被爆70周年 核兵器の非人道性訴える 広島平和祈念式典

2015年8月6日

 広島市原爆死没者慰霊式ならびに平和祈念式が8月6日、同市内の平和記念公園で開催され、米国のR.ゴッテモラー国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)とC.ケネディ駐日大使をはじめ、過去最多となる100か国からの代表が出席し、約5万5,000人が参列した。1945年の被爆から70周年の節目を迎えた今年、被爆者の平均年齢は初めて80歳を超えた。
 安倍晋三首相は挨拶で、日本は唯一の戦争被爆国として現実的で実践的な取組を着実に積み重ねて「核兵器のない世界」を実現する重要な使命があり、核兵器の非人道性を世代と国境を越えて広める務めがあるとの強い思いを表明。秋の国連総会では新たな核兵器廃絶決議案を提出する意向を示した。また広島で8月末に包括的核実験禁止条約賢人グループ会合と国連軍縮会議が、2016年にはG7外相会合が開催されることに言及し、世界の指導者や若者が被爆の悲惨な現実に直に触れることを通じて、被爆地からの思いを国際社会に力強く発信していきたいとした。
 松井一實広島市長は「平和宣言」の中で、「核兵器が存在する限り、いつ誰が被爆者になるか分からない」として、被爆者の言葉とヒロシマの心をしっかり受け止め、自らの問題として真剣に考えてほしいと世界に向けて訴えた。広島市は、被爆の実相を守り、世界中に広めて次世代に伝えるための取り組みを強化するとともに、加盟都市が6,700を超える平和首長会議の会長として、2020年までの核兵器廃絶と核兵器禁止条約の交渉開始に向けて強い決意を持って全力で取り組むと強調した。また、2016年に伊勢志摩で開催される主要国首脳会議と広島で開催される外相会合は、核兵器廃絶に向けたメッセージを発信する絶好の機会であるとして、被爆地を訪れて被爆者の思いを直接聴き、被爆の実相に触れることを各国の為政者に対して求めた。