地層処分地選定、社会科学的観点からの検討開始

2015年9月30日

 総合資源エネルギー調査会の放射性廃棄物ワーキンググループ(委員長=増田寛也・野村総合研究所顧問)は9月29日、処分地選定に関する社会科学的観点からの検討に着手した。同ワーキンググループが、2014年に中間取りまとめで、処分地として科学的により適正が高いと考えられる科学的有望地を国が示すとしたのを受け、その要件・基準について、主に地球科学的観点からの検討が、杤山修委員(原子力安全研究協会技術顧問)を委員長とする別のワーキンググループで進められてきた。
 杤山委員は、同日の会合で、科学的有望地の要件・基準について、(1)地質環境特性およびその長期安定性、(2)地下・地上施設の建設・操業時の安全性、(3)輸送時の安全性、(4)事業の実現可能性――に関する検討結果を説明した上で、関係法令による土地利用の制限、地権者の数(土地利用の容易性)、自治体境界の扱いなど、社会科学的観点からの検討を放射性廃棄物ワーキンググループに対し求めた。
 地層処分に関しては、基本方針の改定を踏まえ、必要性や考え方について広く情報を提供するため、5、6月に全国シンポジウムが行われたが、「選定された少数の自治体に対して国が一方的に申入れを行い、地域の意向を無視して調査が開始される」といった懸念もあり、資源エネルギー庁では、10月の「高レベル放射性廃棄物最終処分国民対話月間」に開催する全国シンポジウムに際し、科学的有望地提示の意義・目的や位置付けについて、国民理解を得るよう努めるとしている。