「未来技術遺産」に25件が選定、非常用ガスタービンも

2015年9月7日

AT900

 科学技術の発達史上重要な成果で次世代に残すべき資料「未来技術遺産」に、計25件が新たに登録された。国立科学博物館が9月1日に発表したもの。
 今回、選定された資料には、ヤンマーが1983年に開発した「単純開放サイクル1軸式ガスタービン(AT900)」(=写真、国立科学博物館提供)がある。ディーゼルエンジンを中心に内燃機関を開発・販売してきた同社は、1978年の宮城県沖地震による被害を契機に、冷却水を必要としないガスタービンによる非常用発電機の開発に取り組んできたが、その中で独自技術により誕生したAT900形機関は、その後の非常用ガスタービンATシリーズを推進し、現在までに1,000台以上の生産達成につながった。非常用発電機の動力源に特化して開発されたAT900形機関は、停電後40秒以内の給電を達成したほか、コンパクトな発電装置として、民生用ガスタービン普及に貢献した。今回「未来技術遺産」に登録されたのは、AT900形機関の試作機のカットモデルで、選定理由について登録委員会では、「世界的に見て非常用発電機という考え方がなかった当時、それを確立したものとして意義深い」などとしている。非常用発電機は現在、各原子力発電所で緊急時電源確保のため設置されている。
 この他、「未来技術遺産」に選定されたものとしては、エンタテイメントロボット「AIBO」(ソニー)、国産初期の8ビットパソコン(シャープ、日本電気、日立製作所)などがある。