家庭に与えた影響については、総務省の「家計調査結果」を引用し説明している。それによると、1世帯当たり1か月の支出のうち、電気代は震災前の2010年平均で9,850円だったのが、2014年平均では11,203円と、13.7%上昇し、消費支出全体の上昇率0.3%を大きく上回っている。また、この期間に減少した費用としては、「教育費」6.9%減、「教養娯楽費」9.2%減、「こづかい代」20.0%減、「仕送り金」9.5%減、「交際費」5.9%減があげられており、エネルギー関連の出費がかさみ抑制されたものとみられている。
 産業界への影響としては、電気料金の上昇や燃料価格の高騰などのエネルギーコスト高を価格に転嫁できず、経営が厳しい中小企業の現状を述べている。経済産業省が2014年10月に中小企業を対象に実施したアンケート調査によると、1年前と比べて原材料・エネルギーコストが増加したとする企業は約8割で、そのうち約4割が「経常利益が10%以上圧迫」などという状況となっている。
 この他、白書では、米国の「シェール革命」による世界のエネルギー事情の変化を取り上げており、主要国におけるエネルギー自給率などの定量的分析を紹介している。